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【高橋ダン】「損切り」は人生にも活かされる…10分間で7億円失ったからこその教訓
「自分の一番の敵は自分」負けを認めなかったことでさらなる大損
アメリカ市場の終盤で大量に買い、アジア市場が開く時に売る。これで儲かるはずでした。ですが当時の僕のパートナーは疑問を持ったのです。「ダン、その戦略は当たってるのかい?」と。ですが自分を神のように考えていた僕はこう答えてしまいました。「誰に向かって言ってるの? この“俺”が立てた戦略だよ」と。
僕の戦略はものの見事に外れました。日本で市場がスタートすると、2%だった差額は3%へ。本来ならば、ここで「損切り」をするべきだったんです。でも僕は切れなかった。もっと言うと、切りたくなかった。だから逆に、さらにこの商品を買ってしまったんです。ここまで来るともう戦略と言えません。論理的な理由もなんにもない。ただ自分が「損をしている」ことを受け止めたくなかっただけ。プライドだけが僕を突き動かしていました。
やがて3%は4%に。ここに来て、資金調達をしてくれた人からも「大丈夫か?」と連絡が。僕は「大丈夫に決まっているだろ? もう電話してくるな!」と返してしまいました。そしてさらに大量買いし、差額が狭まるまで待機。しかし上がらず、やむを得ず「損切り」した時点で7億円の損失…。その間、わずか10分ほどでした。その後も日本市場はますます差額を広げていきました。あの時点で「損切り」しなければもっと大損していたことでしょう…とてもショッキングなイベントでした。
当時の自分を振り返ると、僕は自分を天才であり、神のように考えていました。そして、これまでの自分の記録を上回ることだけ見ていました。もちろん本などで読んで知っていました。「成功した後が最も危ない」と。でも、僕はこいつらとは違うと思っていました。自分は特別だ! と。今回は違う、大丈夫だ! と。
皆さんは僕のように傲慢じゃないかもしれません。ですが、僕はここで改めて悟りました。「自分の一番の敵は自分なんだ」と。プライドのためだけに、「負けた」ということを認めたくなかったがゆえに、必要以上の損をしてしまったのだと。