ソロ活動の発表からおよそ1年、待望の1stアルバム『ZOO』を発表した北山宏光。9月からはアルバムを引っ提げたツアー「HIROMITSU KITAYAMA 『ZOO』」がスタートする。アルバム制作の裏側、ライブでの歌唱が話題を集めた『FORM』への想い、ツアーの構想、ソロ活動の現在地を聞いた。
■アルバムのコンセプトは「とらわれないこと」
アルバムの仕上がりについて、「いろんな表情があるアルバムになった」と手応えを感じる北山。タイトルに込めた想いを、「ライブでもやりたいことが多いし、いろんな要素が混ざって、何が入ってもいいような枠として捉えて、動物園と比喩しました」と口にする。
軸となったのは、「ひとつのことにとらわれすぎない」こと。その意図を「おもしろいと思う音楽や言葉は制作期間中、微妙に変化するんです。こだわりを持ってやるのは大事だけど、そこには柔軟性も共存している。こだわりがあるようでない…ということを大切にしました。自分らしさを模索しながら作りましたね」と説明する。
柔軟な発想と姿勢で制作されたアルバムだが、全曲通して聴くとひとつの世界が浮かび上がってくる。北山自身も、「ほぼ全部に僕の手が入っているので、それが縦軸になっているかもしれないですね」とうなずく。
■多彩なアーティストと制作した楽曲には“エモい”エピソードが満載
アルバム制作の中でコラボしている、今市隆二(三代目 J SOUL BROTHERS)、藤家和依、XIIXら多くのアーティストとは、どういった経緯で楽曲制作することになったのだろうか。
「共通の友だちがたくさんいた」という今市とは、「8、9年前に初めて出会ったけど、仕事の話はあまりしなかった」という。「僕が自分でいろいろ判断していかなきゃいけない状況になったのが、今市くんも同じような時期だったんです。自然な流れで一緒にやろうという話になりましたね」。
XIIXは、「JOKER」「赤い夜に」に続く楽曲提供だ。北山は、同バンドの斎藤宏介とは少し不思議な出会いだったと明かす。「卓球やろうと誘われて行った先に斎藤くんがいたんです。斎藤くんは卓球が好きなんですよ(笑)。同年代だし“いつか一緒にやりたいね”みたいな話をしました」。その後、斎藤のデモ曲を聴く機会があったという北山。「その楽曲をずっといいなと思い続けていたんです。それが今回入っている『in the Moonlight』。アルバムを作るとなった時に、すぐに斎藤くんに“あの曲どうかな?”と聞きました」。
そんな斎藤との制作は独特の手法。「斎藤くんからの歌詞が1コーラス来たら、2コーラス目を俺が書く。歌詞の意味や世界観をあえて擦り合わせず、違うベクトルで書く。『JOKER』と『in the Moonlight』は感性を引っ張り引っ張られ…みたいな感覚で作りました。それがおもしろい。最終的に、お互いを褒め合いながら完成しました(笑)」。
そしてこの世界に入るきっかけとなったオーディションが同じだったという藤家とのコラボは、「同じ景色を見てきたので、曲を作るときに共感性があった。お互いのキャッチが速い」と旧友との感覚の近さを明かしつつも、2人で制作した「COMIC」については「2人でかなりの時間をかけました。2人で“この曲を生み出すのは、とても難産だったね”って話をしました(笑)。16歳からの仲間と38歳の今、また仕事ができる、お互いエンタメを続けていて良かったなって思いますね。初心に戻れる感じ」とほほ笑んだ。
■自身のルーツと語る「FORM」 ファンへの感謝も
また、本アルバムの通常盤には、6月に東京・有明アリーナで開催した単独コンサート『RANSHIN』で歌唱して話題となった、「FORM」がボーナストラックとして収録されている。初めて自身が作詞・作曲を手がけた楽曲を、セットリストやアルバムになぜ収録したのだろうか。
「僕以上に、(ファンの)みんなが大事にしてくれていたんじゃないかな。僕も知らないところで曲が育っていたような感覚。ファンの方が喜んでくれることは何だろうって考えた時に、この曲が浮かびましたね。当時の歌詞を見返すと『俺、青いな(笑)』と思うけど、『それも俺だよな』『これはこれでひとつの正解なんだ』と思って歌っています」と照れ笑い。
「この曲を作った21歳の自分の考え方は当然今と違う部分もあるし、でも自分のルーツの部分でもある大事な曲。『ZOO』の本編ではなく、ボーナストラックに置いたのも自分の中では意味のあることですね」。
■変化した活動への想いと姿勢
ソロ活動の発表から一年、活動に対する責任や重みに変化はあったか聞くと、北山は「制作はみんなと相談しながら進めるんですけど、自分で決める部分が大きくなった。それが大きく変わったこと」と告白。「制作の時間がかなり増えたし、ゼロからイチを作る作業がものすごく増えた。大変も楽しさも両方感じていて、やりがいがありました」と振り返る。
