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「安易に受けないで」流行の“クマ取り”整形で失敗…当事者明かす5年間の苦悩と悪徳クリニックの実態

 今年7月、“クマ取り”美容整形の失敗と修正手術を公表した動画に1200万再生の反響があり、賛否、様々な声が寄せられている。投稿したのは、家族系YouTubeアカウント『むに男ファミリー』の“むにママ”、墨絵アーティストとしても活動するYoshimiさんだ。投稿は迷った末の決断だったと言う。誹謗中傷に不安を抱きながらも、あまりにも多い『クマ取り広告』に危機感を持ち、消費者に「安易な気持ちで受けないでほしい」と注意喚起したい一心で公開に踏み切った。改めて自身の身に起きたトラブルと悪徳美容クリニックの見分け方、公開後の今の思いを聞いた。

「クマ取り」整形の失敗と、修正手術を公表したYoshimiさん。(画像/本人提供)

「クマ取り」整形の失敗と、修正手術を公表したYoshimiさん。(画像/本人提供)

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■“クマ取り”整形後に気づいた違和感、目の下の“しこり”の正体は…

 “クマ取り”は、近年、人気の美容整形のひとつだ。大きく顔貌を変える二重や鼻整形と異なり、本来の顔立ちを保ったまま、若返りや美人度向上が叶うとあって、施術を公表するモデルやインフルエンサーも少なくない。そんな流れに乗り、クマ取りを行ったYoshimiさんは、その後、5年間以上、目の下の“しこり”に悩まされ、今年、修正手術を決意。その経緯を「クマ取り美容整形の失敗と修正」として公表した。

――「クマ取り美容整形」の失敗と修正を公表した投稿が大きな反響を呼びました。とにかく、最初の投稿はあまりにも痛々しい衝撃的な顔貌でしたが、現在の状態はいかがですか。

「クマ取り整形後にできた目の下のしこりを取る手術をしてから1ヵ月ちょっとしか経っていませんが、今はもうほとんど腫れもなくてとても良好です。片方の目の下からは500円玉サイズのスーパーボールのようなしこりが出てきました。術後直後は、目が大きく腫れあがってほとんど開かず、青あざもあったので、多くの心配の声をいただきましたが、手術をしてくださった先生がすごく丁寧な方で、術後1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、半年後まで診てくださることになっていて。その間にも、何かあればすぐに相談できるようにとメールアドレスもいただいているので、安心して過ごせています」

――改めて、クマ取りによってしこりができるまでの経緯をうかがえますか。

「クマ取り整形をしたのは、6年ほど前です。今回行った修正手術とは別のクリニックで受けたのですが、カウンセリングの際、『あなたの場合は、クマ取りをした後、クマのあった部分が凹んで段差ができてしまうので、脂肪を注入して平らにしないとキレイにならない』と先生に言われたことが始まりでした。後に修正手術をしていただいた先生の話によると、脂肪を大量に入れると、その脂肪に栄養がいかずに固まってしこりになってしまうそうです」

――クマの部分に脂肪を入れすぎてしまった、と。しこりはクマ取り施術後、いつ頃から?

「施術後すぐに片目に違和感がありましたが、1ヵ月くらいしたら馴染んで消えていくと先生から言われていました。その通り、一時期は、夫にも『やって良かったね』と言われる状態になったのですが、その後、妊娠、出産を経て、さらに、歳とともに顔が痩せていくにしたがって、しこりが気になり始めて。とくに、最近は、YouTubeやInstagramを始めていたので、動画を編集している際に、笑った時、目の下のしこりが表情についていっていないことを実感して、嫌で嫌でたまりませんでした」

――そんな状態に5年間以上、悩まされ続けた。

「他人からしたら、気にならないくらいのしこりではありましたけど、触ると目の下にまるで骨が増えたみたいな感じで軟骨みたいなものができていて。何より、もともとなかったものに悩まされている状態がすごく嫌で、何の疑問も持たずに安易に脂肪注入をしてしまった自分への自己嫌悪も加わって、ずっと地味にストレスがかかっている状態でした。しかも、しこりは大きくなったりはしないのですが、私の場合は下にずれたりしたので、このままどんどん下がっていったらどうしようという怖さもあって、すごく悩むようになって、修正手術を決めました」

――修正手術はクマ取り手術とは別のクリニックで受けられました。それはなぜですか?

