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華やかなキャリアを支える“ポジティブ”さ “令和のシンデレラガール”熊田茜音の軌跡
デビュー4年で話題作に次々と出演する華々しいキャリア
17歳で声優デビューを果たした彼女は、『転生したらスライムだった件』(2018年)のエレン役、『キラキラハッピー★ ひらけ!ここたま』(2019年)の七瀬千春役、ライフル・イズ・ビューティフル』(2019年)の渋沢泉水役と話題作に出演し、順調なスタートを切った。最初のブレイクのきっかけは、『織田シナモン信長』のメインキャスト・尾田市子役。瑞々しい声の存在感、デビューしたばかりとは思えない表現力によって、アニメファンからの大きな注目を集めた。さらに2020年1月には『織田シナモン信長』オープニング主題歌「Sunny Sunny Girl◎」で声優アーティストデビュー。カラフルなポップチューンを華やかなに歌い上げるボーカルは、音楽ファンにも新鮮なインパクトを与えた。
今年1月にはデジタルアルバム「Colorful Dirary」、さらに4月には両A面シングル「Brand new diary / まほうのかぜ」をリリース。『転生したらスライムだった件 転スラ日記』オープニング主題歌「Brand new diary」は、疾走感のあるビートと解放的なメロディが印象的なギターロック。“前向きに行動することで、今までとは違う、新しい気付きがあるはず”という思いを込めた歌詞は、彼女自身のキャラクターとも重なっている。テレビアニメ『スーパーカブ』オープニング主題歌「まほうのかぜ」は、ノスタルジックな雰囲気のミディアムチューン。タイプの違う2曲によって、ボーカリストとしての資質の高さを改めて証明してみせた。
オーディションを勝ち抜き、人気アニメ作品に次々に出演、そして、声優アーティストとしてデビュー。それをわずか4年の間にやってのける華々しいキャリアは、まさにシンデレラガールと呼ぶにふさわしい。
新曲の歌詞に自身を投影 だから可能なリアルな感情表現
8月4日にリリースされるニューシングル「ココロハヤル」は、熊田自身のこれまでの軌跡を総括するような楽曲だ。ギター、ベース、ドラム、ストリングスなどの生楽器の響きを活かしたサウンドメイク、明るくポップなメロディラインも彼女のイメージにぴったり合っているが、特筆すべきはやはり歌詞。「挫けたりしない」「好きだから進むんだ」などのフレーズからは、彼女の前向きな姿、どんな困難にも立ち向かう姿勢がはっきりと浮かび上がってくるのだ。作詞は、声優、アイドルなどの楽曲を数多く手がける唐沢美帆が担当。熊田のキャラクターや道のりを色濃く反映させた歌詞は本当に秀逸だ。
「ココロハヤル」「自分磁針」の中心にあるのはもちろん、熊田のボーカルだ。壁にぶち当たっても、思い通りにいかないことがあっても、とにかく全力で未来に突き進む。そんな意志をポップに解き放つ彼女の歌声は、作品を重ねるごとに魅力を増している。なかなか先が見えない現状において、彼女のチアフルな歌はさらに多くのリスナーを惹きつけるはず。新世代の声優アーティストの旗手になろうとしている彼女が今後、どんな歌を届けてくれるのか。期待を込めて注視していたいと思う。
文・森朋之