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『SING/シング:ネクストステージ』が日本人に刺さる理由 “世界唯一”の完全吹替を実現した制作チームの裏側とは
歌だけじゃない、アクロバットにワイヤーアクションまで演出 前作のスケールを超えた極上のライブ体験に
さまざまな挫折やコンプレックスを抱えた動物キャラクターたちが、歌う喜びとステージへの挑戦によって自分の殻を破り、夢をつかむ姿を描いた前作には、60曲以上もの新旧ヒット曲がラインナップ。日本語吹替版の個性豊かな声優陣による歌唱シーンと、キャラクターの背景や心情を落とし込んだ絶妙な訳詞も観客の心を掴んだ。
そうした前作の魅力を踏襲しつつ、"エンタメの聖地"に舞台を移した本作では、超豪華なミュージック・ショーが展開。アクロバティックなダンスやワイヤーアクションなどライブ感溢れるパフォーマンスも盛り込まれ、前作のスケールを超えた極上のライブ体験に進化している。
今作でしか見られない、トップ声優陣&豪華俳優陣の夢の共演! 注目の歌唱シーンが日本人に“刺さる”理由とは
世代を問わず、アニメが大好きという人が多い日本では、劇場版アニメが観客動員ランキングの上位を占めることも珍しくなく、『SING/シング』を制作するイルミネーション作品でも『ミニオンズ』や『ペット』などが軒並み大ヒットしている。ちなみに、今後もイルミネーションと任天堂が共同で制作している『スーパーマリオ』のアニメ映画が控えており、こちらも日本人としては気になるところだ。
そうしたエンタメのボーダレス化が進む中で、歌唱シーンも含む全編吹替版が世界で唯一制作された本作には、坂本真綾、田中真弓、大塚明夫、木村昴、山寺宏一、井上麻里奈、山下大輝、林原めぐみといった人気と実力を備えた声優陣に加え、内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)、ジェシー(SixTONES)、アイナ・ジ・エンド、akane、大地真央など、芸人、俳優、歌手といったジャンルを超えた豪華共演が実現。さらに、字幕版でU2のボノが声を担当している「伝説のロックスター」には稲葉浩志がキャスティング。劇中では圧巻の歌声も披露しており、最強の布陣による日本語吹替版が完成した。
エンターテインメントの喜びは日常を忘れさせてくれるが、コロナの影響でライブやイベントに参加できない状況が長らく続く今は、本作のテーマである「音楽の持つ力」がますます貴重なものとなっている。ショーアップされたライブ感が魅力の本作だけに、ぜひ高音質&大音量の劇場で堪能してほしい。
世界で唯一のオール吹き替え 音楽を日本版に置き換える難しさとこだわり
完全吹替版が実現したのは世界でも日本が唯一であり、もともと映画制作サイドからは「オリジナル音源(英語)で公開してほしい」と世界各国に要請されていたという。
「しかし、本作の魅力は劇中の"歌詞"がキャラクターの心情や物語と絶妙にシンクロしていること。宣伝チームとしては『日本のみなさんには歌詞を"読む"のではなく"聞いて"もらいたい』という強い思いがありました。そこで日本最強の音楽クリエイターチームを編成し、本国サイドにプレゼンしたのです」(宣伝チーム)
この強い思いに、本国も全編吹替を承諾。前作の挑戦があったからこそ、今作『SING/シング:ネクストステージ』でも、全ての楽曲を含めた世界で唯一のオール吹替版が実現した。
「しかし、今作は権利面からも吹替許諾を得る工程の難易度が非常に高く、時間との闘いがある中で、楽曲だけではなく、台詞部分とのバランスも鑑みて綿密に本国とやり取りを重ねる必要があり、前作と同様にチャレンジの連続でした」(日本語吹替版 本編制作担当者)
「訳詞する上で主に意識したのは、映像の口の動きに言葉が合っていること、原曲の内容に沿っていること、物語の中で歌詞が機能していること、キャラクターに言葉遣いが合っていることの4つです。これらを叶えるために言葉のパズルをしているような感覚でした。また日本人の感覚により合うように、原曲の解釈を広げて言葉を選んだりもしています」(いしわたり淳治)
「キャストのみなさんにはピッチやリズム、ブレスのタイミングと歌唱の非常に細かい部分まで、オリジナル版を忠実に再現してもらいました。その上で演技が入った歌、映像とズレのないリップシンクも意識をするという、プロフェッショナルなみなさんにとっても、かなりハードルの高い吹替だったと思います」(蔦谷好位置)
本国サイドの要求は高く、蔦谷は「歌詞、歌唱、リップシンク、エフェクトを含めたミックスすべてにおいてやりとりをし、本国サイドのOKが出なければ何度も録音をやり直すこともありました」と振り返っている。
本作のテーマである「音楽の力」が響くのは、制作チームの並々ならぬこだわりが詰まっているからこそ。字幕版ではトリー・ケリーやファレル・ウィリアムスといった超一流のスターがキャストを務めているだけに、字幕版と日本語吹替版を見比べてみてはいかがだろうか。
(取材・文/児玉澄子)
『SING/シング:ネクストステージ』
バスターは仲間たちを引き連れてショービズ界の超大物、ジミー・クリスタルのところへオーディションに行き、斬新なアイデアと持ち前のハッタリで超一流劇場であるクリスタル・タワー劇場での公演の契約を取り付ける!でも、その契約には15年間、人前から姿を消している伝説のロック歌手・クレイ・キャロウェイをキャストに迎えるという条件があった。
地元の小劇場を飛び出し、途方もなく大きな舞台に立つチャンスを手にしたバスターたち。
それは、数々の困難のはじまりだった――。いま、ネクストステージに挑む彼らの、笑いと感動の物語が始まる!
3月18日(金)全国公開
配給:東宝東和
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