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柳楽優弥×有村架純、コロナ禍だからこそ響くものがある『映画 太陽の子』
本作は、太平洋戦争末期に実際に海軍からの密命を受け京都帝国大学・物理学研究室が行っていた「F研究」と呼ばれる新型爆弾開発の事実に着想を得て、黒崎博監督が脚本を練り上げたオリジナル作品。
戦況が激化し、最終局面を迎えた1945年の夏。京都帝国大学・物理学研究室で研究に勤しむ実験好きの若き科学者・修(柳楽)。幼なじみの世津(有村)。戦地から一時帰宅した修の弟・裕之(三浦春馬)の3人は、久しぶりの再会を喜び、ひとときの幸せな時が過ごす。そんな中、戦地で裕之が負った深い心の傷を垣間見る修と世津。一方で物理学研究の楽しさに魅了されていた修も、その裏側にある破壊の恐ろしさに葛藤するようになる。そんな二人を力強く包み込む世津はただ一人、戦争が終わった後の世界を考え始めていた。そして、運命の8月6日が訪れてしまう。
予告編
有村だいぶ前のことのようにも感じますし…
柳楽昨日のことのように感じる時もあるし…
有村そうですね。
柳楽どっちなんだろう(笑)。作品としては、76年前の話でもあるし、昔と今を行ったり来たりしている感じ。
有村不思議な感覚がありますね。
――本作では、修をはじめ、京都帝国大学・物理学研究室の研究員たちが、「今研究しているものが完成すれば、戦争は終わる。世界を変えられる」と、託された国の未来のために、情熱的に原子核爆弾の研究開発に邁進する一方で、科学者が兵器を作ることに葛藤する姿も描かれていますが、現代のいろいろなことに置き換えることができる普遍的なテーマを突きつけてくる作品だと思いました。
柳楽修のせりふで「僕たちがやっていることは、正しいことなんですか? 間違っているんですか?」というのがあって、このせりふは観客にも問いかけているものだし、どう感じてくれるかは人それぞれなんですけど、自分がやっていることに疑いを持ちはじめて、それが言い争いに発展していく様というのは、身近なところでも起こり得ること。間違っているんじゃないかと思っても、それが言えなくなるのは怖いし、そう言わせないムードにさせるというのが怖いな、と改めて感じました。
修たちには、科学者としての純粋な好奇心や探究心もモチベーションとしてあったと思うんです。研究所の仲間たちと真剣に新型爆弾開発に取り組んで、意見を出し合っている感じが、撮影中の僕らがどうすればより良い映像が撮れるか、監督たちと話し合っている感じと重なっていくような感覚がありました。
有村このせりふはこういう気持ちで言ってみたんですけどどうですか?というのを確認しながら、丁寧に撮影できたと思います。私は感覚だけではお芝居ができないので、台本のせりふだけ覚えて、現場に入ってからフィーリングで演じていたら、すべて崩れちゃうタイプだと思います。なので、一つひとつのシーン、せりふについてしっかり考えてから現場にいつも行きます。科学者の修と同じかどうかわかりませんが、私にも演じる上での好奇心は大切にしていて、もう少し探ったら何か見えるかもしれない、もっと作品のことや役の気持ちがわかるかもしれない、深く知りたい、という欲というか、一つひとつにかける執着は年々増してきているようにも思います。
柳楽そうですね、夜明け前の光の具合を見ながらの一発本番でした。局面が変わっていく大切なシーンだったので、もうドキドキでした。僕らキャストだけじゃなく、カメラマンも録音技師も照明部もみんな自分がやることに集中していた感じはすごかったです。いいシーンってこういう緊張感から生まれるんだなって学びました。僕自身は、スタートがかかってからは、もう必死でした。あのシーンの映像は、次の現場でもずっと流していたんですよ。スタッフさんたちにとっても達成感があったんじゃないかな、と思います。
有村劇中で歌が使われるシーンというのはだいたい象徴的なシーンになりますよね。映像として魅せるシーンでもあるので、逆に意識しすぎないようにしています。今回の世津は、「よし歌うぞ」と歌うのではなく、自然と口ずさんでしまった感じなので、私自身が「歌わなきゃ」と1%でも思ってしまったら、あざとさが出ちゃうかもしれなかったので、世津の気持ちと歌をどう噛み合わせるのかが、難しかったです。私自身、歌は好きですけど、家で自由に歌っているくらいがちょうどいいです(笑)。
柳楽現場で見ていて難しいだろうなって思っていました。そういえば、京丹後でのロケが終わった後、みんなで食事に行って、カラオケもしたよね。架純ちゃん、歌、超うまかった! 春馬くんも超うまかった。僕は、「♪Wow WowWar WowWar tonight」しか歌わない。
有村歌ってた! 浜田雅功さんの「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」(H Jungle with t)。あの時は、何も気にせずみんなでご飯を食べて、カラオケも楽しめましたよね。
有村私は、今のようなコロナ禍じゃない時にこの作品が公開されていたら、逆にピンとこなかったのかもしれないな、って思っています。皆さんが危機的状況に直面して、改めて気づくこと、はじめて気づくことがたくさんある中でこの作品を世の中に送り出せるというのは本当になんというか…タイミングってあるんだなって思いました。「未来」ということばにもいまはすごく敏感になれる時だと思うので、みんなで一緒に未来の子どもたちのためにも、いまから起こす行動を意識的に考えていけたらいいな、と思います。
柳楽未来について話すって、改めてすごく前向きになれるな、と思いましたし、そこから希望が生まれますよね。この映画は、日本でも新型爆弾を開発していた、という実話をもとにしていますが、若者たちが懸命に生きている姿とか、家族で過ごす日常も丁寧に描かれているのがすごくいいな、と思います。この映画を観て、今を生きる上でのヒントが何かあるんじゃないか、という捉え方もできると思いますし、戦争って嫌だな、怖いなと感じる人もいると思います。感じるものは人それぞれ違っても、何かしら感じるものが必ずあると思うので、劇場で作品を見てほしいなと思います。
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監督・脚本:黒崎博
音楽:ニコ・ミューリー
製作:「太陽の子」フィルムパートナーズ
Presented by ELEVEN ARTS STUDIOS / NHK
(C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
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