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ORICON NEWS
「いまのTVには“江頭”が足りない」破天荒に見えてしっかり“TVサイズ”に収める技量
“休業報道”で垣間見えた、視聴者からの高い「潜在需要」
それだけに、ネットでは「エガちゃんの登場する番組が減るのではないか?」、「エガちゃんが干される?」といった声も聞かれていた。そんな中、江頭がパチンコの営業など複数の仕事を休んだことから、“江頭休業説”が一部ニュースサイトで報じられるようになった。
するとネット上には「もっと番組出て欲しい。江頭さんが出るってだけで、少しでも元気が出るから」、「こういう存在はいて欲しい…何起こすか分からん危うさがない芸人はつまらん」などと、江頭の“続投”を望む声が多く投稿され、その“潜在需要”の高さを伺わせる契機ともなった。
“予定調和”を崩せる稀有な存在 しかし江頭の生かし方はディレクター次第!?
『「ぷっ」すま』では、バク転しようとして、頭から落ちるという命がけの脳天直撃を披露。また、「ギリギリ人間ブリッジ」で両足を広げて、190センチまで股を開脚したほか、本人が「死ぬかと思った」と語る、“塩を大量に摂取する”という荒業を披露。
また、『アメトーーク!』では、特番恒例の別室中継で、「空」「フランスのテレビ」などのムチャぶりモノマネで爆笑をさらい、『めちゃイケ』では、江頭が「一言物申す!」とAKB48を追いかけ回して、秋元才加から蹴りを入れられるという名場面を演出。EXILEのATSUSHIにはヒップアタックを仕掛けるなどまさにやりたい放題。このように、彼の良さを知るディレクターは、特番などの“ここぞ”という場面で起用し、視聴者の記憶に残る名シーンを作ってきたのだ。
「取り扱い注意」は勘違い? TVサイズに笑いを収める“お笑い指数”の高さはトップクラス
その理由として、昨今、江頭のようなトリッキーな芸を披露する番組自体が減少している点があげられる。つまり、テレビマン側が江頭の取り扱いに慣れておらず、視聴者からのクレームやBPOからの注意喚起などを過度に恐れ、スタッフが躊躇しているのかもしれない。
しかし、江頭にそんな心配は全く必要ない。と言うのも、江頭は笑いを“TVサイズ”に落とし込める稀有な存在だからだ。つまり、彼はTVで取り扱えるギリギリの笑いを計算し、その範疇に収める技量も持ち合わせている。
事実、『めちゃイケ』では、ナインティナインや加藤浩次といったレギュラー陣やゲストも含め、笑顔で江頭の芸を楽しむ姿が通例となっていた。自分の限界に挑む芸風ではあるが、決して、“人を傷つける笑い”を好まないのが江頭のアイデンティティであり魅力なのだ。
“萎縮した笑い”ではなく、視聴者が求めているのはギリギリを攻める“江頭成分”
もちろん、ただ過激なことをやれというのではない。江頭は、ネットTVや民放それぞれの“TVサイズ”の中で暴れきっている点がポイントなのだ。規制の強い地上波では、一見“BPOにケンカ売っている”体で笑いを引き出しつつ、実のところTVサイズを考えてハジケられる“匠の技”が江頭にはある。
とは言え、前述した通り、彼の魅力を引き出すにはTVスタッフとのチームワークも重要。それを証明したのが、AbemaTVで放送された香取慎吾、草なぎ剛、稲垣吾郎のレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』の4月1日放送回だ。勝手知ったる『「ぷっ」すま』のケイマックスが制作協力会社として加わっており、彼はここぞとばかりに大暴れ。草なぎと傾斜角度に耐える「スパイダーマン対決」に挑戦したり、「新しい地図に俺を入れろ!」と言い放ったり、それに抗う稲垣の頬を張るなど、ここでも確かな爪痕を残したのだ。
破天荒なキャラだけが強調されがちだが、民放で求められる“笑いの枠”の中でキッチリと結果を残してきた江頭。最近、「休業か?」といった声もチラホラ見かけたが、その心配は必要ない。彼は、その時代の規範に合わせて“笑いを取る”希少な存在。今後も、“江頭成分”を引き出すディレクターの元、多くの名シーンを作り出してくれることを切に願う。