「同じような悩みを抱えている方の口コミで、再手術で脂肪溶解注射をされて余計酷くなったとか、変わらなかったという声をいっぱい見て、同じような失敗はされたくないと思ったからです。クマ取り整形を受けたクリニックには、その時点で不信感しかありませんでしたから。とにかく、徹底的にクマ取りとしこりについて調べまくって、評判の良い先生をピックアップして、その先生の手術数や症例を調べて、先生が書いた論文も読みました。クマを取るよりもしこりを取る方が100倍難しいということで、費用は“クマ取り整形”の約2倍かかりましたが、良い先生に巡り会えてよかったと思っています」

■カウンセリングで抱いた疑問、口コミと異なる料金も「これは当日限りの金額」

家族系YouTubeアカウント『むに男ファミリー』の“むにママ”として知られるYoshimiさん。(画像/本人提供)

家族系YouTubeアカウント『むに男ファミリー』の“むにママ”として知られるYoshimiさん。(画像/本人提供)

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――動画では、「クマ取り整形の失敗」について、「自業自得」と自戒されていました。今、振り返り、失敗の一番の原因はなんだったと思われますか。

「安易にクリニックを選んでしまったことだと思っています。クマ取りを決意したのは、大好きなモデルさんのYouTubeでクマ取りをしたことをPRされていて、手術中の動画とともにアフター動画もアップされて、こんなにキレイになるんだったら私も受けたいと思ったことがきっかけでした。で、そのモデルさんの口コミだけを信じて、そのクリニックや先生のことをよく調べもせずに受診してしまったんです。カウンセリングでも疑問に思ったことがあったのに、モデルさんがキレイになったのだから大丈夫だろうと、その日に手術を受けることを決めてしまったことも後悔しています」

――カウンセリングで抱いた疑問とは…

「脂肪注入の話をされたとき、モデルさんが動画で紹介していた金額と大きく違うので驚いてしまって、『ちょっと考えます』と告げたら、『これは当日限りの金額なので、次回になるともっと金額が上がります』と、さらに『今日帰ったら、カウンセリング代3万円いただきます』と言われました。しかも、そのカウンセリング時間はわずか5分でした。今回、しこりを取る修正手術を受けたクリニックは、たっぷり時間をかけて、手術や費用について説明してくださり、メリットだけでなくデメリットもちゃんと伝えていただけたうえで、『見積もりを持って帰って、家族としっかり話をして、十分時間をかけて納得したら来てください』と言われました。その経験からも、私が受けたクマ取り後の脂肪注入は、患者のためではなく、医師が自分の技術をごまかすためか、クリニックの売上を上げるためのどちらかではなかったかと疑念を抱いています」

――そのような体験を通して、どんなクリニックに注意してほしいと思われますか?

「まず、誇大広告には十分気をつけてほしいと思います。また、インフルエンサーさんは相当なお金をもらって宣伝をしているので、それだけで判断しないでほしいです。そしてもうひとつ、カウンセリング当日に手術を勧めてくるクリニックにも注意してほしいです。切開を伴う手術をその日にやってしまうクリニックは患者さんのことを考えていないと思います。それに気づかずに、せっかく有休を使って来たのだからと、忙しさを理由に焦って当日手術を受けてしまった自分を反省しています」

