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「自分は必要ない」ぼる塾“4人目のメンバー”酒寄希望、育休中“3人での大ブレイク”に葛藤 女性として、芸人としての決断
待望の妊娠とコンビの今後に直面 不安を払拭してくれた田辺さんの言葉
ぼる塾・酒寄初めて3人の漫才を見た時にすごく面白かったので、絶対にテレビに出られるだろうなという予感はありました。でも、思ったよりも早い段階でたくさんお仕事をいただけるようになった感じがしています。
――「ぼる塾」の結成は、酒寄さんが産休に入られたことがきっかけだったんですよね?
ぼる塾・酒寄もともとは、私と田辺さんの「猫塾」、あんりちゃんとはるちゃんの「しんぼる」という別々のコンビで活動していて。私が妊娠してつわりが酷く、予定していたライブに出られなくなった時に、期間限定で「しんぼる」と田辺さんが3人でユニットを組んだのが最初です。
――「ぼる塾」として3人が活動を続けていくことになった時はどう感じていらっしゃいましたか?
ぼる塾・酒寄私が産休に入ったら、田辺さんはどうなっちゃうんだろうという不安が大きかったので、よかったなという思いでした。「猫塾」も「しんぼる」も、それぞれ苦労していた時期をずっと近くで見ていたので、「ぼる塾」が日の目を見て本当にうれしかったです。
――妊娠が分かった時、お仕事との両立への葛藤はなかったですか?
ぼる塾・酒寄子どもは欲しかったので妊娠が分かった時はうれしかったのですが、猫塾の活動とは別枠で考えていた部分があって。うまく言えないんですけど、田辺さんと一緒にいるのが楽しすぎたんです。のび太くんとドラえもんじゃないですけど、のび太くんって部屋でドラえもんと過ごしている時は、いつかドラえもんが帰っちゃうって思いもしないじゃないですか。そんな感じで、この時間が一生続くと思っていたので、妊娠が発覚して、急に現実味を帯びた感じでした。
――相方の田辺さんに打ち明ける時、不安はなかったですか?
ぼる塾・酒寄妊娠を告げたら、私の意見を聞く前に田辺さんが、一緒に続けたいと言ってくれたんです。「酒寄さんが続けたい意志があるなら、戻ってくる居場所を私が守り続けるよ」って。いつも「酒寄さんに合わせるよ」と受け身なタイプの田辺さんが、こんなに力強く言ってくれるんだから、安心して産休に入ろうと思えました。
――産休、その後の育休を取ることになった時の心境は?
ぼる塾・酒寄私自身は、自分で勝手に作ったルールに縛られがちなところがあって、最初は育休を取ってもいいのか戸惑いがありました。でも、3人が、「前例がなくてもダメって言われないし、大丈夫だよ!」って言ってくれて(笑)。それで心を決めることができました。
――実際に育休とってみて、どんなことを感じましたか?
ぼる塾・酒寄まずは、子どもが生まれるとこんなに寝られないんだ!と(笑)。もちろん子どもはかわいかったですけど、お仕事をしていない分、どんどん孤立していく感じもあって。そんな時、3人が毎日連絡をくれたことで、“私、ちゃんと存在してるんだ”って、すごく救われました。
自分は必要ないという葛藤と初めての涙…メンバーからの「4人でぼる塾! 私たちが酒寄さんを必要としている」
ぼる塾・酒寄最初は、ぼる塾がテレビに出られたことがうれしくて純粋に喜んでいたんです。でも、だんだん人気者になっていく3人から取り残されていく気がしたし、自分が出たかった番組で笑いを取っている姿を見た時は、「私も隣にいたかったな…」って初めて泣きました。3人が面白すぎて、自分は必要ないんじゃないかと思うようになっていきました。
――その気持ちは、3人には伝えましたか?
ぼる塾・酒寄3人がものすごく忙しい時に自分のことを言わないほうがいいと思ったし、伝えませんでした。でもある時、私にお仕事が来たことがあって、事前に3人が気を遣って「酒寄さんは今育休中だから、こうした方がいいんじゃないか」ってアレンジしてくれたんです。私が聞いた時にはすでにアレンジされた形になっていて。今考えるとすごく大人げないんですけど、それまでの複雑な気持ちが重なって、「私のいないところで私のことを勝手に決めないでほしい」と爆発してしまったんです。
――その時に気持ちを伝えたことで、変化はありましたか?
