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「運動量の多い人の方が乳がん予後良い」スポーツ医学博士、乳がん経験者に毎日の運動を呼びかけ

 がん治療の進歩とともに、がん診断後や治療中におけるQOLの向上が注目され、最近ではがん経験者に運動をすすめる医者が増えている。

健康な人だけでなく、がん経験者にも日々の運動習慣を呼び掛ける奥松功基さん。

健康な人だけでなく、がん経験者にも日々の運動習慣を呼び掛ける奥松功基さん。

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「がん治療や術後に適度な運動を続けると再発リスクが下がるとされ、私がフランスにあるWHOのがん研究所に訪ねたとき、隣接した病院ではがん患者がジムで積極的に筋トレをしていました。そのくらい運動習慣は、がん経験者の再発防止にも役立つと考えられ、そうした研究論文も多くあります」

 そう話すのは、スポーツ医学博士でトレーナーの奥松功基さんだ。実際に、日本の乳がん学会(※)によれば乳がん診断後、ある一定の以上の運動(週1時間程度のウォーキング相当)を行うことで再発リスクは約25%下がるという報告もあり、運動量の多い人の方が乳がん予後が良いとされているという。

 ところが、がん経験者は“体に負荷がかかりそう…”といった不安などから運動をためらう人も少なくない。しかし、日常の生活を快適に過ごすためにもある程度の筋力や持久力をつける運動は必要だと考えられる。では、がん経験者はどのような運動をするといいのだろうか。

奥松功基さん:スポーツ医学博士。乳腺外科クリニック「マンマリアツキジ」で乳がん経験者向けパーソナルジム『リオールジム』トレーナーとして活動。

奥松功基さん:スポーツ医学博士。乳腺外科クリニック「マンマリアツキジ」で乳がん経験者向けパーソナルジム『リオールジム』トレーナーとして活動。

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「自宅で簡単にできるスクワットと“レッグレイズ”という腹筋運動がおすすめです。それぞれ10回ずつ1セット、出来れば毎日すること」と奥松さんがポイントを説明する。

【スクワット】
1) 足は肩幅に開き、背筋の伸ばしたまま腕を胸の前で交差させる
2) 膝を曲げながらゆっくり腰を落とす。膝の向きは足先と同じ方向にする。
3) お尻は突き出してもいいので、深く腰を下ろしてから立ち上がる。

【レッグレイズ】
1) 仰向け姿勢で、膝を90度曲げる。
2) 膝を曲げたまま太ももをゆっくり胸元に引き寄せる。このとき、腰が床から浮かないこと。
3) 引き寄せた足は、膝は曲げたまま元の位置に下ろす。

 それぞれの運動にかかる時間はわずかで、ちょっとした空き時間にできることもあり続けやすい。

「運動を習慣づけると体力も自然に改善します。ジムに来るがん経験者の多くの方が一番多くおっしゃるのは、運動するようになって、外出から帰宅しても休憩をすることなく料理をつくることができるほど持久力がついた、といいますね」

 きょう2月4日の「ワールドキャンサーデー(世界対がんデー)」に先立ち、1月30に開催された「再発予防に向けた、乳がん経験者のためのフィットネスセミナー」(主催:MICIN少額短期保険)にて、乳がん経験者に体力アップのための実践的な運動を指導した奥村さん。

「筋肉量はがんの予後と深く関係することが分かってきています。乳がん経験者は抗がん剤などの影響で、乳がんと診断されていない人と比べて、約10年分の持久力や筋力が失われることが最新の研究で報告されています。ぜひ、日々の運動を習慣にしてください」

 会場では、運動指導のほか、がん治療と運動についての研究から、科学的な理論に基づいた運動習慣の重要性を呼び掛けた。

※乳がん学会,「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019」

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