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『テニプリ』作者、“トンデモ展開”は読者ツッコミ待ち?「ONE PIECEに負けたくない」90年代ジャンプデビュー当時語る
「『SLAM DUNK』はあまりにも大きな存在」、メガヒット続く90年代「ジャンプ」デビュー当時
──メガヒットの後を追ってのデビューとなりましたが、当時どのような心境で描かれていたのでしょうか。特にスポーツものでは『SLAM DUNK』という偉大な作品もありましたが。
許斐剛スポーツものとしてあまりに大きな存在ですよね。『ジャンプ』では過去に『キャプテン翼』のような作品もありましたが、『SLAM DUNK』以降、リアル系のスポーツ作品が増えていた印象です。当時、どの作品も『SLAM DUNK』との比較を免れ得なかった。そんな中、私は、リアルなものも好きですが、漫画にしか出来ないものを見せたいという想いがありました。男子テニスの漫画も当時なかったので、「これは絶対にヒットするだろう」という確信も実はありました。
――その確信の根拠は?
許斐剛主人公の越前リョーマというキャラクターですね。『ジャンプ』らしい熱い主人公ではなく、クールなライバルタイプを主人公に据えたこと。ですが主人公が無口になると暗い作品になってしまいます。私は王道が好きなので、そのために、主人公をリョーマにするなら、周りを囲むキャラをしっかり描きたいと思いました。つまり、(リョーマが通う)青春学園中等部のチーム全体を主人公として定義し、その中で個性づけを。それに対するライバルも同じようにチームひと塊にして各キャラの個性をだしていく。格好いい男の子たちがパーティーを組むスポーツものはちょっと新しいんじゃないかと。ですから『テニプリ』では個人戦ではなく団体戦ばかり描かれるんです。
――規定のものではない作品作りを目指された。
許斐剛他の作家さんには作れないものを作りたい。勝つとか負けるとかの分岐路で、普通ならばAをとり、「Bはないよ」という流れがあるとすれば、私はそのBをとる。そのBルートを面白く描くのがこっちの仕事ですし、それができれば読者の予想を裏切れますから。