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【マイ・ワンナイト・ルール】テレ東ドラマに変化?『孤独のグルメ』『勇者ヨシヒコ』だけじゃない、配信が主戦場になった今の“戦い方”とは
TXドラマチューズ!『マイ・ワンナイト・ルール』第3話より(C)「マイ・ワンナイト・ルール」製作委員会
いまやドラマの主戦場は配信、電子コミックとの親和性の高さも
TXドラマチューズ!『マイ・ワンナイト・ルール』(C)「マイ・ワンナイト・ルール」製作委員会
「深夜枠が多いテレ東ドラマと原作としての電子コミックは、紙のマンガと比べても相性がいいのです。紙のマンガは主に雑誌という“箱”の中で連載されて習慣的に読まれることも多いと思いますが、電子コミックは配信プラットフォーム上で、非常に多くの作品の中から選ばれなければならない。それだけに、テンポ感は当然のこと、読者の囲い込み方、1話ごとに読み続けてもらう工夫が徹底されており、これが連ドラにもまるまる当てはまるのです」
現在は地上波だけでなく、TVerなどの配信サイトがドラマの主戦場。ここで、「視聴者の時間をどう、自分のドラマに割いてもらうか」をプロデューサーは考えるという。配信サイト上の多くの作品の中で選ばれる…これが電子コミックの購読構造と似ているというわけだ。
マンガ原作ならではの懸念点は?「スタイルをしっかり理解して実写化する」
「たとえば、1月からスタートしたコミックシーモアのオリジナルコミック作品『マイ・ワンナイト・ルール』(著:なかおもとこ/シーモアコミックス)は女性の性をテーマとした作品ですが、原作の時点で誇張しすぎないパワーワードがセリフとして多く散りばめられている。よく、原作そのままだとドラマではのっぺりしてしまうこともあるのですが、本作は1話ごとに“主人公の妄想”という形で自然に性描写が入っており、これも強い絵となる。この自然さ、ショッキングになりすぎない描写は、地上波でも流れるドラマとしてとても重要なことです」
1話ごとに強い引きを作り、読者を飽きさせずに次の話を読ませる。まさに電子コミックの作り方が、連ドラにもハマっているということの表れだろう。それだけに、無理してドラマ用に改変することも減ってくる。
「もちろん、原作では多いモノローグをドラマ仕様にするなどの変更点はありますが、それもやりがいの一つ。むしろ、このスタイルをしっかり理解して実写化することを、ブレないよう心がけています」
『マイ・ワンナイト・ルール』については、こうしたテクニカル面での原作とドラマの親和性もありながら、作品性についても共感が生まれているという。
「『女性は男性に性欲をゆだねないといけないのか?』という問いかけが多いマンガです。まだゴールのない問いだけに、白黒をつけるものではないと思っていて。原作のなかおもとこ先生の思いを聞き、ドラマでも提示はしつつ、最後はユーザーにゆだねたい。性を扱うことでインパクト重視のように見えるかもしれませんが、主人公たちの悩みは視聴者の皆さんも共感できる部分があるはず。少しでも、視聴者の生きる手助け、何かのきっかけになれたらと思っています」
増加するドロドロ系、性、BL…、他局の追随にはなっていない?
TXドラマチューズ!『マイ・ワンナイト・ルール』第3話より(C)「マイ・ワンナイト・ルール」製作委員会
視聴の主戦場が配信に移ったこと、電子コミック実写化の増加も影響しているのだろうが、テレ東ドラマといえば個性的な作品が魅力で、他局とは差別化されたイメージだった。低予算ゆえのアイデア勝負でヒットを飛ばした作品も多く、『孤独のグルメ』や『勇者ヨシヒコ』などはその最たるものだろう。それらに対し、現在の状況は他局の追随とは言えないだろうか。
「他局の作品で例をあげると、MBSさんの『美しい彼』は今のBLブームを牽引するようなヒット作品かと思いますし、“これに続け!”と、テレ東含め各局が流れていっていることは否定できません。テレ東というと、趣味やグルメなどに強いイメージがあるのはわかります。ただ、性やBLなどのテーマは私たちも追いかけたい。優れた他局の作品を観て学び、質を上げていきたいという思いはあります。テレ東ドラマのチープさをいじっていただく声もありますが、それらと『マイ・ワンナイト・ルール』などのジャンルではアイデアの観点が違う。このジャンルではじっくりとクリエイトして、チープな雰囲気は脱したいのです」