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長澤まさみの話をしよう〜映画『スオミの話をしよう』公開記念座談会(1)

映画『スオミの話をしよう』(公開中)(左から)小林隆、遠藤憲一、西島秀俊、三谷幸喜、松坂桃李、坂東彌十郎(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

映画『スオミの話をしよう』(公開中)(左から)小林隆、遠藤憲一、西島秀俊、三谷幸喜、松坂桃李、坂東彌十郎(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

 脚本家・演出家・映画監督として、これまでたくさんの笑いと感動を届けてきた三谷幸喜が脚本・監督を務める映画最新作『スオミの話をしよう』が公開された。前作『記憶にございません!』以来5年ぶり、映画監督作品としては9作目となる本作は、俳優の長澤まさみ主演のミステリー・コメディ。

 大富豪の妻・スオミが突然行方をくらませた。スオミが消えたことを知り、夫が住む邸宅に集結したのは、彼女を愛した5人の男たち。誰が一番スオミを愛していたのか。誰が一番スオミに愛されていたか。男たちは、スオミの安否そっちのけで、「自分が最もスオミのことを愛し、愛されていた」と語り合う。しかし、彼らが語るスオミのイメージはそれぞれ、見た目も、性格も、まったく異なるものだった。スオミはどこへ消えたのか。スオミとは一体、何者なのか。

 それぞれの夫たちの思い出の中のスオミを演じ分けた長澤の七変化ぶりが見どころの本作。対峙する相手によって全く異なるキャラを演じ、キャラごとにテイストの異なるファッションを着こなす “長澤まさみ”という俳優は何者なのか。彼女の芝居を目の当たりにした三谷監督、スオミの夫たちを演じた、西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎に集まってもらった。
――長澤まさみさんと共演した感想を聞かせてください。

1番目の夫:血の気の多い庭師・魚山大吉(ととやま・だいきち)

遠藤憲一まさみちゃんに「普段、奥さんから何て呼ばれているの?」と聞かれて、「ケロヨン」が転じて「ケル」って答えたら、「ケル」と呼ばれそうになったから、「それはやめて」と言って。下の名前で呼ばれるのが好きだから、「憲一って呼んで」とお願いした。一回、すごく引かれちゃったけど、それからは「憲一」って呼んでくれるようになったんです。

 じつは、雑談が得意じゃなくて。まさみちゃんと話していて、うまく話が弾まなくて、まさみちゃんに「絡みづらっ」って言われちゃって。でも、「思ったことを正直に言う人なんだな」と思って。それから積極的に話しかけていったら、まさみちゃんもだんだん自分のことを話し始めてくれて。「実は緊張しやすいし、人見知りなんだ」と言い出した。俺も同じで、「俺も、俺も」って感じになって。自分が緊張しやすくて人見知りすることは、ずっとマイナスな面だと思っていたんだけど、まさみちゃんもそんな一面を持っていると聞いて、それでもいろんな作品を引っ張っていることに驚きました。

2番目の夫:怪しげなYouTuber・十勝左衛門(とかち・ざえもん)

松坂桃李長澤さんの世代で、コメディ作品であそこまで思い切って演じられる方を、あまり見たことがない気がします。テレビのCMでも、結構思い切ったことをやっていたりしますよね。でも、実際に本人に会うと、クールではないんですけど、普通に静かな感じというか。でも、スイッチが入ると、思い切り弾けられる。それがやっぱりすごいと思いました。

3番目の夫:情に厚い警察官・宇賀神守(うがじん・まもる)

小林隆きちんと芝居をするのは今回が初めてだったんですよね。私の回想シーンが3つあったんですが、その3つのシーンそれぞれで表情が異なっていて、「この人、一体どれだけ引き出しを持っているんだろう」と驚きました。同時に、身が引き締まる思いでした。本当に、センターに立つのがふさわしい女優さん、俳優さんだと思いました。

4番目の夫:神経質な警察官・草野圭吾(くさの・けいご)

西島秀俊今回の現場で、長澤さんは演技をするたびに「うーん」と悩まれていたんですね。『シン・ウルトラマン』(2022年)でご一緒した時は、そんな姿を見ることがなかったのですが、今回は本当に悩まれていましたね。ご本人がおっしゃっていたのは、スオミは対峙する相手によって異なる一面を見せているだけで、根っこは同じ一人の人間。多面的なだけで、別人に扮しているわけではない、と。すごく難しいことに挑戦されていたんです。本当に毎回悩まれていて、ここまで徹底して突き詰める方なんだなと改めて感じました。

5番目の夫:身勝手な芸術家で大富豪の現夫・寒川しずお(さむかわ・しずお)

坂東彌十郎長澤さんとお会いするのは今作が初めてでしたが、一番すごいと思ったのは、試写を拝見した時です。私が見ていない、元夫の方々とのシーンを見て、こんなにも違うんだ、と驚きました。例えば、シャンパンを開けるのが苦手なシーンがありましたが、僕とのシーンでは本当に早くて上手だったです。普通の人でもあんなに早くは抜けないと思うので、きっと練習したんだろうなと、感じました。悩まれることも多かったのかもしれませんが、本番で思い切った芝居ができるのはすごいと思います。
――三谷監督は長澤さんとドラマ、舞台でタッグを組んできましたが、意外にも映画は今回が初ですね。

三谷幸喜初めてしっかりと仕事をしたのは、斉藤由貴さんとの二人芝居『紫式部ダイアリー』(2014年)。その時、とても力のある俳優さんだなと思いました。その後、『真田丸』(16年)にも出てもらい、『鎌倉殿の13人』(22年)のナレーターも担当していただきました。僕としても長澤さんでいつか映画をやりたいと思っていました。僕は普段俳優さんと食事に行ったりしないし、みんなそのことを知ってるのか、誘われもしないんだけど(笑)、長澤さんは積極的に連絡をくださる方ですね。

 今回、いろんなキャラを演じていますが、おそらく彼女の本質に一番近いのは、西島さん演じる草野と一緒にいるときのスオミだと思います。憲一演じる魚山と一緒にいる時のべらんめえ調のキャラが一番苦労されていました。僕から見た長澤さんは本当に真面目で一生懸命で、ひたむきな方なんです。いつも悩んでいて、OKが出た後も「やり遂げた!」という感じになかなかならず、「これで良かったんだろうか」と反省したり、落ち込まれたりしている。完璧主義者だと思います。

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