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【買われた男】地上波初の女性用風俗ドラマ、タブー視乗り越え社長に直談判「“性の抑圧”に苦しむ女性はたくさんいる」

話題のドラマ『買われた男』(C) 「買われた男」製作委員会

話題のドラマ『買われた男』(C) 「買われた男」製作委員会

 女性の“性”をポジティブに捉える動きが広がり、セルフプレジャーグッズのアンバサダーに有名女性芸能人が起用されることも出てきた。女性用風俗サービス店も増えており、SNSやYouTubeで利用を公言する人も。とはいえ、一定の“市民権”を得ている男性用風俗に対し、まだまだ一般に認知されていないのが現状だ。初回放送で多くの反響を呼んだ、地上波初の女性用風俗が舞台のドラマ『買われた男』(テレビ大阪・BSテレ東ほか/毎週水曜 深0:00)のプロデューサーに、今このテーマを扱う思いについて聞いた。

地上波ドラマで初、“女性用風俗”扱う内容がSNSでも話題に

(C) 「買われた男」製作委員会

(C) 「買われた男」製作委員会

【4/26まで1話無料!】原作漫画『買われた男〜女性限定快感セラピスト〜』1話を全部読む(外部サイト)
 女性用風俗とは、文字通り女性のための風俗サービス店のこと。性自認が女性の客に対し、男性セラピストがリラックスや癒し、性的な快楽を目的としたサービスを提供する。サービス内容は雑談や添い寝、デートといった肉体的な接触を伴わないものから、性的な満足を得られるマッサージまでさまざまだ。

 近年、マンガでは女性用風俗をテーマにした作品が増えており、単なるエロを超えて支持されている作品も多い。4月17日にスタートしたドラマ『買われた男』も同名コミック(『買われた男〜女性限定快感セラピスト〜』(C) 三並央実/芹沢由紀子/ソルマーレ編集部・コミックシーモアのオリジナルコミック)が原作で、口コミには登場人物に深い共感を寄せるコメントが並ぶ。

 一方、地上波ドラマで女性用風俗を扱うのは、『買われた男』が初。ゆえに反響は大きく、コミック購買もドラマ化発表の前後7日間比較で約131.6倍と大きく伸長。初回放送後のXでは、「女性の性とメンタルの悩みが丁寧に描かれた良作」「セクシーな面に目が行きがちだけど、悩みや苦しみを抱える人とそれに真摯に向き合ってくれる人。そんな人間と人間の物語だった」など、さまざまな意見が飛び交った。

 中でも目立ったのが「映像がきれい」という評価だ。これらの反響を受けて、佐々木美優プロデューサーは、「まずはホッとしています。局側からは『くれぐれも下品にならないように』と釘を刺されていたので」と振り返る。

女性が性を口にすると「はしたない」? 社長に直談判したプロデューサー

ドラマ2話、ワケありの女優が女性用風俗を利用するが…(C) 「買われた男」製作委員会

ドラマ2話、ワケありの女優が女性用風俗を利用するが…(C) 「買われた男」製作委員会

 本作は、ディープな男女の恋愛を描くDRAMA ADDICT枠で放送。不倫をテーマに好評を得たドラマ『インターホンが鳴るとき』『蜜と毒』に続き、「次はぜひ女性用風俗にチャレンジしてみたい」と、佐々木プロデューサーが「社長に直談判して通した」という企画だ。

 「そもそも『女性の性はなぜタブー視されるのか?』という素朴な疑問がありました。不倫ドラマの会議では性的なワードも飛び交うのですが、女性スタッフが口にすると『はしたない』みたいな空気になったり…。今回も女性用風俗というテーマを企画に上げたところ、男性スタッフから『ヨメが通っていたら立ち直れない』という声もありました。地上波テレビ局では比較的、“攻めた局”と言われている弊社ですらそうならば、“性の抑圧”に苦しんでいる女性はたくさんいるのでは? そう考えて、どうしてもこのテーマに取り組んでみたかったんです」

“攻めた局”でもあった懸念の声、原作を読んで「男性スタッフの認識が大きく変わった」

 ドラマ『買われた男』は、俳優・瀬戸利樹が演じる主人公をはじめ、3人の男性セラピストがさまざまな事情を抱えた女性客の心と体を施術を通して癒すストーリー。これがオムニバス形式で描かれる。

 「企画を上げた段階では、社内から『風俗を扱うの?』といった懸念の声もありましたが、原作を読んでもらって評価が一変しました。特に男性スタッフは、『男性用風俗は性的な快楽を満たすことに重きが置かれるけど、女性は精神的な癒しを求めていることがよくわかった。しかも女性が心の痛みを抱える原因は多様。これはいいヒューマンドラマの題材になりそうだ』と、認識が大きく変わったようです」

 リアルを追求するべく、女性用風俗店への取材も重ねた。

 「ある程度の事前情報は入れていたものの、実際に施術をデモンストレーションで見せていただいた時は衝撃的でした。セラピストさんの立ち振る舞いからお客さまへの接し方まで、『これは女性が受けられる最上級のホスピタリティなのでは…』と(笑)。ただ本ドラマは“女性向けアダルトビデオ風”にはならないように意識しています。テーマ的にエロティックな描写は必須なので、地上波のギリギリを攻めつつ、でも描きたいのは『イケメンのセラピストに癒されて最高!』といったことではありません。施術によって女性の心情がどのように移ろっていくのか、役者さんたちの繊細な演技にはとても助けられています」

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