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『mixi』低迷時に誕生した救世主的存在『モンスト』 “敵をはじく”ことが日常生活の一部になったワケ
「MIXIがゲームをやるなんて」 畑違いの事業への不安をはねのけ、爆発的ヒットへ
リリースされたのは、2013年10月10日。当時プロデューサーとして開発の指揮をとったのは、現MIXI社長の木村弘毅氏だ。
「インターネットやスマートフォンが普及して便利な世の中にはなったけれど、リアルに集まってワイワイ楽しめるコンテンツはないよねというところから、開発に至りました。MIXIは人と人とのコミュニケーションを大事にしている会社なので、コミュニケーションの一つとしてゲームを作ろうという思いが発端です」(三島氏・以下同)
開発当時、「絶対に成功できる」と自信をのぞかせる木村氏だったが、現場には不安もあった。それまでSNSを中心としたメディアを得意とした企業だったため、「MIXIがゲームをやるなんて」という外部からはもちろん、社内からも少なからず不安に思う声もあった。とはいえ、「今までと違った形で会社の次の柱を作っていかないといけない」という思いと、自分たちの新しいプロダクトを成功させたい一心で、開発チームは熱意を持って制作にあたった。
「1年目は、朝から晩まで運営業務に追われていました(笑)。カセットゲームのように出したら終わりではなく、運営し続けないといけないので、ユーザーの要望や次の施策を考えるのに必死でしたね」
こうした現場の努力もあって、利用者数は順調に増加。スマートフォンの普及も追い風になり、1年目から人気コンテンツに成長した。『モンスト』は、対戦ゲームが多い中、「競争要素がないこと」も魅力のひとつだという。
「『モンスト』は、共闘しながらクリアしていくゲーム。みんなで同じ気持ちを共有しながらプレイすることができます。もちろん闘うおもしろさもありますが、競争で感じるストレスや様々な思いを感じないのがいいところ。仲間と力を合わせて闘う部分を大事に、開発を続けています」
「モンストやるなよ!」3年目、離脱するユーザー出るなかで危機を救ったプロモーションとは
「3周年イベントは、ユーザーからの要望やゲーム内のストレスをなるべく減らしつつ、盛りだくさんの内容にしました。強いキャラがもらえるなど、感謝を込めて還元に振り切った内容や、ハワイ旅行が当たるキャンペーンなどを行いました」
同時にCMでの大々的なプロモーションも展開。ダチョウ倶楽部の上島竜兵氏を起用し、「モンストやるなよ!」という逆張りのキャッチコピーは話題を集めた。それにより、離脱していたユーザーが帰ってきたのに加え、新規ユーザーも獲得。以後も毎年、前年を超えられるかを再確認しながら、常にアップデートされてきた。
「ゲーム単体での長期運営が難しくなっている中、様々な角度からファンになっていただけるよう心掛けています。映画やアニメ、グッズ展開、大手菓子メーカーとのコラボなどを通して、『モンスト』を身近に感じていただくことを大切にしています」
リリース当初は10代〜20代前半の利用者が多かった『モンスト』だが、現在は平均年齢が30代前半へシフト。10代で新しく始める層もおり、幅広い年代から支持されている。ユーザーの内訳も、男性が6割、女性が4割と、男女共に愛されているようだ。
ライフスタイルに沿った形で遊ばれているのも特徴の一つ。最も多くアクセスされる時間帯は、ゴールデンタイムと言われている夜19時過ぎから22時頃。朝の通勤時間帯、お昼のタイミングでの利用も多い。移動しながら開き、ランチタイムに再び開き、学校や仕事が終わった夜の時間帯に開くといったように、生活の一部となっている様子が伺える。
「通信速度や利用料金の低下など、スマートフォンが手軽に扱えるようになってきた中で、エンタメの多様化も進んでいます。1日という限られた時間の中で、どうやったら遊んでもらえるかを常に試行錯誤しながら運営しています」