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スーパー戦隊シリーズ50周年記念作「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」、Wienners・玉屋2060%が語る主題歌の誕生秘話「日曜朝の顔になるなんて」

 1975年に始まったスーパー戦隊シリーズ。その記念すべき50周年作品『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の放送が始まった。歴代スーパー戦隊ヒーローも登場するとあって、ファンの胸を熱くさせている本作。3月19日には『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』のオープニング・テーマ『WINNER!ゴジュウジャー!』とエンディング・テーマ『ビリビリBe-lie-ving』を収録した主題歌CDがリリースされる。限定盤には歴代のオープニング・テーマ、エンディング・テーマのTVサイズがCD2枚組で同梱されることも話題だ。オープニング・テーマを担当した、バンド・Wiennersの玉屋2060%さんに、スーパー戦隊シリーズの"仲間入り"をした思いや楽曲制作にかけた意気込みを聞いた。

“子どもに勇気を与える音楽”を作る側に…『WINNER!ゴジュウジャー!』誕生秘話

 スーパー戦隊シリーズ50周年記念作品『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の主題歌を銀河系パンクバンド・Wiennersが担当する──。そのニュースが発表された途端、例年を上回る大きな反響が各界隈で巻き起こった。

 Wiennersを率いるのは、でんぱ組.incやFRUITS ZIPPER、Appare!、ナナヲアカリなど数多くのアーティストへの楽曲提供でも知られる玉屋2060%。その明るく突き抜けたサウンドは「聴いたらすぐわかる」と言われるほど強烈なインパクト。あのちゃんや霜降り明星・粗品をして「天才」と言わしめるなど、数多くの熱いファンを抱える。"玉屋楽曲"がスーパー戦隊シリーズに合わないわけがない──。そんな期待も高まる中、公開されたのが耳から離れなくなるサウンドにダンスも印象的な『WINNER!ゴジュウジャー!』だ。

玉屋2060% 撮影:草刈雅之(C)oricon ME inc.

玉屋2060% 撮影:草刈雅之(C)oricon ME inc.

──まずはスーパー戦隊シリーズの主題歌を担当することが決まった、最初のお気持ちを聞かせていただけますか?

玉屋2060% いや、もう最初にお話をいただいた時は実感もなかったというか。少ししてから「50周年記念作品の主題歌!? これはとてつもないことだぞ……」とじわじわ来た感じでした。

──スーパー戦隊シリーズにはどんな思い入れが?

玉屋2060% 僕は『鳥人戦隊ジェットマン』と『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のドンピシャ世代で、当時は金曜夕方に放送されていたんですよね。ちょうど陽が落ちるくらいの時間、放送が始まる前からまだかまだかって1分おきくらいに時計を確認して、始まったと同時にテレビに釘付け。30分間、息を止めながら食い入るように見ていたのを今でも覚えています。

──主題歌も覚えていますか?

玉屋2060% まさに、今回このお話をいただいて改めて『恐竜戦隊ジュウレンジャー』主題歌を聞き直してみました。サビしか覚えてないかなと思いきや、全部歌えたんですよ。それと共に、当時の記憶がバーッと蘇ってきて、もう泣きそうになって。『WINNER!ゴジュウジャー!』もそのテンションのまま、一気に作りました。

──それほど悩むこともなく?

玉屋2060% そうですね。もともと自分の作る曲はスーパー戦隊に合うんじゃないかと思っていたところもあって。とにかく子どもの頃に勇気をもらったもの、夢中にさせてくれたものを今度はこっちが作る番だという、その気持ちだけで作った感じでした。

「合わないわけがない」“玉屋楽曲”とスーパー戦隊シリーズの親和性

玉屋2060% 撮影:草刈雅之(C)oricon ME inc.

玉屋2060% 撮影:草刈雅之(C)oricon ME inc.

──玉屋さんが『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の主題歌を手掛けることが発表された途端、SNSなど「合わないわけがない」といった多くの反響がありました。ご自身の作家性とスーパー戦隊シリーズの親和性をどんなところに感じますか?

玉屋2060% 僕は楽曲を制作する時にいつも、"誰でも知っているけれど誰も選ばない言葉を使いたい"ということを意識しています。それってけっこう歴代スーパー戦隊シリーズの主題歌からの影響だったりするなって、今回改めて気づきました。あとはエネルギーですね。

 たぶん子どもにとっては、けっこう難しい言葉も歌詩に使ってるんですよ。だけど歌詩とか文章とかよりも、エネルギーでドンと入ってくるようなものにしたいというのは、普段の楽曲制作にも通じるところがありました。

──スーパー戦隊シリーズには大人のファンも多いですが、玉屋さんとしては「子どものため」を意識したところは大きかったですか?