ソロ活動に関しては、「まだ一年。“種まき”の段階です。目をつぶって開いたら一年経っていた感じがする。大変だなと思うこともあるけど、見てくれる人がおもしろいと思ってくれることが大事だから、体力どうのこうのは二の次ですね」と言葉に充実感をにじませる。
事務所はファミリー感も魅力だが、「みんな平均的に仲が良い」と話す。「後輩のIMP.とは一緒に飯食べに行ったりとか飲み行ったりとかするし、(Number_iの)岸(優太)ともご飯行こうって話している。けど、(三宅)健君はまだ自分から誘えてないですね(笑)」。
「そういえば、健君から『今カフェにいる?』って連絡が来たことがありました。同じカフェにいると思ったみたいだけど、違う人だったみたいで(笑)。でもそんな連絡をくれたことがうれしかったですね」と笑顔を見せた。
■30代ラストイヤー突入「やり残したことはめっちゃある(笑)」
常に挑戦し続けている北山。今後チャレンジしてみたいことを聞くと、「アウェーなところでマンパワーだけでぶつかっていきたい。たくさんのカードを持ってフェスにも行ってみたい」と目を光らせる。
チャレンジへの不安はないか確認すると、「ワクワク先行で動き出して現実を知って不安になることはよくあります(笑)。でもそれぐらいの勢いというか。せっかくこういう仕事しているんだから楽しくしないとね。周りから見たら“北山、また何かと戦ってるな”となるかもしれないけど、それは昔からずっと言われていたし、スタイルは変わっていない」と芯の強さを見せる。
戦い続ける原動力については「おもしろいか、おもしろくないか」ときっぱり。「動いていないと水も腐る。僕は動く方を選択する」と挑戦こそ、自身の活動の源と断言する。
そんな北山も今年で39歳となる。30代でやり残したことはないかを聞くと「走り続けて気づいたら30後半になっていたから、やり残したことはめっちゃあるんじゃないかな。でも思った以上に毎日生きるのに必死で、気付いていない(笑)。だから“あれやりたい”“これやりたい”を、たぶん死ぬまでやっていると思います」。
それだけ活動が充実していることかと水を向けると、北山は「そうですね。あれやらなきゃこれやらなきゃと、いつも追っかけられている。動いてるってことなのかな」と笑顔で応じた。
取材・文:遠藤政樹
撮影:筒井翼
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
■アルバムのコンセプトは「とらわれないこと」
アルバムの仕上がりについて、「いろんな表情があるアルバムになった」と手応えを感じる北山。タイトルに込めた想いを、「ライブでもやりたいことが多いし、いろんな要素が混ざって、何が入ってもいいような枠として捉えて、動物園と比喩しました」と口にする。
軸となったのは、「ひとつのことにとらわれすぎない」こと。その意図を「おもしろいと思う音楽や言葉は制作期間中、微妙に変化するんです。こだわりを持ってやるのは大事だけど、そこには柔軟性も共存している。こだわりがあるようでない…ということを大切にしました。自分らしさを模索しながら作りましたね」と説明する。
柔軟な発想と姿勢で制作されたアルバムだが、全曲通して聴くとひとつの世界が浮かび上がってくる。北山自身も、「ほぼ全部に僕の手が入っているので、それが縦軸になっているかもしれないですね」とうなずく。
■多彩なアーティストと制作した楽曲には“エモい”エピソードが満載
アルバム制作の中でコラボしている、今市隆二(三代目 J SOUL BROTHERS)、藤家和依、XIIXら多くのアーティストとは、どういった経緯で楽曲制作することになったのだろうか。
「共通の友だちがたくさんいた」という今市とは、「8、9年前に初めて出会ったけど、仕事の話はあまりしなかった」という。「僕が自分でいろいろ判断していかなきゃいけない状況になったのが、今市くんも同じような時期だったんです。自然な流れで一緒にやろうという話になりましたね」。
XIIXは、「JOKER」「赤い夜に」に続く楽曲提供だ。北山は、同バンドの斎藤宏介とは少し不思議な出会いだったと明かす。「卓球やろうと誘われて行った先に斎藤くんがいたんです。斎藤くんは卓球が好きなんですよ(笑)。同年代だし“いつか一緒にやりたいね”みたいな話をしました」。その後、斎藤のデモ曲を聴く機会があったという北山。「その楽曲をずっといいなと思い続けていたんです。それが今回入っている『in the Moonlight』。アルバムを作るとなった時に、すぐに斎藤くんに“あの曲どうかな?”と聞きました」。
