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紅いもタルトにスイートポテト、冷やし焼き芋も…さつまいもスイーツがずらり『ファミマのお芋掘り』開催
焼きいもの洋菓子化導いた“蜜いも”の登場、高級化加速する「第4次ブーム」到来
しかし2000年代初頭から始まった現在のブームを牽引しているのは“高級焼きいも”だ。その元祖とされるのが、2004年に銀座三越にオープンした焼きいも専門店「カドー・ドゥ・チャイモン」。いもソムリエが厳選した蜜のようにねっとりした焼きいもは、1本1000円以上という価格も含めて、従来の焼きいものイメージを大きく変えた。
焼きいもの高級化とスイーツ化の先鞭を切った同店はすでに閉店しているが、以降は同様のコンセプトを掲げる焼きいも専門店が全国に拡大。2020年2月には全国の専門店が集結した『さつまいも博』が初開催され、5万人が来場する大盛況となった。
第4次ブームが始まった背景には、さまざまな複合的な要因があった。1つは、遠赤外線を利用した「電気式焼きいもオーブン」が開発されたこと(2003年特許取得)。大きさが異なるさつまいもを均一においしく焼き上げる優れものだ。かつては軽トラックによる移動販売が定番だったが、このオーブンの登場により、スーパーや量販店など常設店舗での販売が一気に広がった。
また、この時期に新品種のさつまいもが次々と開発されたことにも注目したい。現在の焼きいも人気を牽引する3大ブランドである「安納いも」は1998年、「紅はるか」は2010年、「シルクスイート」は2012年に品種登録されている。いずれも特徴は、ねっとりとした食感と蜜のような甘さ。昔ながらのさつまいものホクホクとした食感と素朴な甘さを和菓子にたとえるならば、ねっとり系さつまいものクリーミーな食感とコクは洋菓子に近い。水分量が多く滑らかなペーストに仕上がるため、製菓材料としても重宝されている。
「紅はるか」と「紅あずま」等を使用した19商品が登場『ファミマのお芋掘り』
スイーツのトレンドに敏感なコンビニは、近年は焼きいも系スイーツのラインナップも増加。なかでもファミリーマートでは、昨年より『ファミマのお芋掘り』をテーマにさつまいもを使用したスイーツやドリンク、アイス、パン、お菓子などのオリジナル商品が並ぶキャンペーンを行っている。
9月6日より開催される今年はさらにパワーアップし、『焼きいもフラッペ』や『ふわふわケーキオムレットさつまいも』といったファミマの人気商品とコラボしたスイーツを始め、充実の全19商品がラインナップ。いも本来の甘さと食感を追求した「紅はるか」と「紅あずま」を使用している商品も多数。
いも本来の甘さと食感を追求…昨年好評の「さつまいもオレ」や“飲む焼きいも”も
ねっとり系さつまいものなかでも、しっとりした食感と上品な甘さが特徴の「紅はるか」は、さつまいもに豊富な食物繊維とともに“腸活”といったキーワードでも注目を集めている。ファミリーマートでは、素材のおいしさをそのまま楽しめる『紅はるかチップス』 を発売する。一方の「紅あずま」は、繊維質が少なく、ホクホクとした食感が特徴。
また『ふわふわケーキオムレット さつまいも』は、ペーストとクリームに「紅はるか」を使用し、甘さとしっとりとしたなめらかな舌ざわりが感じられる。トッピングは角切りの「紅あずま」で、2種類の食感が楽しめる。
さつまいもは、ビタミンCの含有量がいも類の中でもトップクラス。スイーツのように甘いのにカロリーは白米より低く、栄養成分にも優れていることから、美容やダイエットにうれしい食材でもある。焼きいもブームは、コンビニの注力により、まだまだ続きそうだ。
(文/児玉澄子)