東京・新宿歌舞伎町のホストクラブで働くうみさんが、TikTokで投稿した動画「生後赤ちゃんがいるホストの1日」が198万回再生と話題になった。世間一般的なホストのイメージから妻子の存在を公表するのはタブーと捉えられそうだが、周囲の理解を経て公表にいたった。家事と子育ての様子を投稿する彼に、公表に至った経緯や日々の生活について聞いた。

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◆SNSでさらされた妻子がきっかけに…公表するタイミングを悩んでいたから逆によかった

――ホストになった経緯を教えてください。

【うみさん】　地元でやっていた事業が上手くいかなくなり、最終的に約1500万円の借金ができました。普通に働いてもすぐには返済できない金額だったので、歌舞伎町でホストを始めました。

――「ホストは独身だけと思ってた〜ご家族も大変ですね。育児家事素晴らしい」といコメントもありますが、ホストという職業柄、子育ての様子をSNSで投稿するのは、世間一般的なイメージではタブーと捉えられそうです。妻子との生活を、どのような経緯で公表したのでしょうか？

【うみさん】　家に来たことのあるお客さまに、妻帯者であり、子どもを授かったことがわかる動画を、SNSで晒されました。その出来事がきっかけになり、SNSで公表をすることにしました。ただ、私自身は妻子がいることを、今後も隠し通していく自信はありませんでした。連絡を取っていたお客さまには伝えていたこともあり、SNSでも公表しようか悩んでいた時期だったので、逆にタイミングがよかったなと思っています。

――公表に至るまで、気持ちの上での葛藤がありました？

【うみさん】　もちろんありました。妻子持ちを公表しているホストがいなかったので、ロールモデルとなる人もいない中での新しい挑戦でした。「指名のお客さまを増やし売上を作っていけるのか」という不安もあったので真剣に悩みました。

　指名のお客様を増やし売上作るために、営業時間外の活動もあります。子育てには休みがないので、自由に動ける時間がないことをわかっていたので、子どもが産まれてから約半年間、ホストを休業していました。その間にお客さまもほとんどいなくなってしまいました。いちから地道にお客さまを増やすのは難しく、時間もかかってしまうと感じていたため、公表して知名度を上げ、その可能性に賭けることにしました。

◆覚悟の上での投稿に賛否の声も「ホストのイメージを少しでも払拭したい」

――職場の方や周囲の方の反応はいかがでしたか？

【うみさん】　前例がないので、「公表をしない方が良いのでは」という意見もありました。ですが、私の挑戦してみたいという意思を尊重し、最終的には快諾してくれました。

――「ホストの概念変わる」「優しいパパさん」「なかなかこんな人いないすごい！料理もしてくれて面倒も見てくれる旦那様！安心感しかない」などと、好意的なコメントが多いです。SNSのコメントを見て、どのように感じましたか？

【うみさん】　とても励みになりました。そしてとても意外でした。公表してSNSを始めた時は、アンチコメントがたくさん投稿されるだろうと覚悟していたので、たくさんの応援のコメントを見てモチベーションが上げたり、パワーを貰っています。

――うみさんの場合は、奥様が朝から仕事をされているため、日中はワンオペ育児をされていらっしゃいます。同じように、結婚・育児・家事を両立し、頑張っているホストの方は、意外といるのでしょうか？

【うみさん】　私の周りでは聞いたことがありませんでした。ですが、SNSで寄せられるコメントやメッセージを見て、私と同じような方が思っていたほど少なくないことを知りました。ただ、私ほど育児や家事を頑張っている人は、ほとんどいない印象です（笑）。

――うみさんの子育ての様子を見て、“ホスト”のイメージが変わる方もいると思います。SNSの子育て動画を通して、どのようなことを伝えたいですか？

【うみさん】　世の中には、いろいろな人がいるように、ホストも同じです。良い人もいるのに、悪い人が目立ってしまい、「ホストはだらしない」というイメージがついてしまっている。悪いイメージを少しでも払拭できたら良いなと思っています。