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カン・ドンウォン×イ・ジウン×是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』インタビュー
家族のようなつながりを生み出す是枝作品
カン・ドンウォン撮影していた時間が、すごく楽しかったな、ということに改めて気づきました。クランクアップした時、無事撮り終えてホッとしたのと同時に、監督や共演者の皆さんともう会えなくなってしまうのか、さみしいな、残念だな、という気持ちになったんです。日が経つうちに、新たな仕事に取り組むうちに、そういう気持ちは薄らいでいったのですが、再びみんなに会うと、改めてお互いを家族のように感じていることに気づきました。
イ・ジウン私は撮影中、とても緊張していたんですね。現場のメインキャストの中では私が一番年下だったので、ほかの役者さんたちの邪魔になってはいけない、という思いが強く、あまり打ち解けて話すことができませんでした。もともと私は、人見知りするタイプなんです。なので、プロモーションがはじまったばかりの頃はぎこちなかったかもしれませんが、毎週のように皆さんとお会いして、カンヌにも行って、すっかり心の壁を越えることができました。
プロモーションのスケジュールはだいたいギュウギュウ詰めで、強行軍だったりするんです。なので、お腹がすいてちょっと疲れた様子だったり、作品をほめられて一緒に喜んだり、皆さんの素顔を目にすることも多く、撮影中よりもずっと楽しい気持ちで皆さんと過ごせるようになりました。カン・ドンウォンさんがおっしゃったように、次にまたどこかでお会いした時は、最初から家族のような気持ちで接することができると思います。
カン・ドンウォンイ・ジウンさんは、たしかに撮影中は口数が少なかったですね。
実は、きょう会場に『誰も知らない』(2004年)に出てくれた子どもたち、といってもずいぶん大人になりましたが、ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(12年)に出てくれた平祐奈さん、前田航基さん、蒔田彩珠さん、『万引き家族』(18年)のリリー・フランキーさん、安藤サクラさん、子役たちも来てくれたんです。『ベイビー・ブローカー』もきっと家族のように集まれると思う。はたから見て信じられるかどうかわからないけど、結構強いつながりができるんですよ。(取材は6月26日、東京・TOHOシネマズ六本木で行われた来日記念舞台あいさつの後に行った)。
カン・ドンウォン『万引き家族』の皆さんとお会いしましたが、『ベイビー・ブローカー』の家族と一緒にパーティーしたら、きっと楽しいだろうなと思いました。
――まさに是枝ファミリーですね!
イ・ジウン、歌手と役者の両立はとても大きな相互作用
イ・ジウン演技をすること歌うことの間には、とても大きな相互作用があります。ステージでのパフォーマンスを考える時に、演技経験が生きることがありますし、ドラマや映画でさまざまな役を演じるたびに、必ず1曲は曲が浮かぶんです。自分とは異なる思考を持ったキャラクターを演じることで、普段の自分だったら考えもつかなかったことを思いついたり、現実の世界では経験できないようなことをお芝居で経験して刺激を受けたりして、非常に創作活動にも役立っていると感じます。
カン・ドンウォン『ベイビー・ブローカー』から影響を受けた曲ができたらぜひ聴きたい! 楽しみだな。
是枝監督イ・ジウンさんは、音楽をやっていらっしゃるからなのか、圧倒的に耳がいい方だと思いました。耳がいいから、人をひきつける声も出せる。耳のいい人がみんなお芝居が上手かどうかはわからないけれど、イ・ジウンさんは音楽で鍛えた耳の良さがお芝居に生きていると思っていました。現場でせりふを聞いていても、歌を聴いているような感じがして、心地良く、「僕はなんていいせりふを書いたんだろう」と錯覚してしまうほどでした。
やりたいことを拡張し続けるカン・ドンウォン
カン・ドンウォン12年前も演技の幅を広げて、活躍の場を広げたいと思っていましたし、その思いは今も持ち続けていて、やりたいことは拡張し続ける感じです。海外の仕事にもっと取り組んでいきたいと思っていますし、自分でプロデュースしたい作品のアイデアもいくつかあるので、それらを実現すべく前進していこうと思っているところです。
是枝監督カン・ドンウォンさんは、これまでに出演してきた作品一つひとつでいい経験を積んでこられたんだな、と思います。『ベイビー・ブローカー』で演じてもらったドンスという男は、児童養護施設出身で、親に捨てられることがどのような傷として残るのかを誰よりもよく知っているがゆえの、こじらせた胸の内を繊細に表現してくれました。41歳なの? 信じられないよね。まだまだ学生役もやれそうだ(笑)。
出演:ソン・ガンホ カン・ドンウォン ペ・ドゥナ イ・ジウン イ・ジュヨン
製作:CJ ENM
制作:ZIP CINEMA
制作協力:分福
提供:ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.
配給:ギャガ
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撮影:松尾夏樹