玉屋2060% 今回は完全に子どものために作りました。ただ、手加減は一切しなかったです。子どもって敏感だから「あっ、子ども扱いされてるな」ってすぐわかるんですよ。こっちがちょっとでも「こういうキャッチーでわかりやすいのを与えとけば喜ぶんでしょ」みたいな意識があると、簡単にバレるというか。

──たしかに歴代スーパー戦隊シリーズの主題歌も、音楽的にクオリティが高いものばかりですよね。

玉屋2060% そうなんですよ。今回、改めて『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の主題歌を聞き直してみて、こんなすごいコード進行だったんだ、こんな細かいハーモニーを駆使してたんだって、今なら全部わかるんです。子どもはそういうことを言語化できないにしても、"子ども騙し"なものは「なんか違う」って絶対気づくんですよね。とにかく子どもたちを冷めさせるものを作っちゃダメだというのは、一番にありました。

──主題歌を制作するにあたって、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』に込められたメッセージをどのように受け取りましたか。

玉屋2060% タイトル通り、ナンバーワンを決める勝負を毎回するというのが今回のメインストーリーで、そこに僕はグッと来てしまったんですよね。一番を目指して頑張るやつって、やっぱりかっこいい。もっと言えば、誰だって一番として輝けるものは絶対に持ってるという本作のメッセージを、楽曲にぶち込めるだけぶち込みました。

──特に気に入っている歌詩を教えていただけますか?

玉屋2060% サビ前の<はみ出してけ>という歌詩に、登場人物たちの「ここには収まらないぞ」という意気込みを込めました。今の時代、はみ出すことを恐れる風潮もあるし、何もしなければ傷つかないけれど、それでも踏み出す勇気を後押ししてくれるのが『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』という作品。大人も子どもも、どんどん<はみ出してけ>というメッセージが主題歌でも伝わったら、こんなに嬉しいことはないです。

「子どもたちの日常に溶け込んでほしい」主題歌に込めた思いは

  • 玉屋2060% 撮影:草刈雅之(C)oricon ME inc.

    玉屋2060% 撮影:草刈雅之(C)oricon ME inc.

──2月5日に開催された「超英雄祭 KAMEN RIDER × SUPER SENTAI LIVE & SHOW 2025」のライブステージでの主題歌初披露はいかがでしたか?

玉屋2060% まず感動したのが、特撮/スーパー戦隊シリーズに熱狂できる心を持った老若男女が、これだけたくさん集まっているんだということでした。ただ、ステージに出ていくまでは正直、怖かったんです。僕らみたいなパンク/ハードコアシーンから来たバンドなんて、マジで誰も知らないだろうなって。

 だけど文化の違いとかぜんぜん関係なく、「スーパー戦隊シリーズの仲間に新しいやつらが加わった」みたいな感じで受け入れてくれたことが、すごく嬉しくて。でも、それもすべてはスーパー戦隊シリーズという偉大なものへの信頼あってこそだと思うんですよね。

──50年という歴史のなせるわざですね。

玉屋2060% 本当にそうだと思います。今回、主題歌を担当することが発表されて、バンド周りの友だちからもこれまでにないくらいの連絡があったんですよ。僕らみたいなアンダーグラウンドで活動していたバンドが"日曜朝の顔"になるなんて、こんな夢のある話あるかって。そういう言葉をもらうたびに、『WINNER!ゴジュウジャー!』という曲をこれからもずっとバンドとして大切にしていきたいという気持ちが強くなりますね。

──これから1年間、毎週テレビで流れるこの楽曲を、子どもたちにどのように親しんでもらいたいですか?

玉屋2060% 僕の小さい頃もそうだったように、日常に溶け込んでくれたら一番嬉しいなと思います。遊んでる時とかにふと口をついて出てくるのがこの歌だったり。近所の公園でそんな子を見かけたら、駆け寄って抱きしめたくなるかもしれないです(笑)。

取材・文/児玉澄子

Information

■Wienners
公式HP
Instagram @wienners_official
X @Wienners_WNS

■スーパー戦隊シリーズ50周年記念作品『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』
毎週日曜・午前9時30分からテレビ朝日系で放送中
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