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『シャウエッセン』38年目のパッケージ変更に「そもそもなぜ巾着型?」、社内でも議論生んだ決断
462万回再生の反響呼んだ「シャウエッセン、断髪式」
社内で不要論も…“1センチ短い”包装で売り上げ減少も経験、パッケージ変更の苦悩
そんな包装が、2月1日より巾着型から長方形の袋型へとリニューアル。同社は、旧パッケージデザインの巾着“扇”部分を力士の“まげ”になぞらえて「断髪」する動画を、大相撲協会の監修のもとで制作し、公開。ユニークな動画への反響は大きく、「面白い!」という声とともに、「そもそもなぜ巾着型だったの?」「旧パッケージは、使いづらかったのでは?」と改めて旧パッケージへの疑問を生んだ。
小村氏も「私も常々もったいない、過剰包装だと思うことがありました」と旧パッケージについて語る。
「社内でも以前より、主に製造部門から『コストダウンが図れる』としてパッケージ変更の声が上がっていました。一方で営業部門からは『商品の“顔”であるパッケージを変えると、売上が落ちるリスクがある』と懸念の声があがり、議論は平行線の一途を辿っていたのです」(小村氏/以下同)
数年前には、巾着型パッケージの“扇”部分を1センチメートル短くし、北海道の一部店舗でテスト販売したこともあった。ところが売上は激減し、パッケージ変更を断念せざるを得なかった。
「もともと『シャウエッセン』は一般のソーセージに比べて高価格です。このテスト販売では売り場で見た目が小さく見えたことにより、お客さまに『中身も減ったのでは?』と勘違いをさせてしまったことが売上減の原因だと考えられました」
“高級感”演出したデザイン、時代とともに“ムダ”に 「メーカーとして受け止めなければならない」
「スーパーで買える本格ソーセージが珍しかった37年前当時は、お客さまにお伝えする上でも意義のあるデザインでした。しかし時代が変わった今では、例えば冷蔵庫の中で少し邪魔になるなど、ムダと感じるお客様もいます。そのことをメーカーとしても受け止めなければいけませんでした」
2022年は、原材料はもとより資材、包材、輸送費の高騰で、あらゆる商品の「値上げの年」になると言われている。日本ハムでも2月1日に『シャウエッセン』を含む400品目以上の値上げが決まった。「ニッポンハムグループの掲げる環境への取り組みとあわせて、改めてパッケージ見直しの議論が浮上しました。パッケージコストを削減することで、値上げ幅を少しでも抑えようという狙いもありました」
今回の新パッケージは、再び北海道の実店舗でテスト販売を実施。前回の反省を踏まえて店頭POPで「内容量そのまま」をアピールした。結果、旧パッケージと遜色のない売上をキープした実証をもって新パッケージの正式採用が決定。「新価格での販売がスタートする2月1日に間に合ってよかったです」と小村部長は胸を撫で下ろす。