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「自らの意志で人生を切り開く」BLACKPINKが示した新たな価値観
ワールドワイドな音楽性、10代、20代から熱狂的支持
熱狂の渦のなかに登場したBLACKPINKのパフォーマンスも驚くほど強烈。激しさ、繊細さ、セクシーさ、可愛らしさをすべて持ち合わせたボーカル、質の高いダンス・パフォーマンスによって、円形ステージを取り囲む観客を魅了し、さらに高揚させていく。
何よりも衝撃的だったのは、彼女たちの音楽性。当時の最先端だったトラップを取り入れたサウンドメイクはもちろん、オルタナR&BやEDMなどを反映させた楽曲はまさに世界標準だった。単にアメリカ、ヨーロッパのトレンドを汲むだけではなく、アジア的なオリエンタリズムと呼ぶべきテイストが加わっていたのも印象的。“なるほど、これがBLACKPINKのすごさなのか”と強いインパクトを受けた。
2016年に韓国でデビューしたBLACKPINKは、JENNIE(ジェニー/V&Rap)、JISOO(ジス/V)、ROSE(ロゼ/V)、そして、タイ出身のLISA(リサ/RAP)による4人組。“ガールズクラッシュ”(女性が憧れる女性)を体現し、今や世界的な人気を得ているガールズグループだ。
世界的ブレイクのきっかけは、2018年にリリースされた1stミニアルバム『SQUARE UP』が全世界44ヵ国のiTunesチャートで1位を獲得したこと。とくにリード曲「DDU-DU DDU-DU」のMVは約半年で5億再生を突破(現在は16億再生超え)するなど、大きな反響を集めた。
さらにビリー・アイリッシュ、レディー・ガガ、セレーナ・ゴメスなどが所属すう名門レーベル『Interscope Records』と契約。グラミー賞前夜イベント『グラミー・アーティスト・ショーケース』や、アメリカ最大級のフェス『コーチェラ・フェスティバル 2019』にも出演するなど、アメリカでの活動を本格化させた。一方で、2019年には『SUMMER SONIC』にも出演。日本のファンはもちろん、アジア各国、欧米のオーディエンスを熱狂させ、ワールドクラスの人気を証明した。
アジアから世界へ、成功体験で示したのは“自立したアーティスト像”
トラップ以降のヒップホップ、オルタナR&B、エレクトロなどを軸にした音楽性もアップデートし続け、いまやBLACKPINKは“世界を代表するアーティスト”としての評価を得たと言っていいだろう。
楽曲のクオリティ、メンバー4人のパフォーマンス力、緻密に組み上げられた世界進出のプロセスなど、彼女たちの成功には、いくつもの要素が絡み合っている。その活動のすべてに共通しているのは、自らの意志で人生を切り開き、グローバルポップの頂点を目指し続ける自立したアーティスト像だ。アジアと欧米、男性と女性といった枠を打ち破り、国籍、ジェンダーを超えた支持を獲得しているBLACKPINKは、ガールズグループに向けられた既存のイメージや慣習を更新する存在と言えるだろう。
彼女たちが打ち出す新たな価値観に、ハイブランドも反応。JISOOが『ディオール』、ROSEが『サンローラン』と『ティファニー』、LISAが『セリーヌ』や『ブルガリ』、JENNIEが『シャネル』のアンバサダーに起用されるなど、ファッション界においても大きな注目を集めている。
日本1stフルアルバム『THE ALBUM -JP Ver.-』は、現時点におけるBLACKPINKの集大成と言える作品である。代表曲・人気曲を網羅した収録曲はもちろん、SPECIAL EDITION(CD+Bluray/DVD)に収録された『BLACKPINK 2021[THE SHOW]』のライブ映像も必見。これは今年1月31日にYouTube上で開催されたオンラインライブ(全世界で約28万人が視聴)で、4人の最新のパフォーマンスを追体験できる。
本作のリリースによって、日本国内での注目度と評価もさらに上がるだろう。BTSと同じく、“アジアから世界のトップへ”を体現する彼女たちの楽曲とパフォーマンスをぜひ堪能してほしい。