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毒親ブームに警鐘、脳科学から見た親と子の問題点「誰でも“なり得る”ことを知って」
「子どものためではなく、自分の快楽になっていると感じたら止めて」
大きな分岐点は「自分のしていることが快感になるかどうか」。冷静な視点を持ち、いま子どもに対してやっていることが、「子どものためではなく、自分の快楽になっていると感じたら止めてほしい」と訴える。怒ってしまった内容について、しっかり説明できるかどうか。それが非常に重要な問題となってくる。とはいえ、子ども自身が虐待か否かを判断するのは難しい。「児童相談所と警察の連携がうまくいっていないという問題点はあるのですが、とにかくなにかあったら子どもは逃げてほしい。そういう仕組みを作らないといけないのです」。
脳科学者が“発信”する理由、「論文よりも一般への知の還元を」
こうして、以前からメディアや著書を通して、その研究を一般社会に還元し、問題を抱えた人々の心を救ってきた中野氏。近年ではほかにも、茂木健一郎氏や澤口俊之氏など、一般にも馴染み深い脳科学者もいるが、中野氏の考える“発信”する意味とは?
「研究室で論文を書いているだけでは、税金を使って研究をしているにも関わらず、一般に知識を還元することはできません。研究者の中には、一般に向けた知の還元をダサい、それは研究者の仕事ではない、とおっしゃる方もいるのですが、それではいったい誰がやるのか。自分の研究を支えた税金を支払っている人々のことを、少しでも考えているのか。捏造も多い昨今、いわゆる「業績」を上げてポストにしがみつくことに自分はあまり興味がなく、そういうことは業績と肩書きを重んじる先生方が真剣におやりになっていますから、お任せしたいと思っています。一般向けに語るというのは意外に工夫とスキルが必要なものです。メディアに関わる皆さんの伝える力から学ぶことも多くあります。自分になにができるのか、常に考えながら、知の還元をしていけたらと思っています」。
(文・磯部正和)
ポプラ社刊
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