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はんにゃ金田、ブレイク当時は「すべてを失った気がした」 挫折、SNS再注目を経て見えた“20年目への野望”
岡田准一から殺陣指導も “はんにゃ金田”を消して臨んだ4年ぶりの映画出演
「本作での僕の自身のテーマは“はんにゃ金田”を消すということでした。金田じゃんと思われるとお話が入ってこないと思ったんです。僕には学生のノリのようなイメージがある。だからあくまで藤堂平助として声のトーンも変えて挑みました」(金田/以下同)
ちなみに藤堂平助・金田と普段の金田の違いは「眉」。上げて眉が弧を描いてしまうと途端に“はんにゃ金田”になってしまうため、撮影中は常に眉は下げていたという。「現場は和やか。ただし、“ノーセッツ”(セッツ=持ちネタ・ズグダンズンブングンゲームの冒頭のギャグ)でしたね(笑)」
剣道をたしなんでいたということでオファーが来た役柄。殺陣も見どころであり、「岡田さんに藤堂平助っぽい殺陣をつけてもらった。岡田さんはすごすぎてついていくのがやっと。本当に尊敬している方です。」と振り返る。4年ぶりの芝居だったこともあり「五臓六腑がひっくり返るくらい緊張していた」という。
ブレイク後とにかく駆け抜けた2年「仕事が減った時は正直、ほっとしている自分がいた」
「当時の僕は、皆さんの声に応えたいという気持ちで、取材も映画もドラマもラジオも、とにかく来た仕事は一切断りませんでした。とにかくあわただしく、インプットゼロでアウトプットしかない状態が約2年。普通の人が10年かけて体験することを2年半でやっていた感がありますね。結果、心身ともに力尽き、余裕もなくなって、仲が良かった相方の川島(ofレジェンド)とも険悪に。多忙で寝られない中で燃えカスを練りだしている感じになっていたと思います。すべてを失った気がしました」
もちろん、自分の力不足も実感した。吉本興業の養成所NSCを出たばかりの新人が、有吉弘行、バナナマン、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、フットボールアワーといった名だたる芸人たちと横並びにされる。時には「今、勢いのある若手、番組の花」として、その“前”に立たされることも。「皆がレーザービームやバズーカといった武器で戦っている戦場の最前線で、僕たちは木刀で戦っているような感じ。傷だらけになり、仕事が減った時は正直、逆にほっとしている自分がいました」
ちなみに「【Yahoo!知恵袋】はんにゃ金田に関する質問に本人が回答してみた【はんにゃ金田】」では、「テレビから干された」という指摘に「お笑いブームの時に比べたら、テレビの露出がばーっと減ったから『あいつら干された』って多分言ってるだけ」とも回答している。では、その露出が減った時に金田は何をしていたのか。“読書と遊び”である。「例えば有吉さん一人見ても、経験値も人間の豊かさも幹の太さもまるで僕は劣っている。そこで歴史書や孟子、孔子などの東洋哲学、元々好きだった岡本太郎さんの本などを読み漁りました」
その上での「知行同一」。机上で得た知識は実行しなければ本当の知識とはならないという考えだが、そこから“遊び”にシフトした。ゴルフ、ボクシング、カジノ…。「カジノも人生に置き換えられると気付かされました。“流れ”ってあるんですよ。ついてる奴はずっとついてる。逆にダメな時は何をやってもダメ。だから抗わない。力みすぎると何かを失ってしまう。笑わせようとしてる時ほどスベったりとか。ある本によれば負けの99%はそうした“自滅”だそうです」
Tik Tokで530万再生の大反響「僕らがやっていたことにはちゃんと“意味”があったんだ」
実際、強運の持ち主だ。「スカスカの薄すぎる自分を克服し、豊かになってから発信しようと思っていたのですが、いざ何かを始めようとした時に“今はやっぱりSNSでしょう”といわれたんです。そこで誰が詳しいか聞いたらおばたのお兄さんだと。スケジュール取れるかな?と思って本社のトイレへ行ったら、そこに偶然、おばたのお兄さんが。本当に運がいいでしょ? 僕が思ったら、その場に、必ず“何か”が現れるんです!」
かくしてTik Tokはバズり、新たなファン層を獲得。さらにYou Tubeでは『ピラメキーノ』などを観ていた大人になった子どもたちが集まり、切り抜き動画を拡散してくれた。テレビのことは「今も感謝しているし僕にとっても大事な場所」としながらも、「当時のことは、時間と心を削られ、辛くて記憶もあまりないのですが、『ピラメキーノ』を観ていた当時の子どもたちから『友達や家庭で辛いことがあった時、はんにゃを観て踏みとどまった。唯一、何もかも嫌なことを忘れる時間をくれてありがとうございました』などというコメントがきて。僕らがやっていたことにはちゃんと“意味”があったんだと思わず感涙しました。そのコメントを読み返しながら飲む酒のおいしいこと(笑)」
そんな彼の夢は、当時子どもだったファンへの恩返し。3年後に迎える20周年に「ドでかい単独ライブをやりたい」と語り、隣に座るマネージャーに「国立競技場押さえといてね」と告げるサービスボケも忘れない。相方との仲も「今が一番いいんじゃないですかね」とチャーミングに笑う彼にはもう迷いも喪失もない。
(文/衣輪晋一)
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