そんな斎藤との制作は独特の手法。「斎藤くんからの歌詞が1コーラス来たら、2コーラス目を俺が書く。歌詞の意味や世界観をあえて擦り合わせず、違うベクトルで書く。『JOKER』と『in the Moonlight』は感性を引っ張り引っ張られ…みたいな感覚で作りました。それがおもしろい。最終的に、お互いを褒め合いながら完成しました(笑)」。
そしてこの世界に入るきっかけとなったオーディションが同じだったという藤家とのコラボは、「同じ景色を見てきたので、曲を作るときに共感性があった。お互いのキャッチが速い」と旧友との感覚の近さを明かしつつも、2人で制作した「COMIC」については「2人でかなりの時間をかけました。2人で“この曲を生み出すのは、とても難産だったね”って話をしました(笑)。16歳からの仲間と38歳の今、また仕事ができる、お互いエンタメを続けていて良かったなって思いますね。初心に戻れる感じ」とほほ笑んだ。
■自身のルーツと語る「FORM」 ファンへの感謝も
また、本アルバムの通常盤には、6月に東京・有明アリーナで開催した単独コンサート『RANSHIN』で歌唱して話題となった、「FORM」がボーナストラックとして収録されている。初めて自身が作詞・作曲を手がけた楽曲を、セットリストやアルバムになぜ収録したのだろうか。
「僕以上に、(ファンの)みんなが大事にしてくれていたんじゃないかな。僕も知らないところで曲が育っていたような感覚。ファンの方が喜んでくれることは何だろうって考えた時に、この曲が浮かびましたね。当時の歌詞を見返すと『俺、青いな(笑)』と思うけど、『それも俺だよな』『これはこれでひとつの正解なんだ』と思って歌っています」と照れ笑い。
「この曲を作った21歳の自分の考え方は当然今と違う部分もあるし、でも自分のルーツの部分でもある大事な曲。『ZOO』の本編ではなく、ボーナストラックに置いたのも自分の中では意味のあることですね」。
■変化した活動への想いと姿勢
ソロ活動の発表から一年、活動に対する責任や重みに変化はあったか聞くと、北山は「制作はみんなと相談しながら進めるんですけど、自分で決める部分が大きくなった。それが大きく変わったこと」と告白。「制作の時間がかなり増えたし、ゼロからイチを作る作業がものすごく増えた。大変も楽しさも両方感じていて、やりがいがありました」と振り返る。
ソロ活動に関しては、「まだ一年。“種まき”の段階です。目をつぶって開いたら一年経っていた感じがする。大変だなと思うこともあるけど、見てくれる人がおもしろいと思ってくれることが大事だから、体力どうのこうのは二の次ですね」と言葉に充実感をにじませる。
事務所はファミリー感も魅力だが、「みんな平均的に仲が良い」と話す。「後輩のIMP.とは一緒に飯食べに行ったりとか飲み行ったりとかするし、(Number_iの)岸(優太)ともご飯行こうって話している。けど、(三宅)健君はまだ自分から誘えてないですね(笑)」。
「そういえば、健君から『今カフェにいる?』って連絡が来たことがありました。同じカフェにいると思ったみたいだけど、違う人だったみたいで(笑)。でもそんな連絡をくれたことがうれしかったですね」と笑顔を見せた。
■30代ラストイヤー突入「やり残したことはめっちゃある(笑)」
常に挑戦し続けている北山。今後チャレンジしてみたいことを聞くと、「アウェーなところでマンパワーだけでぶつかっていきたい。たくさんのカードを持ってフェスにも行ってみたい」と目を光らせる。
チャレンジへの不安はないか確認すると、「ワクワク先行で動き出して現実を知って不安になることはよくあります(笑)。でもそれぐらいの勢いというか。せっかくこういう仕事しているんだから楽しくしないとね。周りから見たら“北山、また何かと戦ってるな”となるかもしれないけど、それは昔からずっと言われていたし、スタイルは変わっていない」と芯の強さを見せる。
戦い続ける原動力については「おもしろいか、おもしろくないか」ときっぱり。「動いていないと水も腐る。僕は動く方を選択する」と挑戦こそ、自身の活動の源と断言する。
そんな北山も今年で39歳となる。30代でやり残したことはないかを聞くと「走り続けて気づいたら30後半になっていたから、やり残したことはめっちゃあるんじゃないかな。でも思った以上に毎日生きるのに必死で、気付いていない(笑)。だから“あれやりたい”“これやりたい”を、たぶん死ぬまでやっていると思います」。
それだけ活動が充実していることかと水を向けると、北山は「そうですね。あれやらなきゃこれやらなきゃと、いつも追っかけられている。動いてるってことなのかな」と笑顔で応じた。
取材・文:遠藤政樹
撮影:筒井翼
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2024/08/25