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児童書で描く“おばけ”は、なぜ怖くないのか? 「小さなおばけ」40周年でもなお愛される秘密
子どもたちの想像力を刺激する“おばけ”は、作者の気持ちを自由にする
角野栄子 書き始めたのは、今から41年前です。20代で2年間暮らしたブラジルで、美味しいスパゲッティの作り方を覚えてきたので、スパゲッティの話を書いてみようと思ったことがきっかけです。当時、全くの新人でしたので、“ただ面白いものを書きたい”そういう気持ちでした。
――なぜ“おばけ”を主人公にしたのでしょうか?
角野栄子 “おばけ”は自由で、広い世界を持っている。いつでもどこでも、消えたり現れたり。その“おばけ”が食いしん坊だったら……。イメージがどんどん広がりました。
―― 一般的なイメージの“おばけ”とは異なり、本作では善良でとても愛らしい存在として描かれています。キャラクター設定はどのように決めたのでしょうか?
角野栄子 いろいろな作家がおばけのお話を書いていました。でも、私なりに思いっきり冒険して、新しいおばけを書きたくて、「アッチ」というキャラクターが生まれました。
――日本の成人向け作品では、“おばけ”は“怖い化け物”としておどろおどろしく描かれています。一方、童話や絵本では、「小さなおばけ」シリーズもそうですが、『オバケのQ太郎』や『おばけのバーバパパ』など、可愛らしく、友達のようなポジティブな存在として描かれることが多いです。なぜ、愛らしい存在として描かれるのでしょうか?
角野栄子 おばけは、作者の気持ちを自由にしてくれます。おばけを書くことで、作者も元気になる。そして、魅力的なキャラクターが生まれて、子どもたちの想像力を刺激したのではないでしょうか?