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中島健人、“人間の殻を破っていく決意を込めた”アルバム『N / bias』をレビュー! 来年1月開催のソロライブも話題に

 中島健人が新たな一秒を刻み始める──。ソニー・ミュージックよりリリースされた1stアルバム『N / bias』は、彼自身の過去、現在、そして未来への思いを凝縮した渾身の一作だ。リード曲「ピカレスク」では、自らペンを握り描き出した光の粒のような言葉たちが、光と影の狭間で揺れ動く人間の本質や葛藤を鋭く貫き、そして丁寧に優しく拾い上げていく…。グループからの卒業、改めて自身と向き合いながら生み出されたこのアルバムは、果たしてどんな「中島健人」を私たちに見せてくれるのか。──その答えはやはり、彼の“音“の中に隠されている。

「王子、城を抜け出す。」中島健人の影に潜んでいたものが今、目覚める…!

『N / bias』

『N / bias』

 中島健人がソロになって初めてのライブ「KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 “N / bias”」が有明アリーナで2025年1月17(金)・18(土)・19(日) に開催される。これに先駆けて、中島が考案したライブグッズが話題に。特に「ピカレスクの銃口」は、自身が好きな中島の写真を銃口にセットし、トリガーを引くことで、写真を収納した銃口部分が光るという、なんとも近未来サイバーパンク的な、そして「愛すべき厨二病的な」一品としてSNSでも多くのファンがその画像や動画を投稿していた。

 その1人になって初リリースのフルアルバムは、ライブタイトルにもなっている『N / bias』(読み:ノンバイアス)だ。その世界観は「王子、城を抜け出す。」の書き出しのもと、以下のようになっている。

「グループからの卒業、1人になってリリースする初のフルアルバムは、悲しみと怒りが入り交じった絶望が原初となりながらも、1人の人間として未来への希望を見つけていくための楽曲で構成されている。これまでの中島健人に対する評価・偏見を振り払い、人間の殻を破っていく決意を込めた1stアルバム」

 そのリード曲となる「ピカレスク」は、「悪党」という意味もあるが、小説の主人公が自身の遍歴や冒険を物語るときにも使われるキーワードだ。中島が何を思ってこのタイトルと歌詞を綴りだしたのかは分からない。だがその“物語”を帯びた歌詞の中で、自身の「闇落ち」を演出する。特に歌詞、「銃口向け悪と言われる夜さえも ジョーカーの眼から堕ちる 黒い涙と笑みは 嘘かわかるでしょ」では顕著であり、それ以外に選ばれたワードもまるで自らを自らのペンで傷つけているようだ。だが、そこからは「黒い涙と笑み」が浮かぶ……。
 MVでも魔法陣のように張り巡らされた焔(ほむら)の輪の中心に立っているなど独自の世界観があり、同時に自身の背中にある傷を温めて癒しているようにも見える。さらに『N / bias』(読み:ノンバイアス)の言葉通り、そこにはこれまでの“王子様=ケンティ”は幻のような存在となっている。王子というバイアスから抜け出し、新たな哀しい笑顔と涙があふれるリリック&メロディ。これが、あの礼儀正しい青年の楽曲なのか、あの優しさ、はにかみ、明るさは何だったのかと…。「ピカレスク」にも本音をさらけ出し、自身の心の闇を解き放った「中島健人」の姿があった。

夜の闇を取り込み、闇を心にたたえたまま、光の世界へ飛び出そうとする覚悟

 ではアルバム『N / bias』の全体像からも読み解いていこう。03「黄昏れてゆく夜に」は都会感を思わせるダンスナンバー。夜が描かれているが、中島のあたたかな声がリードしてくれるので暗闇を恐れることはない。どうやらこのピカレスク=悪党は、内に多大な優しさを秘めているようだ。次は「Dance on the floor」。刻まれるビート、まるでフロアを切り裂くレーザーまで目に浮かぶような中島の表現力が美しい。そして、ここからの「Scene29」との比較が中島健人という人間の複雑性を見せる。声は双方、優しいのだが、「Scene29」では包みこんでくれるような暖かさと輝きを感じさせてくれる。

 そして07の「jealous」だ。アップテンポの曲調に加えた明るいリズミカルなパフォーマンスが、またまったく違う印象を引き出す。スピード感がありながらもキャッチーであり、彼のスター性をひときわ際立たせている。09「Bye Bye Me」で感じられる中島からは、優しさの中に潜むわずかな切なさを感じさせてくれた。このように、中島健人という一人の人間の新たな顔、それも様々な内面を象徴する楽曲が盛り込まれている。単なる王子様キャラではない。孵化して伸ばし羽ばたく羽根の模様は、驚くほどに多彩な色に満ちている…。

 ところで同アルバムの10曲目は形態ごとに異なっている。アルバムエンディングとして、『N / bias』の制作過程で見つけだされた“中島健人”をそれぞれ異なる3つの側面から描いた楽曲が収録される。

初回限定盤A=光・・・「Heartbeats」
初回限定盤B=夜・闇・・・「Nocturne」
通常盤=“未知”・・・「迷夢」

 このまるで違う3曲。個人的にはこれをコンプリートしてこそ、中島健人の心の奥に迫れると感じている。

 また「CANDY〜Can U be my BABY〜(New Vocal Mix 2024)」や「ROSSSO (Englishver.)」など、SexyZONE時代のソロ楽曲も収録されていることにも注目だ。これらも同楽曲でありながら、同楽曲ではない。つまり現段階の中島健人が、中島健人でありながら、これまでの中島健人ではないことが感じられるに違いない。

 中島健人の1stアルバム『N / bias』は、中島健人という人物がどれほど多くのものを持っていたか、潜めていたかが分かるものとなっている。リード曲「ピカレスク」に刻まれた言葉たちは、彼の内なる何かを音楽というキャンバスに解き放つ覚悟のようなものが感じられた。グループからの卒業という転機を経て、社会勢力と向き合った彼が見つけた新たな自分のかたち。『N / bias』は、中島健人の魂のレコードであり、これまでの中島健人に対する評価に囚われない、これまで秘められていた不可侵領域の特異点なのだ。

 ファンならずとも是非、同アルバムを耳にしてほしい。そこにはこれまであなたが知らなかったであろう中島健人が存在する。まったくの別人ではない。過去と現在、未来がその影にだぶってみえるからこそ、これまでにない彼の新たな人生のうぶ声が聞こえるはずである。

文・衣輪晋一
Sponsored by Sony Music Labels Inc.

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