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天海祐希×草笛光子が語る、人生の後半を生きる人へのエンパワーメント 『老後の資金がありません!』インタビュー
前田哲監督が放ったデリカシーに欠けるひと言とは?
草笛オリコ…おりこうさん? 私、おりこうさんに見えるかしら?
天海いやいや(笑)、ORICON NEWSさん。ホントに、ホントに、かわいらしい方なんですよ。草笛さんがいらっしゃると現場が華やかに、にぎやかになるんです。
草笛それはあなたの方よ。監督より声が大きいし(笑)。ほら…何ていうのかな…すぐ出てこない。これが年なのよね(笑)。
天海草笛さんだけじゃないですよ。私も友だちと会話している時に、「あれがさ、ほら、あれなのよ」「ああ、あれね」「そうそう、あれ」「あれって何よ」って、よくなるもの(笑)。
草笛あ、思い出した! そう! さっぱりしてらっしゃるの。私は言いたいことを言う人ですが、天海さんも言いたいことを言う方よね(笑)。だけど、それは絶対に人を傷つけるものではないの。「なるほどね」ということをスパッとおっしゃる。勇気があるっていうかね、そこが良いですよね。
天海ありがとうございます。
草笛正直、カチンときましたよ(笑)。私が演じた芳乃は、天真爛漫(らんまん)と言えば言葉は良いですけど、どこか抜けていて悪気はないんだけど周りに迷惑をかけてしまう女性だったので、どうやってこの役を演じたらいいかしら?と監督に伺ったら、「変に演じないでください、そのまんまであなたはおかしいですから」と言われました。何十年とこの仕事をしてきて、そんなこと言われたの初めてよ。
天海失礼ね、デリカシーがないわね(笑)。
草笛でも、ああそう思っている方もいるのなのかなって、目を開かされたというか。そこまでおっしゃった監督ですから、もうお任せすることにしました。もしかしたら、自分の知らない一面を引き出してくれるんじゃないか、と前向きに捉えてね。だから、良かったら監督のおかげ、悪かったら監督のせいね(笑)。
天海私が翻ろうされる役というのは珍しいかもしれないですね。
草笛天海さんが普通の主婦の役をどう演じるのか、楽しみにしていたんです。そうしたら、見事に“普通”だった。私もいろんな役をやってきましたけど、普通の主婦くらい難しい役ってないの。普通っていうのは難しい。普通っぽさを出しながら、ちゃんと物語を回していくって、これは力がないとできないことよ。
天海うれしい〜! でもね、今回、主婦役をやってみて、全然普通じゃない、と思いました。世間的に割合が多いから一般的という意味で“普通”なのかもしれないですけど、旦那さんや子どもたち、義理の親、自分の親、自分以外の誰かのために毎日、家事を頑張っている。深い愛情とやりくり上手じゃないとできないことですよ。それを明るく前向きにこなしている篤子さんには尊敬の気持ちが湧きました。
草笛それにしても、見事でした。
天海草笛さんがいてくれたからですよ。草笛さんが自由に華やかに芳乃さんを演じてくださったので、巻き込まれていきやすかったです。自然と困った表情になりました(笑)。
「人生わがままに生きた方が勝ちよ」の深い意味
草笛みんな思い当たるところがありますよね。
天海老後に2000万円必要だと言われた時には、私もショックを受けましたけど、この映画には人生の後半に起こりうる問題の数々が詰め込まれていて、例えば葬儀費用はどれくらいかかるのか、といったことも勉強できるんですよね。お金ってあるに越したことはないんだけど、心の中に何か一つでも大事なものがあれば、いろんな形で補っていけるんじゃないかな、ということをこの映画に出合って思いました。
草笛私、10月22日に88歳になりましたけど、この歳になってみて思うのは、やはり、周りに迷惑はかけたくない、というのが一番。それ以外は、意外とあっけらかんとしているかもしれない。だって後は野となれ山となれでしょう。明日、どうなるかだってわからないんだから。そうは言いつつ、1日を終える頃には、今日はちょっとわがままいって迷惑かけちゃったかもしれないわ、と反省するんです。
天海わがままでいいんじゃないですか? 映画の中でも芳乃さんのせりふに「人生わがままに生きた方が勝ちよ」と言うのがあるんですけどね、これがまたなかなか深いんですよ。ただわがまま放題に生きたらいい、と言っているんじゃないんです。「これまでずっと頑張って、苦労もしてきたんだから、残りの人生の選択はわがままにしていいじゃないですか?」ということなんですね。
草笛草笛光子って、わがままだったけど、ちょっとおもしろい女優だったね、って言われたいわね。
天海もう言われているじゃないですか、おかしいって。前田監督に(笑)。
草笛あら、本当だわ(笑)。88歳になったら、私ってこうなるんだ、というのを面白がっている自分がいるわね。自分で自分をからかうことができる。それで、いつまでも人様の役に立ちたい、って思うわね。
天海草笛さんが元気で美しくお仕事されているだけで、私たちの役に立ってます。草笛さんを見ていると、年齢を重ねるって悪いことじゃないなって思えますし、草笛さんように年を重ねていきたいな、って思います。
天海新型コロナウィルスの流行が起こってからの約2年は、日本だけでなく世界中で経済的にも精神的にも大変な思いをしている方がたくさんいらっしゃる。そんな中で、今、この映画を劇場で公開できるのは本当にありがたいことだと思っていますし、幸いにもこの映画は、笑えて、泣けて、ちょっと勉強になって、映画館を出る時には氷川きよしくんの歌じゃないけど、「Happy!」な気分になれる映画だと思うんですね。帰りにスキップしたくなるような(笑)。現実問題として、乗り越えないといけないことはたくさんあるかもしれないけど、少しでも気持ちが明るく楽しくなる応援歌として映画を見ていただければと思います。
主題歌は氷川きよしの「Happy!」
一言でいうと最高です!! 久しぶりにお腹を抱えて笑って、最後は感動できる。時間を感じないくらいあっという間で、こんなに楽しい映画があるんだと思いました。何度でも観たいです。天海さんは憧れの強い女性ですが、主婦役をやられるのは珍しかったので新鮮でしたし、展開も面白くて目が離せませんでした!
映画主題歌は初なので、デビューして22年目で、新たなキャリアのスタートになりました。タイトルには、みんながハッピーになってほしい、いろいろなことに感謝して生きていればハッピーになれるよ、という 想いを込めています。
大変な世の中なので、自分を奮い立たせてハッピーに。暗い気持ちでも明るい気持ちに持っていけるように。希望がなければ希望を作ればいい。どこかには道がある。壁にぶつかっても道はある。悩みやピンチこそチャンス だったりするので、そんな気持ちで聴いてほしいと思います。
映画『老後の資金がありません!』2021年10月30日公開
松重豊/新川優愛 瀬戸利樹 加藤諒 柴田理恵 石井正則 若村麻由美
友近 クリス松村 高橋メアリージュン 佐々木健介 北斗晶 荻原博子(経済ジャーナリスト)
竜雷太 藤田弓子 哀川翔 毒蝮三太夫 三谷幸喜
草笛光子
主題歌:氷川きよし 「Happy!」(日本コロムビア)
企画プロデュース:平野隆
プロデューサー:岡田有正、下田淳行
監督:前田哲
脚本:斉藤ひろし
音楽:富貴晴美
原作:垣谷美雨「老後の資金がありません」(中公文庫)
制作:ツインズジャパン
配給:東映
(C)2021映画『老後の資金がありません!』製作委員会
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#老後の資金がありません