昨年12月6日に亡くなった歌手で俳優の中山美穂さん(享年54)のお別れ会が22日、都内でしめやかに営まれた。歌手で俳優の小泉今日子(59)が、お別れの言葉を送った。 アイドル全盛時代の立役者だった中山さんと小泉。お別れの言葉で小泉は「初めて会ったのはテレビ局の控え室。狭い部屋を2人で使うことになったんだよね。人見知りのあなたは、上手にほほえむことさえできなかった。その時あなたはまだ16歳。右も左もわからない新しい世界に飛び込んでしまって怯えている子猫のようでした」と第一印象を語った。ただ、瞳には強い意志が宿っていたという。「その瞳を見た瞬間、この子とは仲良くなれそうだと思ったのでした」と語った。 直感通りに友だちとなった2人。お酒を飲んだり、旅行に行ったり「楽しい青春の時間をたくさん過ごしました」と懐かしんだ。ただ、多忙なことや、それぞれの人生があり、会う機会は減ってしまったという。「きっとどこかで必ず会えるでしょうと思っていました。会ったら話したいこともたくさんありました。今この祭壇の前で、あなたへのお別れを述べることになるのは想定外でした。お集まりの皆様も同じ気持ちだと思います。そして何より、ファンの皆様にとっても大きな喪失感の中でつらい日々をお過ごしのことと思います」とする。それでも「ファンの皆さんが毎日のようにあなたの歌う姿、あなたが演じてる世界、ため息が出るほど美しいあなたの写真などをSNSに投稿してくれてますよ。初めて見るものもたくさんあって、今さらながら歌手、俳優としての美穂の素晴らしさを目の当たりにしています。ファンの人たちの前で歌っている美穂は一番きれいで、一番素顔でいます。愛され、愛し。シンプルなことだけでもとても難しい関係をきちんと築いていたのだなと思います」と推察すると「美穂のその心の恋人たちが来るそうです。両手を伸ばしてちゃんと抱きしめてあげてくださいね」と話した。 そして「天国で出会った方たちのために美穂の取り扱い注意を箇条書きで記します」とする。「ものすごく楽しそうにはしゃいでいる時は、心の中に大きな問題を抱えている可能性があります。寄り添って目を離さないでください」、「機嫌が悪そうに見える時には、おいしい食べ物やお酒を与えると簡単にご機嫌になります」、「自分の気持ちを言葉にするのは苦手です。その上、限界まで我慢してしまうことがあります。そんな時は抱きしめてあげてください」、「根が優しいので、すぐに人を信用してしまい、だまされたり、利用されたりすることがあります。守ってあげてください」、「根が素直なのでよく泣きます。ポロポロ大粒の涙を流します。常にハンカチのご用意を」と小泉だから知る中山さんの一面を明かした。そして、「本日、このような場を用意してくださった関係者の皆様に感謝いたします。そして、最愛のお姉様を突然失い大きな失意の中で気丈に振る舞う中山忍さん、本当に立派でした。頼もしい妹に美穂は感謝していると思います。気を落とさずに、これからもますます俳優として人生を輝かせてください。美穂もそれを望んでいると思います」と妹の中山忍さんを気遣った。 気丈に話していた小泉だったが「いよいよ私もある言葉をあなたに言わなければなりません」と涙声に。別れを惜しむよう、心の整理をつけるように間を取った後に「美穂、さようなら。美穂、よく頑張ったね。美穂、元気でね。美穂、そのうち行くから待っててね」と声を震わせながら中山さんへ別れの言葉を紡いでいた。 中山さんは1970年3月1日生まれ、東京都出身。85年にシングル「C」で歌手デビュー。同年のドラマ『毎度おさわがせします』で注目を集めた。「世界中の誰よりきっと」(中山美穂&WANDS)や、「ただ泣きたくなるの」などもヒット。映画では『Love Letter』でブルーリボン賞主演女優賞、『東京日和』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞。
2025/04/22