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年間10作品以上に出演、引っ張りだこ俳優の岡山天音 逃げ道なかった学生時代「普通に学校通えていたら俳優辞めてた」
親友・山崎賢人との共演「彼の代表作を自分が壊してはいけないという思いで挑んだ」
「前作の公開時に、ある種のムーブメントのようなものが起きているのを肌で感じていたので、尾平役に決まったときは“よっしゃー!”という気持ちでしたね。ただ、プレッシャーはありました。賢人とはデビューした頃からの付き合いで、プライベートでも親交があったので、ちょっと特別な緊張感があったというか。『キングダム』は彼にとって代表作とも言える大事な作品ですし、どれだけ賢人がこの作品に愛情を注いでいるかわかっていたので、それを自分が壊してはいけないという思いで挑みました」
岡山と山崎は1994年生まれの同い年。2012年に映画『アナザー Another』で初共演を果たし、以降もドラマ『黒の女教師』や映画『氷菓』で共演している。
「同志でもあり、10年来の友達でもあります。そういう存在って他にはいないので、共演するたびに妙な照れくささを感じてしまいますね(笑)。今回、現場にいる賢人を見るのは久々だったので、どんな感じでシーンと向き合っているのか、少し離れたところから彼のことを見つめたりしていました」
「戦のさなかに放り込まれたシーンが多く、そういう場にいる尾平の役割はなんだろうと考えたときに、“リアクション”だと思いました。原作でも尾平のリアクションが物語の重要な緩急になっていますが、気を抜くと同じようなリアクションになりかねない。身体的にも精神的にも物語が進むごとにどんどん変化していくので、この役を任せていただいたこととしっかり向き合い、僕だけのオリジナリティみたいなものをシーンごとに細かく提示していくことを意識しながら演じていました」
憂鬱な日々を忘れられたデビュー作、オーディションに落ち続けるも「後戻りできなかった」
「母子家庭で一人っ子だったんですけど、その頃は多感な時期だったから喧嘩しちゃったんですよね。それで『もう履歴書出さねーよ!』って投げやりな感じで言い放ってしまって(笑)。だけど、母親が知らぬ間に履歴書を出してくれていたんです」
「初めての撮影現場で、毎日が非日常の連続だから“わ〜面白い!何これ?”みたいな、日々新しいものと出会っている感じが楽しかったです。それまでの人生って基本憂鬱で、なにかしらのモヤモヤを抱えていたのですが、『中学生日記』の現場ではそういったものをちょっと忘れられることができたんですよね。それぐらい強烈な体験でした」
こんな時間をもっと経験したい――。その一心で事務所のオーディションを受け、俳優業を本格的に開始。しかし、それ以降は演じることが苦痛になってしまったという。
「保育園の頃にやった劇すら恥ずかしいと思うような性格だったので、例えば人前で大きい声を出すとか、お調子者の役が来ると嫌で嫌で(笑)。あと、“人に失望されたらどうしよう”という恐怖心が人一倍強いので、それも“恥ずかしさ”を感じてしまう大きな要因なんじゃないかなと思います」
「まともに学校に行ってなかったこともあって、“後がない”という危機感は常に感じていました。だから、どれだけ苦しくて過酷な状況になっても、その“後がない”という気持ちが自分を引き留めてくれていたんです。もしも普通に学校に通えていたら、間違いなく俳優を辞めていましたね」
保育園の時から、小学校も中学校も、なぜみんなが朝ちゃんと起きて学校に行って、夕方までいられるのか、不思議に思っていたという岡山。そんな彼が、人生で初めて、居場所を見つけられたのが撮影現場だった。どんなに苦しくとも、容易く手放すことはできなかった。
「ある時、仕事で知り合った方に『楽しい?』って言われてから、考え方が大きく変わりました。それまでは“苦しい下積みの先に光がある”みたいな、日本人特有の固定観念が強かったのですが、その一言で『楽しんでいいんだ!』と気づかされたんです。『キングダム2』の現場でも、尾平のリアクションは思考を巡らせないと表情の造形も似ていってしまう。そこで如何に毎回新しい表現を捻り出すかとか、そういうのも楽しくて。メソッド的なものは常に変えていっているし、毎回変な球を投げ込むみたいなことを試しています。理想は“昨日の自分がビックリするような自分であり続けること”ですね」
たとえ学校に行けなくても、それが世界の全てではない「1本の道に絞らない方が良い」
「状況は絶対変わるので、全部わかっちゃったなって見切りをつけた気にならない方が良いと思います。急に景色が開けたりすることもありますから。たとえ学校に行けなくても、何がリスキーで何が安全かなんて、今の時代誰も言えないんじゃないですかね。学歴を積むことがリスクに働く人もいるかもしれないし、本当に好きなことを好きにやりましょうって思いますし、僕もそうやって生きていきたいですね」
「どんな世界でも、1本の道に絞らない方が良いんじゃないかなと思いますね。本当に人間って脆いので、それがもし何かの拍子にできなくなったときに、取り返しのつかないことをしちゃうんじゃないかなと。シリアスになり過ぎない方が良いですよね。職人として1本に絞っていくのが向いている人もいると思うので、もちろんそれも素敵ですけど、ほとんどの人がやっぱり余白となるようないろんな道を用意しといた方が、生きやすいんじゃないかなって思いますけどね」
「賢人、100%で考えすぎだよ。人生の数あるうちの1個が仕事だよ」
岡山は、学校と言う“逃げ道”がなかったがために、俳優を続けざるを得なかった。その暗い長いトンネルを駆け抜けた彼だからこそ出てきた言葉であり、山崎の心に響いたのだろう。
そんな2人の友情も、“信”と“尾平”として垣間見える『キングダム2』。今作も、日本映画史上に残る名作となること間違いない。
(取材・文=奥村百恵)
岡山天音出演『キングダム2 遥かなる大地へ』
7月15日(金) 全国東宝系にて公開
監督:佐藤信介
脚本:黒岩 勉 原 泰久
音楽:やまだ豊
原作:「キングダム」原 泰久(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
出演:山崎賢人/吉沢亮 橋本環奈 清野菜名/豊川悦司/大沢たかお 他
7月15日(金) 全国東宝系にて公開
監督:佐藤信介
脚本:黒岩 勉 原 泰久
音楽:やまだ豊
原作:「キングダム」原 泰久(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
出演:山崎賢人/吉沢亮 橋本環奈 清野菜名/豊川悦司/大沢たかお 他