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ついにあの『モンスト』も着手 “自虐CM”の効果とは?
悲壮感ではなく、ユーモアで“内情”を露呈することが“自虐CM”成功のカギ
また兵庫県姫路市にあるレジャー施設「姫路セントラルパーク」は、「日本一、心の距離が遠いサファリパーク」というキャッチフレーズを掲げた“自虐CM”を制作。さらに三重県志摩市にあるテーマパーク「志摩スペイン村」も、とにかく人が少ないことを最大限に生かし、HP上で「並ばないから乗り放題」、「空いてるから映え放題」などの自虐アピールを展開し、SNS上で話題をさらった。
こうして見ると、いかに悲壮感たっぷりではなく、ユーモアを織り交ぜて“内情”を露呈することがカギとなっており、その微妙なあんばいに成功した企業のみがSNS上でバズっているのが現状のようだ。
リリースから6年経った『モンスト』 爆発的ヒットもスマホを取り巻く環境が変化
そもそも『モンスト』は、2013年10月10日に正式リリース後、DL数は急増。今年7月には、世界累計利用者数が5100万人を突破したという。開発当時の経緯について、同社モンスト事業本部の岩村康平さんはこう振り返る。
「『モンスト』は、コミュニケーションツールとして開発されました。弊社はもともと、社名でもあるSNSの『mixi』を運営していることから、コミュニケーションサービスに重点を置いて展開してきました。開発当時は、携帯電話がガラケーからスマホにシフトしていたタイミングでもあり、スマホアプリなら対面でコミュニケーションが盛り上がるのではと考え、『モンスト』を制作しました」
『モンスト』の爆発的ヒットは周知の通りだが、近年、その勢いにも陰りが見えている。同社によると、エンターテインメント事業の売上高が伸び悩んでおり、3年連続で減収減益が続いているという。同社にとって『モンスト』事業は主軸のため、同ゲームが不調だと、経営に大きな影響を与えかねない。
こうした現状について、岩村氏はこう話す。「スマホを取り巻く環境が、6年で劇的に変わりました。他社からアプリゲームが多く配信されるようになり、リリース当時は『モンスト』をプレイしてくださっていた方も離れてしまったり、動画や漫画に流れてしまったり…。競合はゲームに限らず常に増えているので、いかに毎日『モンスト』を楽しんでもらえるかが課題だと捉えています」
「クロちゃんは、良くも悪くもSNSと相性がいい」
「これまで我々は、イベントやSNS上での投稿を通して、ユーザーの皆さんの想いを痛感してきました。実際、『モンストがもっとこうなったら楽しいのに』といった要望もありました。そこで、『モンストよ!俺たちの声を聞け!』というキャッチコピーを打ち出し、SNS上で議論や意見交換がより活発になるよう、『モンスト』の話題化を狙って、“自虐CM”を展開しました」
「主演は瑛太さんですが、影の主役はクロちゃんだと思っています。クロちゃんは、自身のアカウントがいつも話題になっていますが…(笑)。良くも悪くもSNSと相性がいい方だと思っていて、世間から本当に憎まれているわけではないと思うんですよね。黒川所長のアカウントも、炎上まではいかなくとも、SNS上でのユーザーとのコミュニケーションの“ハブ”的な役割になればと考えています」
一方、“自虐CM”にあたり社内では議論も
「『モンスト』に対するいろいろな意見がある中で、どうしても解決できないこともあるんですよね。社内からも『ゲーム内の改善は時間を要する』といった意見が出るなど、議論になりました」
『モンスト』への不満の多くは、「ガチャ引きたいから、オーブもっとくれ」、「ガチャで強いキャラが出ない」といったものだ。またリリースから6年経ち、ユーザー間のレベル差も生じてきているという。こうした現状に対し、岩村氏は「前向きに検討したい」と見解を示す。
「要望や不満を投稿してくださるというのは、ある意味、ユーザーが期待してくれている証拠。今回いただいたご意見に真摯に向き合い、少しでも改善していけるよう、前向きに検討していきます。これからもユーザーの皆さんに、『モンスト』のサプライズが届けられるよう、施策を展開していきたいです」