■「こんなお化けみたいな顔を出すのは嫌だった。でも…この顔をしっかり見て欲しい」

――配信にあたり、修正後すぐの姿は大きな反響を呼びました。なぜ、ダウンタイム中の衝撃的な姿を公開されたのでしょうか。

「デジタルタトゥーとして残ってしまう今の時代に、こんなお化けみたいな顔を出すのは本当は嫌でした。でも、これまで、ママ系クリエイターとして、フォロワーの皆さまに“正直でいること”を最優先にしてきた私が、裏でこっそり美容整形&修正手術しているなんて、それこそ“嘘”をついているようで…。いつも応援してくださる皆さまに嘘をつきたくなかったこと、そして、修正手術を受けた際、このような事例が多いという話を先生から聞いた事も公開の後押しになりました」

――ドクターからどのような話を…

「今、クマ取りはもちろん、豊胸などしこりの被害がすごく多くて、しかも若年化しているとのことでした。今はクマ取りが2万円でできてしまうクリニックもあるし、若年層が気軽に受けて、私と同じように辛い思いをすることは耐えられなかった。そのためには、“誰かが言わないと”と。最初にTikTokで公開したのもまず若い子に伝えたかったからでした。いろいろ言われることはわかっていましたけど、私と同じような目に遭わないためにも、『この顔をしっかり見てほしい』という気持ちでした」

――動画には、さまざまな意見が寄せられました。

「『再生稼ぎのために出したのだろう』などのアンチコメントも来ました。一方で『勇気を出してアップしてくれてありがとう』という言葉もたくさんいただきました。何より嬉しかったのは、『娘と一緒に親子で整形について考えるきっかけになった』という声をいただいたことでした」

――美容整形については今、どのように考えられていますか?

「美容整形は否定しません。化粧品メーカーに13年間勤めてきた経験から、スキンケアやメイクでは限界があるということが実体験としてわかっていますから。ただ、やはり整形を受ける際はしっかり調べてほしいと思います。私自身、施術を受ける前、クマ取りには、いろいろな種類があることすら知らなくて、大いに反省しています。どの方法がリスクが少ないか、上手な先生は誰なのか、自分でしっかり調べて、決めてほしいと思います」

――最後に、今、クマ取りを考える人たちに最も伝えたいことをお聞かせください。

「修正手術を受けた先生は、私の話を聞いて『またか』という反応を示されました。私のように、クマ取り整形後に、脂肪やアクアフィリングなどを注入されて、それがしこりになって悩まれて先生のところを訪れる患者さんはすごく多いそうです。美容整形はコンプレックスの解消に有効な手段のひとつです。ただ、決して安易な気持ちやリサーチ不足のまま受けないでほしい。美容整形に失敗しないためには、消費者が賢くならなければいけません。悪質なクリニックに騙される人が一人でも減って、みんなが自分の望むキレイを正しいクリニックで手に入れられるようになることが、SNSで公開した私の一番の願いです」

(取材・文/河上いつ子)

関連写真

  • 「クマ取り」整形の失敗と、修正手術を公表したYoshimiさん。(画像/本人提供)
  • 家族系YouTubeアカウント『むに男ファミリー』の“むにママ”として知られるYoshimiさん。(画像/本人提供)
  • 「クマ取り」整形後、左目の下に出現した「しこり」。軟骨のように固く、年々、下に下がってきている感覚があったという。(画像/本人提供)
  • 右目の「しこり」。除去した「しこり」は500円玉サイズの塊だったという。「しこり除去」の手術は、「クマ取り」整形の2倍の金額がかかり、術後は壮絶なダウンタイムがあった。術後直後の写真は次へ…(画像/本人提供)
  • 「しこり」除去、直後の写真。目は腫れあがり、ほとんど開かない状態だったという。そして2週間後…(画像提供@m_u_n_i_o)
  • 「しこり」除去手術から2週間後の姿。アザはあるものの、腫れはだいぶ引いてきた。(画像提供@m_u_n_i_o)
  • 「しこり」除去手術から1ヵ月後の姿。(画像提供@m_u_n_i_o)

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