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「感性による相互理解は言語以上の繋がりを生む」“奏でる”ことで音楽の本質に触れる 山野楽器 山野 政彦×オリコン 小池 恒 対談

コロナ禍で「楽器を演奏する」というマインドが向上、一方で管楽器の製作が継承危機に?

  • オリコン株式会社   小池 恒社長

    オリコン株式会社 小池 恒社長

――トレンドやプラットフォームの移り変わりも激しい業界ですが、改めてコロナによるパンデミックからアフターコロナに至るこの5年間、音楽ジャンルにおいてどのような変化を実感されていますでしょうか?

【山野 政彦】まずコロナ禍ですが、ネットからではなく直接お店にいらっしゃって弊社の販売員たちとのコミュニケーションで情報を得ていた年配の方々のご来店は激減しました。結果、演歌や歌謡曲のCD売上は大打撃を受けました。これに関しましてはアフターコロナでも回復せず。といいますのも、コロナ明けで家族旅行をするなど、アウトドアな活動をする方が増えたんですね。お年を召した方々も同様で、演歌や歌謡曲を購入されていた方々のライフスタイルが変わってしまったことが見て取れます。

【小池 恒】一方でK-POPがトレンドになったり、ステイホームでライブもオンデマンドで閲覧する方が増え、サブスクサービスを登録する方の加速度も増しました。その流れから音楽の聴き方も大きく変わったと言えるでしょう。あと、これはコロナとの関連性は定かではありませんが、アニメ主題歌からのヒットも大きくなっています。またAdoさんのようなネット発の歌い手の流れもありますが、顔を見せずに売り出していくというのは過去にZARDもありましたし、これはコロナというよりは彼女のボーカリストとしての力量の凄さ、またそれに対するユーザーからのレスポンスが起こした現象として見たほうがいいと思います。

【山野 政彦】『鬼滅の刃』をはじめとする、アニメとのコラボレーションは増えましたよね。実は僕も『鬼滅の刃』は世の中が騒ぐ前からハマりまして(笑)。また、トレンドの流れで見れば、2022年の『SOFTLY』、『ユーミン万歳』、『いつも何処かで』の発売など、山下達郎さん、松任谷由実さん、桑田佳祐さんをはじめとする大御所アーティストの変わらぬ輝きを実感しました。あと日本の70年代シティポップブーム。竹内まりやさんの「PLASTIC LOVE」が再評価されたことも大きかった。コロナと音楽での最も大きな相関という意味では、イベントやコンサートの復活により、ライブ配信などでは感じることが出来なかった現実の感動がどれほどのものだったのかをファン、アーティストが再認識した5年間だったと思います。

―― 一方でコロナによる“おうち時間”の増加により、音楽との向き合い方にも変化が生じました。YouTubeなどの影響もあり、「楽器を演奏する」というマインドがより強まったと思います。

【山野 政彦】おっしゃる通りです。星野源さんのステイホームのギター演奏動画などもあり、アコースティックギターや、ウクレレ、電子ピアノなど、自宅で一人で演奏できる楽器の売上が爆増しました。YouTubeもコロナ禍で非常に活性化し、マイクやオーディオインターフェイスなど音響機器、同時に防音室も併せてお求めいただきました。ただ、管楽器は飛沫が飛ぶということで売上が激減しました。ギターと電子ピアノとの売上で相殺されましたが、コロナ禍で管楽器を製作していた方々の仕事がなくなり、その技術が違う方面へと流れるという現象も起こりました。これはアフターコロナでも改善しておらず、管楽器自体の需要は戻ってきても製作する職人がおらず、需要と供給のバランスが崩れている状況です。管楽器の消失を防ぐためにも、早急な対応が必要です。

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