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経営破綻のサロンが続々…脱毛ビジネスの是非 被害者と医師に聞く“脱毛”を取り巻く現状
脱毛サロンの歪なビジネスモデル“通い放題”で経営破綻続々 医療クリニックで広がる被害者救済の動き
全国主要都市に医院を展開する共立美容外科では、被害に遭った人を対象に通常価格から最大80%オフで医療脱毛を受けられる「脱毛トラブル応援プラン」を期間限定で提供。また、全ての人が安心して通えるように、コースだけでなく都度払いも選べる医療脱毛の新セットプラン12種類を3月11日より提供を開始した。
脱毛トラブル応援プランの利用者の1人である東京都・40代女性のKさんは「通い放題プランで35万円支払ったが、(サービス停止による)返金は受けられなかった」と言う。
近年は長期間の施術を前提として「通い放題」をうたう脱毛サロンが目立つ。共立美容外科の實藤健作医師は「エステ脱毛は医療脱毛と比べて脱毛効果が低く、時間が経てば必ず毛は生えてくる。“ムダ毛がない状態”をキープするためには繰り返し通わなければいけないため、“通い放題”というプランが編み出されたのではないか」と推測する。
しかし「通い放題」の利用者が増えれば予約は取りづらくなり、不満が口コミで広がれば新規顧客も獲得できなくなる。それでも「通い放題」のため契約金以上は請求できず、“無料”で施術を続けなければならない──。前述のKさんも8年通い続けたが、「予約が取りづらかった」と言う。脱毛サロンの経営破綻が相次いでいるのは、そうした歪なビジネスモデルが背景にあるようだ。
さらに近年は、「医療脱毛ができるクリニックも増え、価格もかつてに比べ安価で施術できるようになりました」と共立美容外科の實藤医師はいう。
医療機関でないと“永久脱毛”とはうたえない…消費者のミスリードを誘う脱毛サロンの“永久保証”
「医療脱毛とは、毛包幹細胞などを破壊して毛が生えてない状態にすることです。この毛包幹細胞などを破壊するのは医療行為であり、医療法第17条により専門の医療者のいる医療機関でしか行うことができません。細胞を破壊するという多少なりとも医療リスクを伴う行為のため、万が一のリスクに対応できる医療者にのみ許可されています。
一方、エステ脱毛では毛包幹細胞を破壊する行為は禁止されている。つまり時間が経てば毛は生えてきますので、“脱毛”とはいっても実態は“除毛・減毛”に近いのではないでしょうか」(共立美容外科・實藤医師)
ところがどちらも“脱毛”という言葉でひと括りにされているため、「エステサロンでも医療機関でも同じ効果が得られる」と思い込む人も少なからずいる。それにより、「希望するサービスとのミスマッチが起きているのでないか」と共立美容外科の實藤医師は言う。
「医療脱毛は脱毛効果が高いのですが、施術に伴う痛みもあります。もちろん痛みを軽減する処置はしますが、痛みの耐性は人それぞれ。医療脱毛が痛いからとエステ脱毛にシフトされる方も一定数います。それぞれの違いやメリット・デメリットを知り、またカウンセリングでしっかり説明を受けた上で、ご自身の希望するサービスを選択されるのがベストです」
脱毛サービスを知るきっかけとして増えているのが、ネット広告やSNS広告だ。ちなみに前述のようにエステ脱毛は「毛包幹細胞を破壊できない=時間が経てば生えてくる」ため、「永久脱毛」など「施術を受けたら生えてこない」ことを保証するような表現は景表法上で禁止されている。
「一方で、医療脱毛は“永久脱毛”という表現は可能です。ただし人間の体は再生する力があります。毛包幹細胞も再生される可能性があるため、医療脱毛を受けたから必ずしも“永久に生えてこない”というわけではありません」(共立美容外科・實藤医師)
美容や医療に関わる広告規制が厳しくなっており、「永久脱毛をうたう脱毛サロンは減っているのでは」と共立美容外科の實藤医師はいう。一方で「“永久保証”といった、消費者のミスリードを誘うような広告は増えている印象」とのことだ。
施術途中で高額なコース勧誘…脱毛サロンの経営破綻により“通い放題=永久”も叶わず
脱毛エステサロンの広告には「通い放題」のほかにも、「お試し施術」や「月額○円」といった安価や気軽さをアピールする文言が目立つ。しかし当然ながらそれだけでは経営は成り立たない。Kさんは「施術途中で高額なコースに勧誘されたことがある」と証言している。同様の事例は国民生活センターにも数多く寄せられており、「強引に契約を迫られてもきっぱりと断ること」とアドバイスしている。
広告はメリットが強調されがちだが、トラブルに遭わないためには広告だけを鵜呑みにせず十分に情報収集をすることが大切だ。安価をうたったSNS広告が増えたことから、近年は特に10代のトラブルが急増している。共立美容外科では未成年の場合、親の同意がないと施術は受けられない。本来そうしたことも未成年の場合、クリニックやサロンを選ぶ上での指標となる。年頃のお子さんをお持ちの家庭は、薄着の季節の前に家族と話し合っておくのも良いかもしれない。
(文/児玉澄子)
共立美容外科 大阪・梅田院院長 實藤健作(さねふじ けんさく)先生 プロフィール
2004年、国立病院機構別府医療センターに勤務。
2005年、西有田共立病院に勤務。
2006年、九州大学大学院に入学。
2009年、医学博士号を取得(甲号)。同年、九州大学大学院を早期卒業し、新中間病院に勤務。
2010年、大分赤十字病院に勤務。
2014年、宗像医師会病院に勤務。
2017年、広島赤十字原爆病院に勤務。
2018年、大分赤十字病院に勤務し、第一外科副部長就任。
2021年、某大手美容クリニックに入職。
2022年、共立美容外科に入職し、翌年に大阪・梅田院の院長就任。
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