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“三角”がなぜ“四角”に? 日本独自の進化を遂げたクレープの謎…「ファミマ・ザ」シリーズ初のスイーツも“四角”の理由とは
コンビニでは“四角い”クレープが定番 日本独自で進化したクレープ文化
本場のクレープはお皿に平たく乗せられ、ナイフとフォークで食べるものだが、それに対して原宿発祥のクレープは食べ歩きしやすいように円錐形に巻いた形に工夫された。この発明が大ブームとなり、たちまち全国へ普及。日本でクレープといえばこのスタイルが一般的となり、今では韓国や台湾などでも日本式のクレープショップが数多く見られる。
一方、スイーツに力を入れるコンビニチェーンでもクレープは人気商品で、シーズンごとにさまざまなフレーバーが各チェーンで展開される。しかし、昨今その“形”に着目してみると、ワゴン型店舗やカフェで提供される円錐形の三角ではなく、四角く折り畳まれたクレープが主流だ。日本発祥のコンビニとして昨年40周年を迎えたファミリーマートで、初めてオリジナルのクレープを発売したのは約20年前のこと。
「当時はファミリーマートでも三角タイプのクレープが主流で、四角や長細いクレープが不定期に少しだけ店頭に並んでいる状態でした。やがて時代とともに利便性や携帯性が望まれる風潮のなかで、2017年より食べやすく、お持ち帰りしやすい“正方形”のクレープを年間通して販売するようになりました」(ファミリーマート担当者)
原宿スイーツ衰退、コロナ禍を経てクレープは「食べ歩き」から「おうちスイーツ」に?
「約20年前より不定期に発売し、2017年に本格的に四角いクレープを通年で販売。一部、トッピングに付加価値のある三角タイプのクレープ(イチゴや芋など)は、現在も継続して販売しております。ただ、たしかに四角いクレープは、見た目が茶色系と地味に映るかもしれません。そこで2020年には『デザートモンスター』と銘打ってポップなパッケージで展開。若いお客さまにも手に取っていただく機会が増え、四角いクレープの認知度も向上しました。またクレープについては見た目でも美味しさをお伝えするため、生地は“キリン柄”の焼き色にこだわっています」(ファミリーマート担当者)
本場のクレープはトッピングに派手さはなく、あくまで生地が主役のデザートだ。一方、ファミリーマートでは昨今、『生チョコのもちもちクレープ』が大ヒット。商品名に“もちもち”と生地の食感を謳っているように、「クレープの真髄は生地にあり」という本場に近いこだわりが伺えるが、そこにはコンビニという業態も関係していた。
「その場で焼いた商品をすぐに食べる専門店のクレープに対して、工場出荷から店頭に並ぶまでタイムラグのあるコンビニのクレープは生地の品質や食感に課題の多い商品でした。そうしたなか、2010年頃よりパンやパスタなどで“もちもち”という食感が人気になりました。このトレンドは、いまなお継続しています。生地のもちもち感をクレープにおいて追求した頃から、コンビニのクレープは本場とも日本独自のクレープとも全く違うスイーツとして進化したと考えています」(ファミリーマート担当者)
『ファミマ・ザ』シリーズからクレープが新発売 生チョコやティラミスのフレーバーを展開
通常のフード開発の倍以上をかけてこだわったのはもちもち食感。クレープ粉に水を抱き込みやすい小麦粉を使用し、もち大麦粉やタピオカでんぷんも配合することで、従来の大ヒット商品『生チョコのもちもちクレープ』をさらに進化させた心地よい弾力感を実現した。
「一概に“もちもち”といっても、クレープにおいてどの程度のもちもち感が美味しいと感じられるかについては幾度も試作・改良、モニタリングを重ねました。また、硬さ・しなやかさの計測も行い、絶妙なもちもち感にたどり着きました」(ファミリーマート担当者)
形状は、従来の正方形からスティック状に。容器は折れ曲がる仕様を採用し、ワンハンドでもストレスなく食べられる工夫がなされている。第1弾として登場するのは『ファミマ・ザ・クレープ 生チョコ』と『ファミマ・ザ・クレープ ティラミス』の2種類。今後もさまざまなフレーバーが展開される予定だ。
日本独自に華やかに進化したクレープは外国人観光客にも逆輸入的な好評を博しているが、スイーツにこだわったコンビニのクレープも負けてはいない。そろそろインバウンドも戻ってくる頃。独自の進化を遂げた日本のコンビニのクレープを、世界の人々にも味わってほしいところだ。
(文/児玉澄子)
【価格】198円(税込:213円)
【発売日】6月21日
【商品名】ファミマ・ザ・クレープ ティラミス
【価格】198円(税込:213円)
【発売日】6月21日
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