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『キングダム 大将軍の帰還』大ヒット 漫画の実写映画化を次々と成功させる佐藤信介監督を大解剖

佐藤信介監督(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

佐藤信介監督(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.

 原泰久氏の同名漫画を山崎賢人(※崎=たつさき)主演で実写映画化したシリーズ第4弾『キングダム 大将軍の帰還』(公開中)。当初「邦画の予算では再現不可能」と言われた漫画『キングダム』の実写映画化を見事に実現させた佐藤信介監督。

 『キングダム』シリーズのほかにも、『GANTZ』シリーズ(2011年に全2作)、『図書館戦争』シリーズ(13年、15年)、『アイアムアヒーロー』(16年)、『デスノート Light up the NEW world』(16年)、『いぬやしき』(18年)、『BLEACH 死神代行篇』(18年)、Netflixシリーズ『今際の国のアリス』(20年、22年)と、人気漫画を日本映画・ドラマの枠を超えたスペクタクルな作品へと昇華させてきた。

 『キングダム』シリーズ4作をともに手がけた松橋真三プロデューサーは「佐藤監督は本当に天才だと思っています。監督と一緒にやっていなかったら、この予算でこの迫力の作品は作れていなかった」とその手腕を称えている。佐藤監督が「天才」と言われる理由、漫画の実写化を成功させる秘けつとは?

作品へのインスピレーションの源は西部劇!?

――子どもの頃から映画監督になりたいと思っていたのですか?

佐藤父親が大の西部劇好きだったんです。父は高校・大学時代をアメリカで過ごしていて、1950年代・60年代の西部劇を浴びるように見ていた。その後、帰国して自分が生まれて、子どもに見せる映画が全部西部劇だった(笑)。とにかく西部劇を見させられて、それで映画が大好きになりました。

 自分で好きな映画を見るようになった80年代は、ジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』やスティーヴン・スピルバーグの『インディ・ジョーンズ』、『E.T』など、ハリウッドのブロックバスター映画が勃興した時代で、ますます映画にどハマりして。でも、なぜか自分で映画を撮るという発想にはならなかったんですよね。

 中学生の頃は、絵描きになるか、物書きになるか、どっちかないしはどっちもやりたいと本気で思っていたんです。高校1年の時、学校から進路選択を促されて、迷ったんです。美術系へ進むか、文系に行くか。それでふと、この2つ合わせると、昔から大好きだった映画になるんじゃないか、って思いついたんですよ。膝を打つような感覚を今でもよく覚えています(笑)。その日から将来のことを聞かれたら、「映画監督になります!」と言うようになって。周りはポカーンとしていましたけど、自分の中の理屈はすごく通っていたんです。
――「映画監督」になるために佐藤監督が選んだ進学先は武蔵野美術大学だったですね。

佐藤当時、美術系の大学に行かなきゃ、って思ったんですよね。後になって人から言われたのは、映画を画でとらえているからなんじゃないかって。思い返せば、子どもの頃、空想で映画を作っていたんですよ。僕が生まれ育ったのは近くに映画館もない田舎町で、新作映画もなかなか見られなかったし、当時はまだビデオもなかった。今みたいにスマホで誰でも簡単に映像が見られたり、映像が撮れたりする時代でもなかった。学校の帰り道、トボトボ歩きながら頭の中だけで自分にしかわからない映画を作って、続きは明日、みたいなことをやっていたんです。その時、頭の中で描いていたのは空想の映画でした。とにかく、映画監督になるという一途な気持ちで、一浪を経た大学受験ではデッサンや絵画やデザインの基礎を叩き込みました。

 大学に入って、仲間ができて、中には高校時代から8ミリ映画を作ってる人もいて。大学には撮影機材もそろっていたし、成瀬巳喜男やエリック・ロメール、ハワード・ホークスなど、映画の趣向も豊富になっていきました。ほかの学生の現場を手伝って、それでようやく自分でも自主映画を作るようになったんです。

 在学中に作った2本目の『寮内厳粛』で「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」(1994年、第17回)のグランプリをとったんですけど、それが大きな転換点になりました。賞をいただいた時、すでに3本目の作品に取りかかっていて、ちょうど自分なりのスタイルを掴んでいました。『寮内厳粛』は、浪人生たちのとある1日の中で起きたことを物語にしたのですが、初めて自分らしい作品が撮れたと思えた作品だったので、それで賞をとれたというのは大きかったですね。

――『キングダム2 遥かなる大地へ』(22年)は、信にとっての初陣、大将軍への第一歩でもある“蛇甘(だかん)平原”の戦いを描いていますが、出発して一晩野営地で過ごして、翌日には戦いが終わっている。ほぼ1日の出来事でしたね。

佐藤そうですね。『キングダム』シリーズでは、とても短い時間を濃く描くことが多いです。自主映画の時も、1日だけの物語を描くのが好きでした。場所や時間を限定して描いた物語が好きでした。そういう意味では『キングダム』は、ちょっと自分向きの映画だ、と密かに思っていました(笑)。
出演:
山崎賢人(※崎=たつさき) 吉沢亮 橋本環奈 清野菜名 吉川晃司 小栗旬 大沢たかお ほか

監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉・原泰久
音楽:やまだ豊
原作:原泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)

(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会

公式サイト:http://kingdom-the-movie.jp

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