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脚本家・源孝志氏、向田邦子賞に万感「人生の中で重要な意味がある」 祝福に駆けつけた広末涼子からは“謝罪”も

 優れた脚本作家に贈られる向田邦子賞の第42回贈賞式が25日、東京・帝国ホテルで行われた。第42回の受賞者は4月23日に行われた選考会で、源孝志氏に決定。受賞作は、NHK BSプレミアムで2023年3月19日〜5月7日に放送された『グレースの履歴』となった。

向田邦子賞の第42回贈賞式の模様

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 贈賞式では、源氏が受賞の喜びを語ったほか、大森寿美男選考委員より選考経過の説明、井上由美子選考委員より賞状の授与が行われ、東京ニュース通信社の奥山卓社長からは、本賞の特製万年筆と副賞の賞金が贈呈された。また、受賞作『グレースの履歴』で主役を務めた滝藤賢一が祝福のスピーチを贈ったほか、ドラマに出演した柄本佑ら豪華ドラマキャスト陣が集結し、受賞を称えた。

■源孝志氏 受賞スピーチ

向田邦子賞の第42回贈賞式の模様

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向田邦子賞をいただけると聞いた時は「やっと見つけていただけました」という感じでした。いつも一生懸命脚本を書いているつもりだったんですけども、どうしても脚本・監督という面で見られると、「最終的には監督のイメージの方が強いのかな、もう(賞を)いただけないのかな」と思っていました。

脚本を評価していただきまして、うれしいのは、僕が憧れていたTVドラマの脚本家の目標でもあった向田先生の名前がついた賞をいただけたということ、もう一つは現役で第一線で活躍されている一流の脚本家の方々に選んでいただいたということ、そして、オリジナルの脚本に与えられる賞だということ、3つの意味でこの賞をいただけたということは、僕の作り手としての人生の中で重要な意味があるものだと思っております。

脚本家は物語を作るのが主。監督はそれを基に世界を作っていく。役者とスタッフと一緒に作っていく共同作業ではあるんですけど。書いてる間は非常に孤独で苦しくて、「これ本当に最後まで書ききれるんだろうか」と何度も思うようなこともあります。なので、やり切った時の達成感がすごく大きくて、『グレースの履歴』もそういう作品の一つです。その作品でいただけたというのが、すごくうれしいです。今日はたくさんお集まりいただいて、ちょっと照れくさいんですけど、皆さんのおかげだと思っております。どうもありがとうございました。

■各コメント
【滝藤賢一】

向田邦子賞の第42回贈賞式の模様

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『グレースの履歴』という素晴らしい脚本の中で、ここにいらっしゃる皆さん、今日来られなかった源組の仲間、スタッフ、キャストの皆さんと旅できたこと、S800(ドラマに登場する車)で日本の美しい景色の中を旅できたことは私の宝物です。とても幸せな時間でした。思い残すことはないと言いたいのですが、もしできるのであれば、撮影は関係なくてもいいので、エスハチ(S800)をモナコに持って行って、源さんを横に乗せて走りたい。そんな夢を持って、この「グレースの履歴」が向田邦子賞をいただいたことを誇りに、これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。源さん、本日はおめでとうございました。

【広末涼子】

向田邦子賞の第42回贈賞式の模様

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受賞の報告を伺って、本当にうれしい気持ちになったと同時に、謝らなくてはいけないなと思いました。お話をいただいて、衣装合わせで監督とお話しする際、「私の役のこういう女性は現実にいるでしょうか」と監督に言ったことが大変失礼だったなと思ってお詫びしたいと思います。ずっと別れた彼のことを思い続ける、自分の失敗というか後悔も含めて10年以上ずっと思い続けて再会した彼との時間を演じさせていただいたんですけれども、それが自分の中で理解できるかなとか、女性という生き物としてどう演じようかなっていうふうに考えていた中で、悩みながら、現場でも監督と海辺の潮風を浴びながら、モニターの近くでお話しさせていただいたのを懐かしく思い出します。そんな中、滝藤さんとたくさんのシーンを撮影させていただく中で、すごく温かい気分になったり胸がいっぱいになったりして、自分の中でクライマックスだと思っていた尾野真千子さんと対峙するシーンを撮らせていただいた時に、本当に、この本と、言葉と、源さんの感情の機微に聡いお人柄の方が、書いた方が撮るからこそ、こういうシーンができるんだなというのを体感して震えました。リハーサルの時からオノマチさんが号泣していて、もう本番までに目が腫れてしまうんじゃないかっていうくらい泣いているのを見て、自分も自分の役を忘れて、彼女が死んでしまうことに対してもらい泣きしてしまいそうな気持ちになりながら、画面の中で彼女も私も号泣していたら、多分気持ち悪くって見てる人は引くな、と思って自分は必死で我慢しようと思ったんですけど、涙をこぼさないでいるのが苦しい、精一杯なシーンでした。でも、それだけ役者にその力とか感情を与えてくださる監督と出会えて、本と出合えて、シーンと出合えて、本当に私は幸せだなというのを実感させていただきました。滝藤さんが、モナコで続編をと現場でもおっしゃっていて、でも、奥様であるオノマチさんの役が亡くなられているのに、どういう続編が撮れるのかなっていう…ないそうです。でも、それくらい時間をかけて、3ヶ月、素晴らしいチームで、監督を筆頭に皆さんの一体感があったからこそのこの受賞と、あの素敵な作品だったんだなということを、改めて今日この場で実感させていただきました。本当におめでとうございます。

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