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スーツをめくれば、裏地に“推し”がチラリ…『ラブライブ!』コラボで新規ユーザーを獲得、進化するオーダースーツ
推し活には“さりげなさ”も肝心、推しの露出具合を調整できる仕様に
「作品の世界観や推しを知っているということで、楽しさを感じてもらいたい」
さらにキャンペーンが始まれば、多くのファンが来店することが予想されたため、全店舗の社員に向けた研修を実施。『ラブライブ!』や『ニジガク』がどういうコンテンツか。それぞれのキャラクターの説明といった共通認識を全国の店舗スタッフに浸透させていった。「私もアーティストのグッズを買うことがあるのでわかるのですが、一番悲しいのは受け止める販売員とお客様の間に“熱量の違い”があるときですよね。その差がありすぎると、途端に購買意欲も下がる。販売員も作品の世界観や推しを知っているということで、楽しさを感じてもらいたいと思いました」(販促部 河本部長)。
そうしたポリシーは、フレッシャーズスーツの広告に2年連続でINIをイメージキャラクターに起用した経験が生かされているという。INIといえば若年層に人気のグローバルボーイズグループ。「まずは11人のメンバーについて勉強しましょうというところからはじめて、そこからフレッシャーズ商戦に入りました。INIのファンの方は女性が多いんですが、お父さまを店舗に連れてきてくださったこともありました。お母さま世代のファンの方は息子さんを連れてきてくださって『メンバー着用商品のコーディネートでお願いします』という具合に、名指しで購入くださったこともありました。やはり推し活をされているお客さまに対しては、受け入れ側もしっかりと準備をしなくてはいけない。その下地があったからこそ、『ニジガク』においてもすんなりと入ることができたと思います」(河本氏)。
「スーツが仕立てられる目安を知っていただく良い機会になった」
「洋服の青山」の客層については、就活、入社といったタイミングでの若い層のニーズはあるものの、基本的なボリュームゾーンは40代、50代。そこで若い世代にオーダースーツをもっと身近に感じてもらおうと企画されたのが今回のコラボとなる。そしてその施策は見事にはまり、SNSなどでも「推しと一緒に働くことができる安心感」「仕事のモチベーションも上がる!」など、大きな反響を呼んだ。
コラボをきっかけに、これまでの客層とは違う、女性客や、若い年齢層の顧客の来店も増えているという。「スーツはもちろんですが、同時期に販売がスタートしたグッズを目当てにご来店されるお客さまも多かったですね。池袋東口総本店では限定の装飾を展開しているのですが、池袋はアニメの街なのでアニメショップに行った流れで、こちらに立ち寄っていただくお客さまも多いです。『洋服の青山』は全国に682店舗を構えていますが、それでもまだ知らないというお客さまもいらっしゃるので、そういった面でコラボを実現させることができて良かったですね」(河本氏)
コラボグッズの取り扱いは、47都道府県の中で必ず1店舗はグッズを取り扱うようにと調整が行われた。もし仮に近くの店舗での取り扱いがなかったとしても、オンラインストアで購入できるようフォローも万全となっている。またグッズ購入者の中で、3割の顧客が再来店しているというデータもある。
そんな「ニジガク」とのコラボは10月末でいったん終了となる。「やはりオーダースーツというのは少々ハードルが高いと思います。その中で、洋服の青山であればこれくらいの予算でスーツが仕立てられる、といった目安を知っていただく良い機会になったと思います。自分の身体に合ったサイズ感、自分に合った特別な一着、というところは販売員がしっかりとご案内できます。今後、自分だけの一着を探したいと思った時に、スーツを仕立てるならば洋服の青山で、という流れにしていけたらと思っております」と意気込む河本氏。今後も意欲的なコラボ企画が用意されているということで、どのような展開となるのか、今から期待がふくらむ。
取材・文/壬生智裕