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「『漫画村』の運営は“違法”」 衆院議員・古屋圭司氏に聞く海賊版サイトの問題点
「法律が追いついていない」 ネット社会の歪を浮き彫りにした『漫画村』問題
しかしネット上では、「法律的にはグレーなのではないのか?」という声も多い。その点についても、「私はグレーというのは正しくないと思う。『漫画村』は違法コンテンツへのリンクを掲載するリーチサイトではありません。サイトで著作物を無断で公開するリーディングサイトなので、グレーではなくて真っ黒だと個人的には考えます」と古屋氏。しかし、そこには単純ならざる問題があるとも
「『漫画村』の運営者は真っ黒ですが、海賊版サイトの漫画を見ること自体は違法ではありません。私はそこが問題だと思っています」と眉をしかめる古屋氏。2010年、「著作権法の一部を改正する法律」によって、違法にアップロードされたコンテンツをダウンロード(複製)する行為を違反とする議員立法を古屋氏らは成立させた。しかし、その際に対象となったのは“録画”と“録音”だけだった。それも対象は映画や音楽。今回のように静止画である漫画は対象になっていない。「しかも、違法となるのはダウンロードを伴なわなければなりません。そういう意味では、現在の法律が現実に即していないと感じます」と古屋氏。
『漫画村』訪問者数は3ヵ月でのべ4億5千万人「要因のひとつは知財教育の不足」
「これは教育の問題でもあります。無料だから、読むだけなら違法性はないから、そんな風に安易に利用している人が多い。こうした点からも、“知的財産”についての教育というのは本当に重要なのだと感じています」と古屋氏は語る。こうした状況をこのまま許すようであれば、世界に誇る日本の漫画文化が衰退していってしまうと危惧する。
とは言え、現状ではユーザーと『漫画村』のやりとりは“情報”だけ。“物”の移動がないため現行の法律では利用者を取り締まれない現状がある。つまり、今のままでは抜本的な解決が難しいのだ。ネット社会になった今、日々新たな課題が社会に発生している。そのため「法律を作る時も、ややもすると後追いになってしまう」とも。
「もしかしたら?という疑惑の段階で法律を作ることは、権利の不法な侵害になるケースも考えられます。そのため、法律というのは問題が顕在化した時に後追いで整備することもある。それは政治家として悩ましい部分なのですが、そのタイムギャップをなるたけ短くする作業が私たち立法府の役割となります」(古屋氏)
この問題については、自民党内にあるクールジャパン特命委員会をはじめ関係省庁と連携をし、MANGA議連の会長である古屋氏が責任を持って取り組んでいくとのこと。
では、法律が追いついていない現状で、どんな対処方法があるのか。その点について古屋氏は「サーバーが外国にある点も問題です。なので、先日官房長官がおっしゃたようなサイトブロッキングのような規制が必要かもしれません。ただ、ここは専門家の観点も必要になるので、専門家の意見を聞きながら党として速やかな対応をとっていきます」と、表現の自由にも配慮しつつ慎重かつ迅速な対応が必要という認識を示した。
創作努力をせず暴利をむさぼる海賊版サイトが、“漫画文化を衰退”させる
古屋氏は「その通りだと思います。創作努力を全くしていない海賊サイトが暴利をむさぼるのは漫画文化を衰退させるだけ。早急な対応が必要です」と力を込める。「なにより、こんなことを続けたらクリエイターがいなくなってしまう。それは結局のところ漫画ファンが自らの首を絞めることになりかねない。『漫画村』を利用している人は、その点をよく考えて欲しい」と強調した。
また、政権与党として対策を講じるのとは別に「海賊版サイトに対しては、正規のビジネスで追い出すことが重要です。映画、音楽、ゲームでは“無料”のサービスが普及している。でも残念ながら、漫画についてはそこまでいっていない」と指摘。
『漫画村』への対応を早急に進めると同時に、「漫画業界が海賊版サイトに負けない“新たなサービス”を生み出すことも必要なのでは」と古屋氏は語った。