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「夢にまで見た瞬間だった…」豊胸手術した元男性が明かすコンプレックスの日々と術後の実態
念願の豊胸で最初は異物感も「靴下を胸に入れて盛っていた虚無感とは離別」
「今はだいぶ馴染みました。触り心地も柔らかくなって(笑)」
――術後すぐは柔らかくないんですね?
「そうなんですよ。シリコン豊胸なんですが、はじめは結構張りがあるというか、とても硬くて、このままだったらどうしようと不安になりましたが、数ヵ月すると徐々に柔らかくなって、身体になじんできました」
「もともとなかった場所なので当然、異物感はあります。重みというか、なんかついている感覚と言うか…。最初の数ヵ月は皮膚がつっぱる感じもありましたね」
――なるほど…。当日とダウンタイム中の様子も公開されていますが、豊胸手術で最も大変だったのはどのような事でしょうか。
「一番大変なのは固定バンドを1ヵ月ぐらい装着しなければならなかったこと。手術をしたのが夏だったので、暑いし蒸れるし。でもこの過程を踏まないと、胸の位置が動いてしまうらしいんです。でも24時間ずっと締め付けられている状態がとにかく辛くて。術後の痛みについては覚悟していたほどではなかったので、豊胸手術をした次の日にクルージングで遊びに行ったぐらいです(笑)。術後1週間ぐらいになると、普通の時は全然平気で、上の物をとる時に腕を上げるとか、歩いている時の振動でちょっと痛みを感じるくらいでした」
――YouTubeでは「夢にまで見た瞬間」「嬉しいしかない」と明かされていました。改めて術後の心境をうかがえますか。
「それまではブラの中に専用のパッドを入れていましたが、なかなか理想の形にならず、毎回、靴下やティッシュで調整していました。でも、胸に靴下を詰めながら、不意に冷静になって『何をしているんだろう』と、虚無感に襲われるんです。靴下を詰めているから、胸元の開いた服も着られないし、不自然に見えそうでピタッとした服も着られない。とにかく胸がコンプレックスで、理想とギャップに苦しみました。笑い話のように聞こえるかもしれませんが、本当に絶望するんです。胸に靴下を詰めている日常に。今は、可愛い下着も着たい服も着られて、本当に嬉しいしかないです」
公表されにくい“豊胸”の実態「発信者として悩んでいる人の助けになりたかった」
「女性ホルモン注射をしたことで、全体に脂肪がついて女性っぽくはなってきたんですが、胸は少しふくらんだかな、という程度でした。自分の理想に近づきたいと思ったとき、豊胸しかないなと思って」
――豊かな胸が憧れだったんですね。
「胸だけが女性らしさにつながる部分ではないと思いますが、コンプレックスを抱えていた部分だったので…。靴下でごまかす毎日じゃなくて、普通の女性の見た目になりたかったんです」
――手術に不安や心配などは…
「悩み抜いて覚悟を決めた上での決断だったので、怖さはあまりなくて、『やりたい』という想いのほうが強かったです。手術が決まってからは、“豊胸後の生まれ変わった自分を見てめちゃくちゃ嬉しくなっている夢”を見たほどです(笑)。手術は全身麻酔だったので、あっと言う間で。終わった直後から、着たい水着や服のことばかり考えていました」
「豊胸については、いろんな意見があると思うし、プライベートなことなので、配信しないという選択もできたんですが、性別関係なく、コンプレックスで豊胸する人はいますよね。でも、やっぱり言いにくいことなので公表してないっていう人の方が絶対に多い。だから、私は発信者として今の状況を伝えたいし、手術について悩んでいる人の参考になればいいな、と」
――それで手術当日やダウンタイム中も公開されたんですね。
「悩んでいる方にとって少しでも役に立つ情報があったら嬉しいです」
――女性ホルモン注射や豊胸手術など、凛さんの女性化について、ご家族は?
「実はもう長い間、父とは連絡を取ってないんです。自分の人生は自分で決めろというタイプではあるのですが、どう思っているかもわかりません。姉には全て話していますが、おそらく姉が父に話しているし、私のYouTubeも見ていると聞いていたから知ってくれているとは思うのですが…。今こうして東京で自分らしく頑張っているから、きっと何も言ってこないのでしょうね。いずれはきちんと話ができれば、と思います」
――身体のコンプレックスや生まれ持った性への違和感などに悩みを抱えている方へのアドバイスをお願いします。
「私的には、同じ悩みを抱える人と友だちになるのが一番早いかなと思います。もし近くにいなければ、私のYouTubeを見てくれてもいいし、同じような悩みや生き方をしている人を見ることによって心強さというのは大きく変わると思うんですよ。ただ女性ホルモン注射や豊胸、性別適合手術などは様々なリスクもあります。しっかり覚悟ができるまで安易な気持ちでは受けないほうがいいのではないかと思います。自分らしく生きるために最善の方法を自分で見つけて、自分だけの人生を歩んでほしいと思います」
(取材・文/衣輪晋一)