東京・三鷹の森ジブリ美術館で昨年から開催している企画展示「君たちはどう生きるか」展は、11月23日より制作過程で描かれた手描きの背景美術に焦点を当てた第三部背景美術編がスタートする。 長編アニメーション『君たちはどう生きるか』(2023年)のために描かれた手描きの絵を3回に分けて展示する企画展示のラスト回。近年、背景美術においてもデジタルツールが広く活用されるようになり、複製や加工、修正が容易になった。しかし、手描きで紙に絵具で描く絵は、2度同じ絵を完全に再現するのは至難の業。さらに、鉛筆で描いた絵は消しゴムで修正できるが、一度塗られた地塗りを後から消すことは容易にはできない。こうしたことを考えると、アニメーションの工程の中でも背景美術の唯一無二性がいかに高いかに気づかされる。