ぼる塾・酒寄すごくいいきっかけになりました。私も3人に自分のわがままを言うべきじゃないと思っていたけど、3人も私にどこまで相談していいか悩んでいたみたいで。お互いに変な気の遣い方をして、伝えなきゃいけないことまで伝えられなくなっていたんです。そのことがあって、何でも言い合えるようになりました。
――12月に発売されるエッセイ『酒寄さんのぼる塾日記』(ヨシモトブックス)にもありましたが、“私はいらないんじゃないか”という不安を打ち明けた時の話が印象的でした。
ぼる塾・酒寄ネットで応援してくれるメッセージと共に、「4人目はいらない」というコメントを見て傷ついたこともありました。もちろん、そういう意見があるだろうとは思っていましたが、復帰した後に言われるのかと自分の中で想像していたんです。登場する前から、もういらないって言われると思っていなかったので、すごくショックで。
あまりにも落ち込んで田辺さんに「みんなが4人目はいらないって言ってる」って伝えたら、「みんなって誰? 私たち3人が、ぼる塾が酒寄さんを必要としてるってことが一番大事なんじゃない?」って言ってくれたんです。
――温かくて心強い言葉ですね。
ぼる塾・酒寄3人がこんなに私のことを考えてくれたんだって、改めて感じました。落ちこんでいる時って、どんどん悪い方に考えちゃう。自分のことを大切に思ってくれている相手ほど、甘えて傷つけてしまうというか。3人がよく「4人でぼる塾」と言ってくれるのですが、メンバーの気持ちをシャットアウトしてしまっていたのは自分なんだともそのとき気づきました。
「“4人のぼる塾”にはあらゆる可能性がある」
ぼる塾・酒寄3人がすごく柔軟なんですよね。私を含めて固定概念に縛られている人ってすごく多いと思うのですが、3人は「それは酒寄さんがそう思ってるだけですよ」って(笑)。
――今後、復帰のタイミングについては考えていらっしゃいますか?
ぼる塾・酒寄この間4人で話したんですけど、復帰したらその後は全部4人でって考えなくてもいいんじゃないかなと。この仕事は3人の方が向いているっていう時もあるし、3人だったり、4人だったり状況に応じて変わってもいいと思っています。田辺さんとはるちゃんの“同居コンビ”や、私とあんりちゃんの“ネタ作りコンビ”、あとはもともとの“しんぼる”と“猫塾”コンビと、いろいろなパターンができるし、あらゆる可能性があると感じています。
――確かに。実現したら、かなり新しいスタイルですね。ここまでお話を聞いていて、「ぼる塾」4人の関係性が自然体で素敵だなと思いました。
ぼる塾・酒寄お互いのことが、すごく好きなんですよね。私も3人のことが大好きで、好きな人のためだからがんばれるんだと思います。
――最後に、今後の夢は何ですか?
ぼる塾・酒寄あんりちゃんも「結婚して子どもが生まれたら育休を取る」って言ってますし、今後誰が休んだ時も使えるように、いろいろなパターンのネタを作っていきたいです。全コンビのネタを考えたいし、ぼる塾としていろいろなパターンができるように、新たな挑戦をしていきたいです。
(取材・文/辻内史佳)
『酒寄さんのぼる塾日記』(ヨシモトブックス)
ただいま育休中、ぼる塾のリーダー・酒寄さんが「じつは自分たちの面白さに気づいていない3人を知ってもらいたくて書きはじめた」noteの日記をまとめたエッセイ集。田辺さんという珠玉のキャラ、ふざけ過ぎるはるちゃん、キレるあんり…そんな3人をニヤニヤしながら見守る酒寄さんが優しい言葉でぼる塾の魅力を綴っている。初めて自身について語った「酒寄さん編」など100ページ以上の書下ろしを収録。メンバーの持ち寄りコーナーやスペシャル漫画などおまけページも。