ORICON NEWS
【医師に聞く】「糞便のような体臭」「酸っぱいにおい」の正体は? “男女の体臭”に違いも…皮膚科医が解説
糞便のにおいや酸っぱいにおい…、不快な体臭を放ちやすいのは男性? 女性?
「まず、においには個人差があり、一概に男性だけというわけではありません。体臭の原因は主に体から分泌される汗と皮脂です。汗と皮脂が混ざり合ったり、それにより皮膚の細菌が増えることによりにおい物質が発生します。ただ、人体の仕組みとして医学的に述べるなら、一般的に男性の方がアポクリン腺や皮脂腺が活発であることは確かです。皮脂腺からは体臭の原因となる“スカトール”“インドール”という成分が分泌されるので、皮脂腺が活発な男性の方がにおいやすいと言えるでしょう」
――“スカトール”“インドール”とはどんなにおいですか?
「濃度が高いと、微量でも強烈な糞便のようなにおいになります。どちらも動物の糞に含まれる物質で、ヒトにおいても腸内細菌の代謝過程(特に悪玉菌)で産生されます。皮脂と混じり合うことでより強い体臭を発生されるため、皮脂腺が発達していると、そのようなにおいを発してしまう可能性がありますね。ただ低濃度な場合はジャスミンのような香りがして、香水でジャスミンの香りを作るときにも必要な成分です。男性でも皮脂腺が活発でない方なら、不快なにおいが出にくいということは言えます」
――強烈な糞便のにおいというのは恐ろしいですね…。ほかに、夏の暑い時期には酸っぱいにおいを発している人もいますが、これは?
「皮膚表面にいる細菌が汗や皮脂中を分解して酸っぱいにおいの酸(酢酸、プロピオン酸など)を産生します。また、運動によって体内に乳酸がたまると、汗に一部排泄されますが、これも酸っぱいにおいの原因のひとつとなります。夏場は汗をかくことが多いので、酸っぱいにおいは汗の影響が大きいと思われますが、汗に関しても一般に男性の方がかきやすいため男性のほうがにおいやすいです」
――ほかに、男性の体臭が強くなる原因はありますか?
「皮膚のPh値も関係しますね。男性は女性より皮膚表面の酸性度合いが若干高く、これによりにおいの強い菌が増加する可能性はあるようです」
体毛や食べ物も体臭に影響、女性でも安心はできない
「体毛もにおいの元になります。たとえば脇毛にしても、毛が多ければ多いほど汗を吸収しやくなって、蒸れたり雑菌が増殖しやすくなったりします。雑菌の温床になるということは、その分においが発生しやすいということです。男性の方が体毛が濃い傾向にあり、女性は脱毛などで体毛が少ないことが多い。必然的に、においを発生させるのは男性が多くなるのだと思います」
――食べ物も影響しますか?
「肉や脂質の多い食事が、体臭につながることもあります。やはり、ラーメン店の行列に男性が多いように、においの原因になりやすい食事は男性のほうがしがちです」
――医学的に見ても、女性より男性のほうが体臭が強いというのは事実なのですね。
「傾向でいえば、その通りです。でも、例えば女性が男性ホルモンの注射を打つと、おそらくアポクリン腺や皮脂腺が活発化して体臭は強くなると思われます。また女性でも、汗をかいたあと放置して汗が酸化したり、衣服に雑菌が増殖すれば、同じようににおいを発します。そこに性差はありません。また、アポクリン腺や皮脂腺が活発な女性もいるので、やはり『人による』と言わざるを得ないかと」