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サーティワン アイスクリームが “元日” に1年で一番売れる理由
『バラエティパック』+福袋で売上高アップ
好調要因について、三橋さんは2つあると話す。一つ目は、好きなアイスを6個か12個持ち帰ることができる『バラエティパック(VP)』の売れ行きだ。「『VP』は、お正月のだんらんで食べていただくのにふさわしい商品なのだと思う。通常、『VP』の売り上げ金額構成比は年間を通じて15%前後だが、お正月は1日の約半分を占める。またパッケージも、お正月をイメージしたデザインに替わるので、好評いただいているのかなと」(三橋さん)
とくに元日の売り上げが高いのは、郊外店舗だ。2018年の元日、全国第1位の売り上げを誇ったのは、奈良県のイオンモール橿原(かしはら)店。売上高の内訳は『VP』などのアイスが約83万円、福袋は120万円だった。確かに年末年始は故郷に帰省し、家族や親戚と過ごす人が多いため、同社が販売する色とりどりのアイスや詰め合わせの『VP』は、お正月にピッタリな商品なのかもしれない。
バブル崩壊後に売り上げ低迷も、加盟店ファーストで好調に
日本には1974年に上陸。同年4月23日、東京・目黒駅前に一号店がオープンした。それまで日本のアイスクリームと言えば、バニラ・チョコレート・ストロベリーの3種類ほどだったが、31種類(正確には32種類)ものアイスを一挙に並べるサーティワン アイスクリームに、当時の日本人は驚いたという。しかしバブル崩壊とともに売り上げは減少。1998年には売上高がピーク時の半分近くまで落ち込んだ。
さらに本部は、従来の駅前と郊外のロードサイド型店舗を中心とした出店形態に加え、イオンを始めとする大型ショッピングセンター(SC)への出店を強力にアプローチした。その結果、キャンペーンやオペレーションが評価され、近年はSC側から出店を要請されるブランドへと成長。現在では出店数の増加で、売り上げも伸びているという(2018年11月現在で1,160店舗)。
米国本社との“壁“のりこえ、日本人好みのアイスを開発
一方、新商品は米国本社の承認・許可を受けないと販売できないため、いろいろと“壁”もあった。「1980年代に登場した『マスクメロン』は苦労しました。当時の日本での主流のメロンは、プリンスメロンやマスクメロンで、ともに果肉の色は薄い黄緑色でした。一方、米国のメロンと言えば、マスクメロンの一種の『カンタロープ』で、果肉の色は夕張メロンのようなオレンジ色でした。そのため、米国本社から『マスクメロン』を販売するなら、オレンジ色に変更と指示されましたが、日本人になじみのある黄緑色で販売したいと説得し、現在の色になりました」(三橋さん)
ときには米国本社に対し説得しながら、日本人の生活や好みに合う商品開発を進めてきたサーティワン アイスクリーム。元日の売り上げ好調について、三橋さんは「お正月に家族そろって食べたいデザートのひとつになれたのかと思うとうれしい。『サーティワン アイスクリームに行くと、いつも楽しいことがある』と思ってもらえるように、今後も新商品の開発やキャンペーンを展開していきたい」と話している。