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【高橋ダン】「損切り」は人生にも活かされる…10分間で7億円失ったからこその教訓
弱冠26歳でファンド設立 自信過剰が招いた“記録更新”への欲求
ではまず、私の経験談からお話しましょう。ウォール街にいた僕は、その時、かなり自信過剰になっていました。弱冠26歳でファンドを起ち上げられる人、この若さでそれが出来る人はそれほどいなかったからです。さらにはファンドを起ち上げてからというものパフォーマンスは上々。ファンドではリスク回避のために取引に「上限」が設けられています。ところが、僕はパフォーマンスの高さの信頼から、この天井が取り除かれていたんです。つまり、いくらでも取引できるようになっていた。この若さで。実力で。僕は自分が「神」でもあるかのように、ますます慢心していきました。天狗になっていたというやつです。
そして28歳の時。僕は自信過剰という波に乗って、ある取引に手を出してしまいました。この数ヵ月前、最高のパフォーマンスを手に入れており、その「記録」と「記憶」を上回りたかった。つまり「プライド」だけ。手を出したのは、裁定取引(アービトラージ)。例えば、トヨタの株はNYでも日本でも取引されています。ですがアメリカと日本では時差がある。アメリカで取引された価格と、その後で日本で取引される価格。その差額が広がるか狭まるか、これについて「賭け」をする取引ですね。
結果から言います。僕はこれで10分程度で7億円の損失を出してしまいました。この時の僕の心情は? お話します。