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(更新: ORICON NEWS

【高橋ダン】「損切り」は人生にも活かされる…10分間で7億円失ったからこその教訓

「損切り」の痛みをやわらげるために必要な“2つのこと”

 こうした経験は、多かれ少なかれ、誰しも訪れるのではないでしょうか? 実際、ヘッジファンドの世界でも、ハーバード出身のフットボールプレイヤーで、ルックスも体格も何もかも僕より格上の超優秀人物が近くにいたのですが、そんなすごいスペックの彼でさえも、「損切り」では大泣きした挙げ句、倒れ、寝込んでしまいました。

 「損切り」は投資だけではなく、人生でも言えると思います。成功をし始めると、人は、そのルートだけにすべての力を注ぎたくなってしまうんです。もちろん集中した方が効果は出る。でもそれは「当たれば」の話なんです。でも「外れた」場合。「損」が出てしまった場合…。

 恋愛を例に例えると良いかもしれませんね。「損切り」の難しさは、これまでの自分の人生の「否定」につながることです。このまま付き合っていてもダメになっていく一方。でも、付き合ってきた何年間、労してきた時間すらすべて「無駄」になってしまう。人は、それが怖いんです。

 なぜ「怖い」のか。それは、「そこだけに力を注いできたから」です。投資でも言えることなのですが、自分が投資する先は「分散」して置いたほうが良い。一点集中は危険です。力を注いできた分、「損切り」したくなくなるから。人生で言えば、集中する場所を、恋愛だけ、仕事だけ、ではなく、複数にしておけば、一つを「損切り」しても「他」があるため、「損切り」が少しは容易になるのです。

 とくに日本は職人気質と言いますか、「我慢」の文化があるため、視野が狭くなりがち。実際、「我慢」という日本語は、英語をはじめ、他の外国語でも、該当する概念・単語があまりありません。災害に耐えてきた国民性なのでしょうか、一度レールに乗るとずっとそのレールで人生を歩んでしまう。でも違うんです。他のレールに乗っても、違うルートへ進んでも、あなたが生かされる環境があるかもしれない。日本に起業家が少ないのもそういった国民性があるからかもしれませんね。そして「損切り」においては、この国民性はある意味、とても危険なのです。

 答え、正解は誰にも分からない。だからこそ、自分の可能性を「一つ」に留めるべきではない。あともう一つ、「損切り」の痛みは、経験すればするほど良い。「失敗して終わり」ではないのです。仏教では「痛み」は二つあると言われます。一つは実際の痛み。もう一つはその痛みを「どう受け止めるか」。失敗しても悲観的にならない。「It’s OK!」と受け止め、次に進めるかどうか。「失敗」や「損切り」を続けることで、どこか客観的に、システム的に自分の中に取り入れられていく部分もあるように思います。

 投資でも人生でも「損切り」は痛みを伴います。その痛みをやわらげるには「自分を多様化しておく」。そして「痛みを受け止め、それを経験とする」。皆さんも、この二つを大切に考えてみてください。

【高橋ダン】
経済アナリスト・プロ投資家。12歳で投資を開始。米コーネル大学を首席グループで卒業後、ウォール街の名門金融機関・モルガンスタ ンレーに従事し、リーマンショックを経験。その後、独立し、自らヘッジファンドを運用。2020年1月から自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、4ヵ月で登録者数12万6千人獲得。日本国内の全てのYouTuberを含む月間の登録者数増加ランキングで国内23位に位置付けるなど、今最も注目を集める若き論客。

(取材・構成/衣輪晋一)

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