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米倉涼子×岸部一徳『ドクターX』12年の絆「最後まで筋を通すことができた」
2012年10月より7シリーズにわたりテレビ朝日系列で放送されてきた連続ドラマ『ドクターX』。専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけを武器に、難易度の高い手術にも果敢に挑んで命を救い続ける、孤高のフリーランスの外科医・大門未知子の活躍を描いてきた。
劇場版で初めて明かされるのは、大門未知子の誕生の秘密。”失敗しない”大門未知子はどのようにして生まれたのか。ダークでミステリアスな孤高の未知子の壮絶な半生とは。『ドクターX』のエピソードゼロでもあり、未知子がシリーズ史上最大の危機に挑む。とある手術にこめられた、未知子の覚悟と決意とは。
米倉一徳さんとは『ドクターX』で初めてお会いしました。何を考えているのかわからないような威厳をもつ俳優さんでした。最初は師弟関係ができるか不安もありましたが、今や本当に公私ともに父親と思うような関係性を築かせていただいて感謝しています。晶さんもそうですけど、一徳さんにはいつまでも元気でいてもらいたいということが、米倉涼子と大門未知子の思いです。
岸部僕はどちらかというとすぐに打ち解ける方ではないんです。でも、米倉さんは撮影がない時も未知子と晶として接してくれたので、長年の二人の関係性が築けたのだと思います。麻雀もそうですが、二人で銭湯に行ったり、焼肉を食べたり、卓球もしたし(笑)。一緒に何かをするシーンが多かったですし、楽しかったですね。
米倉未知子と晶さんがたい焼きを取り合うシーンでは、台本には「取り合う」としか書いてません。どう取り合うかは自分たちで考えなければならないので、それを毎回違うようにと思うと、お互いに新しいアイデアを出し合うようになって。そうやって第1シリーズから二人でつくるシーンがたくさんあって、すごく面白かったんですよね。
岸部面白かったね。晶の台詞は最初からおねえっぽいところもあったのですが、脚本に書かれている通りに演(や)っていました。そのうちに、叫んだり、怒ったり、びっくりするような掛け合いになっていきましたね。
米倉未知子と晶さんがふざければふざけるほど、一徳さんとの絆が深まっていった気がします。
米倉せりふそのものは同じでも、その意味やニュアンスは状況や相手によっても変わるので、設定された状況やその瞬間の空気感に合わせて、いろいろな「私、失敗しないので」があったと思います。
岸部確かに、全部違いますね。優しい意味の「私、失敗しないので」もあれば、戦いを挑むような「私、失敗しないので」もあって。
――晶さんにも決まり文句がありますね、「メロンです」「請求書です」が。
岸部僕はだいたい一緒なんだけど。
米倉一緒じゃないです(笑)。晶さんが高額を吹っ掛ける時のすごみは、怖いと思います。
岸部第1シリーズの伊東四朗さん(毒島隆之介役)の方が怖かったですよ。第2シリーズからの西田敏行さん(蛭間重勝役)も最初は怖かったんですけど、だんだん面白い人になっていきました(笑)。
米倉外国人にとってもわかりやすいみたいで、決まり文句で笑ってくれるのを見た時はうれしかったですね。晶さんの「いただきました〜」のスキップも、見てすぐマネする人がいました。
岸部『ドクターX』が始まったころはリハーサルから本番まで何度でもスキップできたけど、12年も経っていますからね。最近は本番だけにしてもらっています(笑)。
米倉こんなに長い付き合いになるとは私自身も思っていませんでした。
岸部僕もです。
米倉ドラマはドラマで観てもらいたいという気持ちもあったので、映画になるなんて考えていなかったのですが、これで最後にするということであれば、大きな形で区切りをつけたいと思いました。映画化が発表されてから、たくさんのファンの皆様に本当に支えられていたんだな、と改めて実感しました。
岸部本当にすてきな方々がたくさん出てくださいました。
米倉第1シリーズで終わりだと思っていたけど、第2シリーズを「やりましょう!」となり、第2シリーズが終わるときも「これが最後だ」という気持ちで終わった後、しばらくして第3シリーズをやることになって…、というのをずっと繰り返してきたんですよね。しかも、新シリーズが決まるたびに「えー!この方が出て下さるの!」と驚くことばかりで。
岸部皆さん、全力でしたよね。
米倉私たち、かなり威圧感があったみたいです(笑)。緊張して手が震えている新キャストの方を見たこともあります。こちらも同じくらい緊張していたんですけどね。シリーズものだけど、中だるみすることなく、続けることができたのは、新キャラクターを演じてくださった方々のおかげです。皆さんが“大門未知子”をつくってくださったんだと思います。すてきな方々と共演できたことは、私にとっても宝物です。
米倉未知子が心臓マッサージをずっとやり続けるシーンがあるのですが、周りから止められても、「まだ、生きている!」とやり続ける、そこに未知子の医師としてのプライド、医師としてやらなければならないことを表現できたと思います。最後まで未知子として筋を通せたことは良かったと思います。
岸部いつの時代にも医療の限界はありますよね。晶は師匠として、不可能とされている難問を解決して新たな道を切り拓いてほしいと、自分が知る限りのあらゆる医療技術を未知子に教えたんですよね。医療の未来を託したんだと思います。未知子もまた、将来の医療技術の進歩に希望をつなげる。『ドクターX』は楽しいところもたくさんありますが、医療の一番大事なところもしっかり描いていたと思います。
米倉私は小さい頃からバレエを習っていたのですが、思うように成果を出せず、モデルの道に進みました。でも、モデルもこれで良いのかと思うところがあって、今度は役者の道に進みました。振り返って思うのは、練習するとか、耐えるとか、続けるとか、あきらめないとか、目標を持つとか、そういったことが自分自身を成長させ、充実感を得るために欠かせないものだということです。
今回の作品を私の甥っ子が「見に行きたい」と言ってくれました。子どもでも楽しめる内容だと思いますし、若い頃の未知子と今の未知子を見て、「努力して、成長すれば、すごい医者になれる可能性があるんだ」と感じてもらえる、前向きなストーリーになっていると思います。
――本作を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
米倉Yo Nunca Fallo(スペイン語で「私、失敗しないので」)。
岸部とにかく見てもらいたいです。
米倉西田敏行さんの最後の作品でもあります。一徳さんも“未知子”のために撮影でいろいろ頑張ってくださり、晶さんが画面に出てくるだけで一人泣きしちゃいます。
米倉大門未知子は切っても切り離せない米倉涼子の一部です。本当は、ずっと演じていたいです。大門未知子という名前が自分の人生から外れてほしくないという思いがあります。
『劇場版ドクターX』2024年12月6日公開
監督:田村直己
音楽:沢田完
出演:
米倉涼子 田中圭 内田有紀 今田美桜 勝村政信 鈴木浩介 染谷将太 西畑大吾 綾野剛 遠藤憲一 岸部一徳 西田敏行
(C)2024「劇場版ドクターX」製作委員会