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『親バカ青春白書』はコロナ禍の今を問う社会風刺ドラマ? 「家庭」を「社会」に持ち込む主人公たち
『親バカ青春白書』/日曜夜10時30分~(C)日本テレビ
家庭内で巻き起こるホームコメディをキャンパスで展開
しかしこのコロナ禍、現実的には多くの大学が授業を再開できず、入学した学生がまだ一度もキャンパスに入れないという状況が続いている。さらに「外出自粛」はまだ続き、「家庭」と「社会」をできるだけ交わることのないような行動が求められている。
そんな状況下で観る本作について、ポップカルチャー研究者(早稲田大学招聘研究員)の柿谷浩一氏は、「普段、家の中で自然に繰り広げているであろうホームコメディの風景が、大学や友人といった「外」と「他者」に開かれている点が面白さのポイントである」と解説する。
「物語では、大学に父親が出向くばかりか、小説家である主人公の家には編集者という社会的な第三者が毎回入ってきて、普通に家族団らんの中に混じっています。コロナ禍で、家と外を明確に分けなくてはいけないという意識のなかで生きているいま、その反対側を描く内容は、とてもシニカルに映ります」
もちろん、制作的にはコロナ禍の状況を意図したものではないだろう。しかし、結果的にいま置かれている社会の空気や雰囲気と真逆をいく設定が、面白くもあり深く胸に刺さる。