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『半沢直樹』、不気味な余韻をかもす音の演出に“病みつき” 視聴者を惹きつける「音効」
7年かけて培った『日曜劇場』による音の演出
「この7年間の『ノーサイド・ゲーム』や『陸王』といった作品で、それを積み重ねてきた結果ですよね。劇伴の音楽と音効も、時代劇やNHK大河ドラマのような圧倒的な臨場感と迫力があります。大きなインパクトをもって視聴者のイメージに刷り込まれているので、同じ音楽体験を渇望している人も多いと思います」(柿谷浩一氏)
そんな日曜劇場の代表作『半沢直樹』だが、今期もオンエアと同時にSNSでは“半沢祭り”となり、おなじみの決めセリフからキャストの表情や仕草まで、実に細かな部分まで話題が盛り上がっている。そうしたなか、音効も俎上に載せられており、例えば、ドアを締める、書類を投げつける、机をたたくといった日常のアクション音の音効が“病みつきになる”と楽しまれているようだ。
「2話目の後半に、仲間が証拠書類を部長のデスクから盗むシーンがありました。その音効で、まず見つかる瞬間に“ドーン”と鳴り、書類を奪われ窮地に陥った時にさらに大きな音で“ドーン”。そして、半沢たちが扉を開けたときに“バーン”と、たたみ掛けるかたちで音を重ねていました。証拠を得る側と、それを得て乗り込む側。2つの現場の不安と緊張、確信と怒りといった人々の心情の高まりを、三段活用のように見事に音でリンクさせた上手い演出でした。
それに、そんなに特徴的な音効なのに、作品全体の映像と音のバランスで見ると安定しているんです。『半沢直樹』というドラマでなければ、あの日常音の音効は明らかにうるさいですよ(笑)。でも振り切った音効があることで、不自然に感じない。ドラマ全体のサウンドデザインが非常に優れているんです」(柿谷氏)