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半沢直樹特集
少年ジャンプの“3大要素”すべてを兼ね備えた『半沢直樹』
同作といえば、自分の信念を曲げず、勇猛果敢に“巨大な悪=上司”に立ち向かう姿にカタルシスを得ている視聴者も多いことだろう。ここで、ふと冷静に同作を分析してみると、ある雑誌の方向性と非常に共通する点が挙げられる。ある雑誌とは、もちろん『週刊少年ジャンプ』(集英社)だ。数多くの大ヒット漫画を生み出し、最盛期には週間売り上げ400万部を誇った“怪物雑誌”の3大原則といえば、“友情”“努力”“勝利”。この3つの要素さえ踏襲していれば、あとは何を描いても良いというある種、アナーキズム溢れる誌面展開だった。
この“友情”“努力”“勝利”、まさに『半沢直樹』に全て組み込まれている要素。香川照之扮する大和田常務という巨大な悪に立ち向かうべく、半沢は渡真利(及川光博)や近藤(滝藤賢一)などの同僚らと固い絆で結ばれ、次々と迫りくる困難にも辛くも勝利してきた。また、出世という“レベルアップ”をすることで、さらなる強敵が登場する点、「やられたら倍返しだ!」という決め台詞もジャンプ作品群に必要不可欠なモノだった(※『北斗の拳』の「お前はもう死んでいる」や『キン肉マン』の「屁のつっぱりはいらんですよ!」など)。
半沢の小気味良い台詞回しはもちろん、巨大な悪と対峙した際の形相も、歌舞伎の“見栄”を想起させる。ミュージカル俳優・石丸幹二や歌舞伎俳優の片岡愛之助ら、けれん味溢れる悪役を痛快になぎ倒していく半沢の姿に、視聴者は“理想のサラリーマン”を見出しているのだ。
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『半沢直樹』平均視聴率推移グラフ
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