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流行りモノ調査隊 ♯71 『話題のネットスター PART3』
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この2008年、ネットで注目を集めたアーティスト達が続々とCDをリリースした。中でも8月27日に大人気クリエイター「livetune」が発表したアルバム『Re:Package / livetune feat.初音ミク』がオリコンランキング5位という快挙を成し遂げ、もはやこれはただのブームでは片付けられない状況になってきている。
そしてこの冬、人気シンガーhalyosyこと「森晴義」率いる「absorb」と、「初音ミク」ブームの立役者「OSTER project」から注目作品がリリースされる。
今回の流行モノ調査隊では、この二組に徹底的に迫ってみた。
absorbと「桜ノ雨プロジェクト」
手作りが大好きなんです
「初音ミク」ブレイクの立役者 OSTER project
まず最初に紹介するのは、11/26に「桜ノ雨 absorb feat初音ミク」をリリースしたばかりの「absorb」だ。彼らは森晴義、笹原翔太、中村博のボーカル&ギターユニットではあるが、ネット上ではもう一つの名前を持っている。森晴義氏は「halyosy」、笹原翔太氏は「that」、そして中村博氏は「is」と名乗り、特にhalyosy氏はネット上で活躍する最も有名なシンガーの一組といっても過言ではないだろう。
absorb:左から笹原翔太、森晴義、中村博
absorbのプロフ>>
「桜ノ雨 absorb feat初音ミク」
そして今、彼らの周りで推進されている「桜ノ雨プロジェクト」というものが話題を呼んでいる。それはhalyosy氏が自身のオリジナル曲「桜ノ雨」を初音ミクに歌わせた作品をニコニコ動画に投稿した事から始まった。「卒業」をテーマに書かれたこの曲はじわじわと人気を集め、やがてファンの間で「この歌を全国の学校の卒業式で合唱してもらおう!」という運動にまで発展した。ファンの間で有志が集まって運営管理チームまで発足し、やがてそれは「桜ノ雨プロジェクト」と呼ばれるようになった。
現在、全国40校以上の学校より「是非この曲を合唱したい!」という問い合わせが集まっている。
まずはその「桜ノ雨」をご覧いただこう。
さて今回、我々「流行りモノ調査隊」ではabsorbの方々のインタビューに成功した。
――桜ノ雨プロジェクトについて伺います。まず、作品が生まれた経緯を教えてください。
晴義
まずsupercellのryoさんの「メルト」と出会って「初音ミク」というソフトを知りました。最初は機械の声だと知らなかったんです。実際「初音ミク」を購入してみていろいろ試してみて「あ、こんなに面白いソフトなんだ!」とわかったときに、ミクのこの声だったらどんな事が出来るのかなと思って生まれたのが「桜ノ雨」なんです。
博
まだ初音ミクのバックグラウンドが固まってなかった時期ですね。初音ミクがもし人間だったらどういうストーリーがあるんだろうなと考えていたところ、halyosy君が「卒業をテーマにしよう!」となったんです。
晴義
完全に女性ボーカリストを迎え入れたような感じで、一からプロデュースするつもりでやりました。
翔太
人によっては、「初音ミク」はただのソフトでありただの機械ですけど、それにストーリーをつけていくというのは今までの僕らの作曲のスタイルとは全く違っていて、それが刺激でしたね。
【ニコニコ動画】初音ミク が オリジナル曲を歌ってくれたよ「メルト」
ネットで大ヒット曲。supercellの「メルト」
――では、最初の時点では合唱という形態は視野には入ってなかったということですか?
晴義
そうですね。ある日「これ卒業式で歌えたらいいね」というコメントを見て、「じゃあ、みんなで合唱してみない?」と僕がブログに書いたんです。そしたら、みんなが「やろう!やろう」と続々と人が集まってくれて。
翔太
大きな動きになってプロジェクトとして始まったのが「桜ノ雨プロジェクト」なんです。今はユーザー主導で行われています。
――たくさんの学校から「桜ノ雨を歌いたい」との申し入れを受けていると伺いましたが
翔太
ええ。もうすでに合唱コンクールとかで使われている例もありまして、全国大会で金賞をとった学校もあるそうです。
晴義
元々この曲は合唱にしては音域が広すぎたりするので、そもそも合唱用ではなかったんですけどね。
翔太
ですから、今回リリースしたCDはこの「桜ノ雨プロジェクト」の通過点だと考えているんですよね。何か練習の道具としてあればいいなと思い、楽譜やピアノの伴奏も収録してあります。
博
学生さんがもしこの曲を歌いたいと思った時に、先生にこれ一式持っていったら出来るように作ったCDです。
――「桜ノ雨プロジェクト」にはどういった方々が参加されているのでしょうか?
博
全国の有志です。学生やら会社員やら幅広くいろんな方が参加してくれています。
翔太
僕らも直接的にはあまり関与してないんです。今まで僕ら3人だけで完結してしまう作品はいっぱいあったんですけど、僕らとは育った環境がちがう人達と絡んで、こうやっていっしょに「桜ノ雨」がやっていけてるという「今」自体が全部含めてこの曲のストーリーなのかなと考えてます。
博
最初は「バーチャル合唱」というのをやろうというのが第一弾の企画でした。全国から262人の「桜ノ雨」を歌ってもらったものが集まりました。みなさん、自宅で歌っていただいて、我々自身でミックスしました。応募サイトは、桜ノ雨プロジェクトに参加してくださっている大学生の方が自宅サーバーを提供してくださいました。
――262人!!全部聴いてミックスしたんですか?
博
ええ、そうです。途中でクシャミが入ってる方などいましたけど(笑) 僕らが持っている機材では24トラックしか録音できないので、何度も何度も音を重ねてようやく262人分をミックスしたんです。
『「桜ノ雨」262人でバーチャル合唱Ver.(編集:halyosy)』
翔太
その後、8/31に実際にみんなで会って、リアル合唱というのもやりました。そのへんの司会進行等も全部プロジェクトのみんなが考えてくださって…僕ら3人だけでは絶対に実現出来ない行事だったと思います。ホントに嬉しい限りです。楽譜を作る上でも、プロジェクトのみんなに意見をもらって「実際合唱してみてどうだった?」というのをみんなに聞いて、「ここはこーしたらいい」といった感じで新しい楽譜にどんどん作り変えていったんです。
――ということは、halyosyさんのオリジナルが元で、みんなで発展させてきたといえますね。
晴義
既に僕らだけで思い描いていた「桜ノ雨」ではなくなってますね。ここまでの段階を経てるところをみていくと、僕らの歌い方もだんだん変わっていって、いろんな人の顔が思い浮かんでとても楽しいです。
――では、もうabsorbさんの曲ではなくて、「みんなの曲」という感じですか?
一同
はい。みんなの曲です。いろんな人に自由に歌ってもらいたいですね。
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