12月17日にいよいよ最終回を迎える大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。さまざまなテレビドラマを手掛けてきた脚本家・古沢良太氏が、厳しい選択続きだった徳川家康の生涯を斬新な視点で描き、話題を呼んだ。その魅力について、忍者・大鼠役での怪演が大きなインパクトを残した松本まりかと、芸能界きっての歴史通の春風亭昇太が徹底対談。見どころから、SNSで話題になった“瀬名(有村架純)ロス”の介錯シーンなど撮影裏話、さらに歴代大河ドラマの楽しみ方まで、『どうする家康』を見ている方も、これから見てみたい方も必見の面白エピソードが満載! “ココがすごい!” 『どうする家康』 “怪演俳優”まりかと“歴史&大河ドラマ好き”昇太が魅力に迫る
●「こんな弱い家康、今まで見たことがない」松本潤演じる家康の成長物語
●歴史を面白がって練られたストーリー、“古沢脚本”の妙 春風亭昇太(写真左)と、松本まりか(同右) 撮影/草刈雅之
【POINT@】
「こんな弱い家康、今まで見たことがない」松本潤演じる家康の成長物語
昇太’s eye徳川家康は関ヶ原の戦いに勝利して天下の覇者になったことから、これまでのドラマでは最初から強い人物として描かれてきました。ところが本作は、「こんな弱い家康見たことない」というくらい、ダメな家康から始まって。どうなるのかなと思いながらも、だんだん僕らが思っている家康っぽくなっていった。感情移入しやすくて、成長物語を見るように楽しめました。
まりか’s eye私は撮影現場で、泣き虫でダメダメな家康を最初の頃から見ていたのですが、回を追うごとに激変していきました。最後のほうになってくると、貫禄があって、それはもうカッコいいんですよ。序盤には、のちに正室になる瀬名とお花畑で遊んでいるシーンとか、これまであまり見たことないような“かわいい家康”も描かれましたけど、松本潤さんは最後から逆算して、その成長ぶりを演じてこられたんだなと感じて、改めてすごいと思いました。 物語終盤、貫禄ある立ち居振る舞いをみせる家康 『どうする家康』より (C)NHK
【POINTA】
歴史を面白がって練られたストーリー、“古沢脚本”の妙
昇太’s eye僕は歴史が好きで、大学でも日本史の勉強をしましたけど、僕たちが歴史を語るうえで、「こういう人だったんだろう」とか、「こういう合戦だったんだろう」と思っていることは、通説や、映画、小説、講談などによるイメージであることが多いんです。特に中世史は今まであまり研究されてこなくて、今まさに研究がどんどん進んでいるような状況。そんな中で古沢さんは、わからないことが多いからこそ、面白がって想像を膨らませてストーリーを練っている感じが伝わってきました。中世・戦国好きで、大河を「ドラマ」として楽しみたい僕としては、世に広まっていた通説だけではないことを描いてくれたのが本当に楽しかったですね。特に今川家の描き方。家康は幼少期に今川家の人質になりますが、今までの大河ドラマだとあまり良い感じに描かれていないんです。でも今回、今川家時代が家康にとって夢の国みたいに描かれていたことが、静岡出身の僕としてはすごくうれしかったですね。
まりか’s eyeそれでいうと私が演じた大鼠は、歴史上の人物ばかりが出てくる物語の中で、数少ないオリジナルキャラクター。それこそ史料がまったくないので、演じるうえではとても苦労しました。ただ、シリアスなシーンからコミカルなシーンまで、古沢さんや演出家の方が“遊べる”キャラクターでもあったのかもしれません。あと瀬名の介錯のシーンでは、特に古沢さんの発想力がすごいなと思いました。(具体的なエピソードはこの後の2人の対談で)