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仮面ライダー主人公の職業がエリート化? 少年の憧れにも影響か
決して偶然ではない!? ライダー主人公の職業が「なりたいもの」に即反映
この『ビルド』の職業が、先のアンケート結果の「学者・博士」の1位にも少なからず影響しているのではないか? 前年2016年のアンケートではベスト5内に6年ぶりに「医者」がランクインしているが、これも『仮面ライダーエグゼイド』の主人公が研修医だったためとの説があるのだ。2014年の『仮面ライダードライブ』の主人公(竹内涼真主演)も、警視庁の特状課巡査から最終的には刑事ドラマでもおなじみの「捜査一課」に配属されてエースになるという、刑事としてはエリート中のエリート。そして、2014年、2015年の同アンケートでは「警察官・刑事」がともに第3位にランクインしている(2015年の『仮面ライダーゴースト』の主人公は“幽霊”だったため、アンケートへの影響の可能性は除外)。近年仮面ライダー主人公の職業はエリート化の兆候にあると言っていい。その職業が子どもの夢に影響を与える可能性は非常に高い。そこで、過去仮面ライダーの職業と、その背景を考えてみよう。
正義の味方もツライよ…過去ライダーは多くが「無職」か「アルバイト」
昭和の時代が終わると、いわゆる「平成ライダーシリーズ」に入り、“イケメン”ライダーの登用やライダーの複数化がはじまるのだが、それでもやはり職業は“お堅い”ものではなかった。『仮面ライダー龍騎』の記者、『仮面ライダーW』の私立探偵という例もあるが、平成ライダーは、無職、アルバイト、家事手伝いの主人公が多く出現するのである。
平成ライダー第1作の『仮面ライダークウガ』の主人公(オダギリジョー主演)は冒険家を名乗る喫茶店アルバイト、第2作の『仮面ライダーアギト』の主人公は心理学者の家に居候するという完全なニート(無職)だった。『仮面ライダーOOO(オーズ)』、『仮面ライダー鎧武』も無職寄りのフリーター、そのほか『仮面ライダーカブト』は親の莫大な遺産があり、無職ではあるが羨ましい設定だった。そのほかにも、クリーニング店のアルバイトの『仮面ライダー555』、変わったところで言うと『仮面ライダーウィザード』は魔法使いだが、職業としては無職。『仮面ライダーフォーゼ』は高校生なので当然収入はない。先述の『クウガ』が劇中で冒険家になるように、物語の中で職業に就くパターンもあるのだが、主人公の職業が物語に大きく影響するようなことは少なかったといえる。
不況ゆえに“職もちライダー”は親世代への印象も良好!?
1971〜1974年ぐらいに産まれたいわゆる団塊ジュニア世代は初期ライダー世代とも言えるが、就職時期にはバブル景気も終焉、“就職氷河期”を体験し、急激に公務員への人気が高まったのもこのころだ。晩婚化も進む中、一緒に仮面ライダーを見る自分の子どもたちの将来を考えれば、仮面ライダーの職業も、まともで堅実な仕事であってほしいと思うのが親心だろう。今どき仮面ライダーだけでは食っていけないし、悪を倒した後はどうするのか? あくまでもライダーは“仮の姿”であるという設定のほうが、たしかにリアリティがある。さらにイケメン俳優の登竜門ともなれば、お母さんたちへのアプローチとしても有効。世の女性たちにしてみれば、無職よりも定職を持った甲斐性のある男性のほうがいいに決まっているだろうし、それがイケメンであれば完璧だ。「平成ライダーシリーズ」のシナリオはかなり緻密に計算され、戦略的な演出のもとに主人公の職業も設定されていると言えば、うがちすぎだろうか。
さらなるエリート化で考えられる職業は…政治家や社長、スポーツ選手か
エリート化の“極致”で考えるなら、政治家、総理大臣もありそうだが、国会はバトルとの相性は悪そうだ。しかしながら若手の実力派政治家が「日本を変える」ではなく、「悪の組織を内部から変える」というのはなかなかロマンがある。堅実化路線なら現実世界ですでに子供たちのヒーローである消防署員や救急隊員は十分に考えられる。乗り物=ライダーとの親和性も高く、おもちゃもストーリーも作りやすいだろう。究極は自衛隊員か。武器も乗り物も豊富のうえ、『仮面ライダードライブ』の車モチーフがアリならば、ライダー専用戦闘機というのもありえそうだ。最近は自衛隊もマスコミに対し非常に協力的だし、「悪の組織から日本を守る」という設定もしっくりくる。これは意外と本命ではないか。
また高収入である一流スポーツ選手ならば、サッカーなら映画『少林寺サッカー』ばりの必殺キックも考えられるし、近年のライダー複数化においてもチームプレーで悪を倒してくれそうだ。野球選手ならボール&バットは男児にもなじみ深いアイテムであり、劇中では“飛び道具”にもなりえる。人気のフィギュアスケートなら「必殺!トリプルアクセルキック」や「4回転キック」と、“回転”は必殺技である“ライダーキック”との相性もバッチリだ。そのほか今や大人気のYouTuberなら、ライダーをやりながらしっかりと自分の戦闘シーンの動画で稼ぐとか、デイトレーダーによる仮想通貨ライダー、IT社長ライダーも今どきの設定…かもしれない。そしてまさかの初女性主人公のキャリアウーマンライダーも!? そんな妄想を膨らませつつ、秋に交代となる次の仮面ライダーの“職業”にも注目してみたい。