線虫という小さな生物を活用し、少量の尿でがんのリスク判定ができる『N-NOSE（エヌノーズ）』。自宅で手軽にできる世界初の線虫がん検査として注目を集めているこの検査キットの販売と検体回収が、全国の薬局でも可能となった。取り扱いを行っているそうごう薬局に、取り組みの意義や『N-NOSE』の利点、実際に購入から検体回収までどのような手順を踏むのか取材した。

「薬剤師さんから直接買えるのは安心」と期待の声、薬局で検体回収まで可能になった『N-NOSE』

　あらゆる病気のなかでも死亡率が高く、命を守るためには早期発見・早期治療が何より重要といわれているがん。その一翼を担うべく開発されたのが、HIROTSUバイオサイエンスが開発した『N-NOSE』だ。嗅覚に優れた線虫が人の尿中に含まれるがんの匂いを検知することを利用し、少量の尿で全身15種類のがん（胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん、すい臓がん、肝臓がん、前立腺がん、食道がん、卵巣がん、胆管がん、胆のうがん、膀胱がん、腎臓がん、口腔・咽頭がん）のリスクを調べることが可能。発見が難しいとされているステージ�Tのがんにも反応することが臨床研究によっても確認されている。

　昨年の10月より『N-NOSE』の販売と検体回収を行っているそうごう薬局 東京サンケイビル店の薬剤師・熊谷槙子さんはユーザーにとっての利点をこう語る。

「尿を採るだけなので、体に負担がなく検査できることが一番の利点だと思います」

　さらに薬局で購入と検体提出ができるメリットもユーザーにとっては大きいと話す。

「これまで『N-NOSE』は病院で受検のほか、ウェブで購入し、特定の提出拠点に持ち込むことができましたが、検査したいというお気持ちがあって購入されても、お忙しくて出向く時間がとれず、家に置いたままになってしまった方もいらっしゃったと思います。職場や自宅の近所など行動範囲内の薬局で購入も提出もできれば、忘れてしまうことなく活用でき、早期発見の件数も上がるのではないかと期待しています」

　利用客は20代から高齢者までと幅広く、「薬剤師さんから直接買えるのは安心」「両親のためにも買いたい」など、医療人として嬉しい声もたくさんもらっているという。

「病気になってから自分でできることはとても少ないですが、予防医療は病院など相手任せにならず、自分で行動を起こせる最大の医療です。薬はどうしても副作用がありますので、薬を飲まずに過ごせるに越したことはありません。医療費の削減にもつながりますし、『N-NOSE』によって、自分はもちろん、自分の大事な人を守れる武器を持てたといえるのではないでしょうか」

「検査結果を知るまで、とてもスムーズ」『N-NOSE』を実際に体験してみた

　実際の使用方法だが、取り扱いのある薬局で検査キットを購入したら、検査キットを使って採尿し、再び薬局に提出するだけ。採尿から提出まで4時間以上を要する場合は、尿を冷凍保存し、商品に内包されている保冷バッグに入れて、提出する。先のそうごう薬局では、店頭で購入してすぐに近くのトイレで採尿し、提出して帰る人もいるという。提出から、約4〜6週間後に結果が郵送。またはマイページで結果が確認できる。

（１） 調剤薬局で『N-NOSE』を購入する

（２）新規マイページ登録をして、尿の提出予約を行う

（３）採取した尿を調剤薬局に持っていき、回収してもらう

（４）尿を提出後、約４〜６週間で、結果が届く。郵便とマイページの両方で閲覧ができる

　現在全国で取扱いを行う薬局は500店以上だが、今後さらに増えていく予定だという。もし提出拠点が近くに無い場合は、自宅集荷も対応している（別途料金が発生）。

　検査結果でリスク高の判定が出てしまった場合、専門スタッフが万全にサポートしてくれるのもありがたい。オンライン相談で、看護師をはじめとする専門スタッフが、検査結果の解説や次の検査に関する情報提供、医療機関等への相談に向けたアドバイス、検査結果に関する疑問に対応。希望があれば、健康診断や人間ドックの予約代行もしてくれる。

　今や日本人の２人に１人がかかると言われる「がん」は、早期発見・早期治療によって治る可能性が高い。しかし早期がんの場合、自覚症状がないケースもある。早期発見の強い味方として『N-NOSE』の新技術にかかる期待は大きい。

supported by HIROTSUバイオサイエンス