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“豆ガシャ本”がカプセルトイの新たなジャンル確立 ミニチュアサイズの精巧な本が今後の書籍市場にも影響を及ぼす?
伸長するカプセルトイ市場に新たな刺客、細部にまでこだわる全頁フルカラーの“豆サイズ本”
「全頁別デザイン&カバーになるカプセル同梱のミニブック、もしくは全頁フルカラーなど細部にこだわった仕様を追求し、『豆ガシャ本』シリーズを立ち上げました」(バンダイ ベンダー事業部・野添よう子さん/以下同)
開発担当である野添さんは「ずっとやりたいと思っていた書籍のミニチュアを手掛けることが決まり、シリーズ第1弾として『豆ガシャ本 5分後に意外な結末』を発売しました」と当時を振り返る。モチーフとなった『5分後に意外な結末』は、2023年12月現在でシリーズ合わせて既刊30巻、シリーズ発行部数500万部を突破(2023年12月時点)しており、児童書の人気ランキングで常に上位に位置する、小中学生に人気のシリーズ本だ。
『豆ガシャ本』シリーズは主に20〜30代の女性をターゲットとしているそうだが、第1弾商品が児童文学だった理由はなぜだろう。
「当時読んでいた世代の方が現在20代になっていることを見越して、大人の女性をターゲットに見据えました。またお子さんと一緒に読んでいるであろう母親世代もターゲットにしました」
『豆ガシャ本』が発売されるや、SNSでは「この作りこみすごい」「頑張れば実は読めるのすごい」など反響は大きかったという。初回でこれだけの反響があるのであれば、この後も出したい書籍の企画はたくさんあったため、シリーズ展開を決めたそうだ。
印刷技術の限界に挑戦、実書籍の完全ミニチュア化にこだわり
「開発担当として紙を使った『色紙』や『クリアファイル』といった国内印刷物も多数担当してきましたが、印刷技術の向上もあり、印刷技術の限界に挑戦してみたいと思ったことが『豆ガシャ本』のきっかけです。フルカラーで色が多く重なっているものは文字がつぶれないか、漫画はトーンがきれいに出ているかなど、実書籍と同じように見えるかにこだわりました。カバーがあるものは仕様を詰め、商品に同梱するミニブックを切ったらカバーになる仕様にしたりと、実書籍を徹底的にミニチュア化することにこだわっています」
書籍をそのまま完全ミニチュア化することに全精力を注いでいるという同シリーズ。「実用性があるに越したことないですが、クオリティにこだわり、手に入れてくださったお客様が思わず誰かに共有したくなるような商品でありたいと思っております」と野添さんは言う。実際にSNSとの相性は良く、若年層やミニチュアコレクターが複数個入手し、並べて撮った写真やペラペラめくった動画を投稿する様子が散見される。
これまでのノウハウを生かし、常に新しいもので“驚き”を提供
昨年発売された『〜ランチパックBOOK』は、もともと宝島社から発売していたムック本をミニチュア化したユニークな商品。本の内容だけでなく付録のポーチも再現され、多くのファンから注目を集めた。ミニフィギュア+豆ガシャ本といった複数商品を落とし込んだ、いわば同社の技術力を一つにしたような商品だと言える。
「『豆ガシャ本シリーズ』のスタート以降、ありがたいことに多種多様なテーマの書籍をご許諾いただき、商品化させていただきました。その中で新たな感動を提供するために、人気のムック本に目を付け、宝島社さまに相談し、山崎製パンさまにも力添えをいただき、商品化となりました。“ミニフィギュア+豆ガシャ本”といった複数商品を1つに落とし込むことは、弊社ならでは。全頁別デザインを印刷しており、実書籍の完全ミニチュア化にこだわりました」
“おもちゃ感ゼロ”のクオリティが書籍の希望となるか
「これまでも常に新しいもので驚きを提供させていただいてきました。まだまだ世の中には書籍があふれています。他のアイデアも絶賛検討中ですので、お楽しみにしてください。『〜ランチパックBOOK』も豆ガシャ本にできましたので、これからもさまざまなジャンルに挑戦したいと思っています」
電子書籍が定着して久しいが、最近では音声を聞くことで読書を楽しむ「オーディオブック」も人気で、読書を楽しむ方法も多種多様。「紙の本は斜陽」だともささやかれているが、そんな中、人気のカプセルトイとの組み合わせで、再現性の高い“豆サイズの書籍”をきっかけに、多くのユーザーが「紙の本」を再び手に取る…そんな可能性も大いに考えられるだろう。
「今まで『豆ガシャ本』として商品化させていただいた権利元の商品は素晴らしいものばかりです。ミニチュアが好きでまだその作品を読んだことがなかった方が、弊社の『豆ガシャ本』を手に取り、実際に実書籍を読んでみたいとなれば光栄だなと思っております」
かつてはキーホルダーやジョークグッズという位置づけだったカプセルトイだが、『豆ガシャ本』における技術力や実用性の向上には、さらなる新しい可能性を感じずにはいられない。この小さな本が、未来の書籍の在り方を担うことになるかもしれない。
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